【実務思考】【SM-R07-1-PM2-Q2】クラウドサービスを活用したITサービスのサービスマネジメント活動

🍀概要

 ITサービスマージャ試験 令和7年 午後2 問2について、AIを活用して、詳細分析した結果を示します。
 本分析は、AIが問題文からその背景にある本質的な課題を深く掘り下げ、ITサービスマージャが目指すべき理想像の一端を理解することに役立つよう、多角的な視点から考察したものです。これにより、単なる模範解答の提示に留まらず、論述問題を通して試される思考プロセス問題解決のアプローチを深く理解するための示唆を提供します。

🧾問題・設問(SM-R07-1-PM2-Q2)

 出典:情報処理推進機構 ITサービスマージャ試験 令和7年 午後2 問2(🔗取り扱いガイドライン)

📘問題

■タイトル
 クラウドサービスを活用したITサービスのサービスマネジメント活動について
■内容
 組織が提供するITサービスの一部に,クラウドサービスプロバイダ(以下,CSPという)が提供するクラウドサービスを活用したITサービスが増加している。クラウドサービスを活用したITサービスのサービスマネジメント活動は,ITサービスマネージャの重要な業務である。
 クラウドサービスの活用に当たっては,組織が提供するITサービスの目標に照らして,CSPが提供するサービスカタログのサービス内容や,提案依頼に対してCSPが提示するサービス内容を,関係部署とも連携を図り,十分に検証することが重要である。
 クラウドサービスでは,使用されるリソースのモニタリングやリソースのコントロールをCSPが実施するので,オンプレミスで提供するサービスとは異なり,例えば,次のようなサービスマネジメントにおける問題に直面する。
 ・クラウドサービスの障害対応はCSPが行うので,CSPの作業の進捗状況が把握できず,利用者へのサービス回復時刻の見通しなどの連絡がタイムリーに行えない。
 ・顧客からのクラウドサービスに関連する改善要求及び苦情対応はCSPと調整することになるので,顧客へのフィードバック及び対応に時間を要する。
 ITサービスマネージャは,このような問題の解決に向けて,組織の管理プロセスを見直す,CSPと十分対応を協議するなどして,対応策を決定する必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

📗設問

■設問ア
 あなたが携わったITサービスの概要と,活用するクラウドサービスの概要を組織が提供するITサービスの目標に照らして,400字以上800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたクラウドサービスの活用において直面したサービスマネジメントにおける問題,解決に向けて実施した対応策,及び対応策を決定する上で工夫した点について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで実施した対応策の評価,及び改善に向けて今後取り組むべきと考えていることについて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
 
 

📔出題趣旨・採点講評(IPA)

■出題趣旨
 ITサービスの一部に,クラウドサービスプロバイダ(以下,CSPという)が提供するクラウドサービスを活用する形態が増加している。クラウドサービスの活用に当たり,CSPのサービス活用における問題の解決を図るサービスマネジメント活動は,ITサービスマネージャの重要な業務である。
 本問は,組織が提供するITサービスの目標に照らして,活用するクラウドサービスの概要について論述を求める。また,クラウドサービスの活用において直面したサービスマネジメントにおける問題,問題の解決に向けて実施した対応策,対応策を決定する上で工夫した点,更に,実施した対応策の評価,及び改善に向けて今後取り組むべきと考えていることについて具体的に論述することを求める。論述を通じて,ITサービスマネージャとして有すべきクラウドサービスを評価・活用する能力,外部のサービス供給者を管理する能力,課題認識能力,問題解決能力などを評価する。
■採点講評
 <全問共通>全問に共通して,自らの経験に基づいて具体的に論述できているものが多かった。一方で,サービスマネジメントの活動ではなく,システム開発の活動をベースとした論述も見受けられた。出題趣旨に沿って具体的に論述するように心掛けてほしい。
 <問2>問2では,クラウドサービスを活用したITサービスのサービスマネジメント活動をテーマに出題を行った。ITサービスの目標とクラウドサービスの特徴を踏まえて,サービスマネジメントにおける問題に対して適切な対応を図った高い問題解決能力がうかがえる論述が多かった。一方で,クラウドサービスのアプリケーション機能の改修など,サービスマネジメント上の問題の解決に向けての対応策ではない論述も見受けられた。これはサービスマネジメントに関する経験,知見がないことに起因しているものと思われる。
 ITサービスマネージャには,外部供給者が提供するクラウドサービスの活用によって発生するサービスマネジメント上の各種問題に対して,クラウドサービスプロバイダやその他の利害関係者との協議,管理プロセスの見直しなど,解決に向けた積極的な取組が求められる。

