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この資料は、過去のシステムアーキテクト(旧 アプリケーションエンジニア含む)試験問題(論述形式)をテキスト化した「システムアーキテクトの歴史書」です。Web上では見つけにくい、貴重で有益な示唆を含む、過去の問題文を、調査してテキスト化しました。 過去の課題から、現代そして未来に求められる理想像を紐解き、あなたの知識と視点を深めます。分析や考察に役立つよう、すぐにコピペして利用できる形式となっています。
🧾問題・設問
出典:情報処理推進機構 システムアーキテクト試験 平成21年~令和7年(2009~2025年) 午後2(🔗取り扱いガイドライン)
出典:情報処理推進機構 アプリケーションエンジニア試験 平成6年~平成20年(1994~2008年) 午後2
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略称 | 試験区分 |
---|---|
SA | システムアーキテクト試験 |
AE | アプリケーションエンジニア試験 |
📗R07:2025
【SA-R07-1-PM2-Q1】複数の情報システムのデータを収集する必要がある指標の提供について
近年,業務改善や収益向上などの業務目標達成のために,複数の情報システムのデータを活用した指標の提供を求められることが多い。例えば次のようなものがある。
・製造業で,製品品質の改善状況を可視化するために,生産管理システムの製品製造時のデータと保守システムの製品出荷後の故障データを活用し,製品の故障率などの品質状況を指標として設計部門に提供する。
・流通業で,売上拡大のために,物販システムの高額商品の販売履歴と旅行販売システムのクルーズパッケージ販売履歴を活用し,クロスセルの販売確率を指標として営業部門に提供する。
このような場合,システムアーキテクトは,業務目標と求められた指標の関係を理解した上で,指標の算出に必要なデータなどを分析し,データを収集し指標を提供する機能を設計する。設計に当たっては,例えば次のような事項を検討する。
・指標を算出する手順
・収集元データのコード体系や単位などの,データ定義の差を吸収する方法
また,このような指標の提供では,データの欠落が多いので利用に向いていなかったり,算出に必要なデータが企業内に存在していなかったりするといった,データの内容の問題が発生することも多い。そのため,必要なデータを社外から取得する,新たなデータ取得の仕組みを構築する,企業内の何らかのデータからみなし処理をするなどの工夫をすることも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたは,どのような業務目標達成のためにどのような指標を提供したか。また,その指標はどのような複数の情報システムからどのようなデータを収集して算出したか。400字以上800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた指標を提供する機能の設計では,どのような事項を,どのように検討したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた設計において,データの内容の問題にはどのようなものがあったか。また,それにどのように対応したか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R07-1-PM2-Q2】現行システムと新システム間の差異を踏まえたデータ移行について
情報システムの刷新や企業統合などを背景にして,現行システムの取引先や仕訳などの重要なデータを新システムに移行することが多い。その際システムアーキテクトは,現行システムから新システムヘのデータ移行方法を設計し,移行計画を立案する。
データ移行方法の設計では,現行システムのデータの意味や値のバリエーションなどを調査する。調査した結果から判明した現行システムと新システム(以下,現新システムという)の仕様やデータ構造などの差異を踏まえた,データマッピングやデータ変換ルールの策定,さらにデータクレンジングなどを検討する。現新システムのデータのもち方や粒度に差異がある場合,例えば次のように移行データの仕様や特性に応じてシステム面及び業務面での移行方法を検討する。
・複数の現行システムに同じ取引先のデータが存在する場合,データの更新頻度が最も高いシステムのデータを移行元システムとして移行する。
・仕訳データを移行する場合,勘定科目を統合するのであればバッチ処理で金額を合算し,分割するのであれば分割後の勘定科目ごとの金額を画面から入力する。
・売上データを税込金額で保有している現行システムと税抜金額で保有している現行システムがある場合,税抜金額にそろえて移行する。
移行計画の立案では,適切な移行タイミングを検討することが重要である。さらに,移行日に全てのデータを一括して移行する方法や,事前に一部のデータを移行し,その後の差分を蓄積して移行日に反映する方法など,実施方法を検討することも重要である。その際,作業時間や作業品質などの観点を含めた移行計画の検討が必要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったデータ移行について,対象とする業務及び情報システムの概要,データ移行が必要となった背景について,400字以上800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたデータ移行において,現新システムにはどのような仕様やデータ構造などの差異があったか。その差異を踏まえたシステム面及び業務面での移行方法を,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べたデータ移行において,データの移行タイミングと実施方法を,移行計画を検討した観点を踏まえて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗R06:2024
【SA-R06-1-PM2-Q1】人手によってしか実現できないと考えていた業務への先進技術の適用について
認識AI,生成AI,RPAツールなどを始めとした先進技術を,クラウドサービスやソフトウェアパッケージなどで容易に利用できるようになってきた。それに伴い,認識と判断のデジタル化の難しさや費用対効果などの理由からシステム化が困難で人手によってしか実現できないと考えていた業務の,大幅な効率化や自動化が可能になった。システムアーキテクトは,先進技術を適用した情報システムの構築を推進する必要がある。例えば,次のような業務への適用が考えられる。
・医療機関の画像診断業務において,がん症例画像や正常画像を学習させた認識AIによって,がん疾患の発見を補助する。・広報部門の社外発表文を作成する業務において,過去の発表文やコンサルタントの指摘内容などを学習させた生成AIに発表の趣旨を与えて発表文案を作成する。
・注文業務において,RPAツールで入力,連携を自動化し,個別入力を排除する。一方で,これらの先進技術を適用する場合,様々な課題が生じることがある。例えば次のような,課題と対策が考えられる。
・画像診断業務を自動化すると,“医師でなければ,医業をなしてはならない”という法律に抵触するおそれがある。そのため,画像診断結果を元の画像上に表示するまでにとどめて,最終的に医師が診断するなど,自動化の範囲を限定する。
・生成AIで学習データにインターネット上の情報を利用すると,偏った内容や誤った内容を回答してしまうおそれがある。そのため,根拠となる情報や参考情報を一緒に提示する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが先進技術を適用した業務について,業務の内容と,その業務が人手によってしか実現できないと考えられていた理由を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務に,どのような先進技術をどのように適用したのか。大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べた業務に先進技術を適用した際に,どのような課題が生じ,どのような対策を取ったのか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R06-1-PM2-Q2】バッチ処理の設計について
業務処理において,一定のリソースの下で大量データを効率的に処理するためにバッチ処理を選択することがある。バッチ処理では,大量データを処理すると処理時間が長い,オンライン処理との並行実施が必要,など様々な課題が生じる。システムアーキテクトには,業務上の特性や制約に基づいて課題を解決することが求められる。
課題を解決するために,例えば次のように,バッチ処理の設計を工夫する。
・売上データの取込件数が多いので後続の締め処理に間に合わなくなる,という課題に対して,インメモリデータ処理やオフラインバッチ処理などの処理方式を選択してスループットを上げる。
・現在のリソースではピークの日に全ての取引を処理しきれない可能性がある,という課題に対して,1日の処理件数の上限を設け,業務上優先度が高い取引から処理し,上限を超過した取引を翌日の処理に持ち越すようにする。
・画面で入力しているデータをバッチ処理が同時に更新しようとするとデータの競合が生じる可能性がある,という課題に対して,画面で入力したデータを一時保存し,バッチ処理終了後に非同期でデータベースに反映する。
また,エラーが発生しても処理を継続させる仕組みを組み込んでおくことも重要である。例えば,給与振込データ作成時に後続処理に影響を与えないために,エラーデータを読み飛ばして後で再処理できるようにする。再処理時には,二重更新させないために,処理済データを読み飛ばして未処理データだけ処理するようにする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったバッチ処理の設計について,対象とする業務と情報システムの概要及び業務上の特性や制約について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたバッチ処理について,どのような課題があったか。その課題を解決するために,どのような設計にしたか。工夫した点を中心に,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べたバッチ処理で,エラーが発生しても処理を継続させるようにするために,どのような仕組みを組み込んだか。そのように設計した理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗R05:2023