🪄詳細分析(AI)

📝3行まとめ

  1. 【背景】クラウドサービスの活用が拡大する中で、外部委託に起因する統制難や連携課題がITサービス運用に影響を与えています。
  2. 【SM視点】CSPとの役割分担や情報共有の在り方を明確にし、自社サービスとしての品質と顧客対応責任を果たす視点が求められます。
  3. 【行動・着眼点】サービス内容の事前検証、障害時の情報連携体制の整備、CSPとの改善協議による迅速な対応力の確保が重要です。

🧭クラウドサービスを活用したITサービスのサービスマネジメント活動についての考察

1. 問題の背景と現状分析

  • 現状の課題・問題点:
    • 多くの組織で、クラウドサービス(IaaS, PaaS, SaaS)を自社のITサービスに組み込むことが一般化しているが、従来のオンプレミス環境を前提としたITサービスマネジメントの仕組みでは、多くの問題に直面している。
    • 特に、障害発生時に、その原因がクラウドサービス側にある場合、組織のIT部門は、CSP(クラウドサービスプロバイダ)の対応状況を詳細に把握できず、サービス利用者に対して、復旧見通しなどのタイムリーで正確な情報を提供できない。
    • また、利用者からの改善要求や苦情がクラウドサービスに起因する場合、CSPとの調整に時間がかかり、迅速なフィードバックや対応が困難になっている。これは、顧客満足度の低下に直結する重大な問題である。
  • 変化の必要性の背景:
    • クラウドシフトの加速: 企業のDX推進や俊敏性向上のため、自社でITインフラを「所有」するモデルから、クラウドサービスを「利用」するモデルへの移行が不可逆的な流れとなっている。
    • サービス提供責任の一元化: サービス利用者は、サービスの裏側で、誰がどの部分を担っているか(自社かCSPか)を意識しない。彼らにとって、サービスの提供責任は、あくまでも契約した組織に一元的にある。
    • 複雑化するサプライヤチェーン: 一つのITサービスが、複数のCSPや他のベンダによって構成されることが増え、ITサービスマネージャには、この複雑なサプライヤチェーン全体を管理・統合(インテグレーション)する役割が求められている。

2. 理想像の抽出と具体化

  • あるべき理想的な状態:
    • シームレスなサービス統合管理(SIAM)の実現: 組織とCSPが、単なる「契約者」と「供給者」の関係を超え、共通のビジネス目標達成を目指す「戦略的パートナー」として連携する。サービスマネジメントのプロセス(インシデント管理、問題管理、変更管理など)やツールが、API連携なども活用して緊密に統合され、あたかも単一の組織であるかのように、エンドツーエンドでサービスが管理されている。
    • プロアクティブで透明性の高いコミュニケーション: CSPのサービス稼働状況やインシデント対応状況が、リアルタイムで組織のITサービス管理者に共有される。これにより、ITサービス管理者は、正確な情報に基づき、迅速にサービス利用者への報告や対応策の提示を行うことができる。
    • 価値共創の関係: CSPは、単に仕様通りのサービスを提供するだけでなく、その専門知識や最新技術を活かして、組織のITサービスの価値向上に貢献する提案を積極的に行う。組織は、その提案を評価し、共同でサービスの継続的改善を推進する。
  • 克服すべき障壁:
    • CSPとの力関係: CSPが提供する標準化されたサービス契約やサポート体制が、組織の要求するレベルの連携や情報共有を許容しない場合がある。
    • プロセスの分断とツールの非互換性: 組織とCSPのサービスマネジメントツールが連携しておらず、インシデント情報などが、メールや電話といった手作業で伝達され、対応の遅延や情報の不整合を招く。
    • スキルセットのミスマッチ: 従来の技術中心の運用スキルだけでなく、CSPとの交渉、契約管理、関係構築といった、サプライヤ管理やサービスインテグレーションのスキルがITサービス管理者に求められる。
  • 利害関係者の視点:
    • サービス利用者: 障害が発生しても、その原因がどこにあるかを意識することなく、迅速で正確な情報提供とサービス復旧を享受できる。サービスに対する改善要求も、スムーズに反映される。
    • ITサービス管理者: CSPを、ブラックボックスとしてではなく、信頼できるパートナーとして管理できる。サービス全体の状況を正確に把握し、経営層や利用者に対して、説明責任を果たすことができる。
    • 経営層: クラウド活用によるリスク(統制の喪失、情報不透明性)を低減し、そのメリット(俊敏性、コスト効率)を最大限に享受できる。ITサービスが、事業戦略に貢献しているという確信を持てる。
    • CSP: 顧客のビジネスを深く理解することで、より付加価値の高いサービスを提供でき、長期的なパートナーシップを築くことができる。

3. 要約

  • [200文字]要約:
    クラウド活用時の理想的なITサービス管理は、CSPとの戦略的連携が鍵である。サービス管理プロセスを統合し、透明性の高い情報共有を実現する。これにより、障害時も迅速な状況把握と顧客への的確な報告が可能となり、エンドツーエンドでのサービス品質を保証する。
  • [400文字]要約:
    クラウド活用における理想像は、自社とCSPが一体となってサービスを提供する「サービス統合」モデルである。障害対応や改善要求でCSPとの連携が課題となる現状に対し、プロセスやツールを統合し、戦略的パートナーとして連携する。これにより、障害時の進捗不透明性や改善の遅延を解消し、顧客へ一貫した高品質なサービスと迅速な情報提供を実現する。ITサービスマネージャは、この統合されたサービス全体の責任者として機能する。
  • [800文字]による詳細な考察:
    本問題は、クラウド時代のITサービスマネジメントが、単なる技術的な運用管理から、「サービスインテグレーション」へと、その役割を昇華させる必要性を指摘している。
    • あるべき理想像とは、「ビジネス価値創出を目的とした、エコシステム型のサービスマネジメント」の確立である。これは、自社とCSP、さらには他のサプライヤも含めたエコシステム全体で、サービス利用者への価値提供を最大化する考え方である。この状態では、ITサービス管理者は「サービスインテグレータ」として機能する。障害対応は、事前に定義された連携プロセスに基づき、半自動的に両者間で情報がエスカレーションされ、共同の対応チームが招集される。サービスレベル契約(SLA)は、単なる稼働率だけでなく、事業目標への貢献度を示すビジネス指標(XLA: Experience Level Agreement)も視野に入れて、CSPと共同で設計・測定される。
    • 理想像実現へのアプローチとして、ITサービスマネージャは、まずCSPとの契約内容を精査し、情報共有や連携に関する取り決めを、より具体的かつ実効性のあるものへと見直す必要がある。次に、自社のITSMツールとCSPの提供するAPIを連携させ、インシデント情報や構成情報を自動で同期する仕組みを構築する。そして最も重要なのが、定期的な会合を通じて、単なる報告会ではなく、課題解決や将来のサービス改善に向けた戦略的な議論を行う、CSPとの強固なリレーションシップを構築することである。
    • 期待される効果は、顧客満足度の向上に留まらない。障害対応の迅速化は、事業損失を最小限に抑え、プロアクティブな改善活動は、ITサービスの競争力を高める。
    • 考慮すべきリスクは、特定のCSPへの過度な依存(ベンダロックイン)や、連携の深化に伴う情報セキュリティリスクの増大である。ITサービス管理者は、マルチクラウド戦略を視野に入れたポータビリティの確保や、CSPに対する定期的なセキュリティ監査を通じて、これらのリスクを適切に管理する必要がある。

📌補足(考察について)

「考察」の作成手順については、こちらで解説していますので、興味ある方はご参照ください。
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