【SA-R05-1-PM2-Q1】デジタルトランスフォーメーションを推進するための情報システムの改善について
近年,企業においては競争優位の獲得や企業自身の存続のために,デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することが増えている。しかし,DXの推進に必要な情報が整備されていないなどの課題が原因で,推進が困難になる場合も多い。
そのため,システムアーキテクトは,課題を解決してDXの推進を支援する必要がある。このような課題には例えば,次のようなものがある。
・飲料の製造販売会社で,自動販売機が保有する,販売した日時・場所・商品・電子マネー情報・ポイントカードIDなどのPOS情報が,基幹情報システムに連携されていない。そのため,POS情報を利用したキャンペーンやビジネスができない。
・車載機器製造販売会社で,企業向けと個人向けがそれぞれ別の情報システムになっており,商品コードの体系が企業向けと個人向けで異なる。そのため,企業向け製品を個人向けに展開するビジネスが困難である。
このような場合,DXの推進のために情報システムを改善する必要がある。例えば,次のような改善が考えられる。
・基幹情報システムにPOS情報を連携して,DXの推進に必要な情報を蓄積する。
・マスター管理システムを追加し,部門別の情報システムと連携させ,データ項目の名寄せや,単位,区分の共通化と統合化を行い,全社や外部との共有を可能にする。
また,これらの情報システムを改善する際に工夫すべき点が考えられる。例えば,POS情報を利用する場合,購入者の行動履歴を把握しつつ個人を特定できないようにするために情報の一部を匿名化したり,全社や外部とのデータ共有を可能にする場合,業務横断でのデータの活用を推進するためにデータ項目の意味を標準化したりする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~設問ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったDXの推進では,どのような課題があったか。DXの目的と情報システムの概要を含め,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた課題の解決のために,情報システムをどのように改善しようとしたか。解決できると考えた理由を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた情報システムの改善において,何のためにどのような工夫を検討したか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R05-1-PM2-Q2】利用者と直接の接点がない情報システムのユーザーインタフェースの検討について
近年,通販サイトやスマートフォンアプリケーションのように,開発者が利用者と直接の接点を持つことが難しい情報システムの開発が増えてきている。
システムアーキテクトは,このような情報システムの開発に当たり,利用者に直接確認することが困難な状況で要件を取りまとめなければならない。
特にユーザーインタフェース(以下,UIという)は,要件の確認が困難であるため,情報システムの利用者像を想定することから始める必要がある。利用者像は,利用者の性別や年齢層,スマートフォンやPCなどの利用環境におけるITリテラシーなどから想定することが多い。その上で,利用者に提供する機能を洗い出し,適切と思われるUIを検討する。
このような検討では,適切なUIを選択する際に課題が発生することも多く,その課題に対応しなければならない。課題には,例えば次のようなものがある。
・想定される利用者が多岐にわたるので,利用ガイドなどの支援機能が決まらない。
・メニューの階層を浅くする方法と,深くする方法のどちらが利用者に受け入れられるのかが分からない。
また,このような情報システムの場合,開発やデリバリーのプロセスを自動化し開発サイクルを短期化した上で情報システムを運用しながら改訂していくことを可能にしたり,画面や機能の利用状況をモニタリングする機能を用意し改善点を発見しやすくしたりするなど,UIを継続的に適切化していくための工夫をすることも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~設問ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった,開発者が利用者と直接の接点を持つことが難しい情報システムについて,開発の目的,対象の業務と情報システムの概要を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムにおけるUIについて,利用者像をどのように想定し,どのようなUIを検討したか。検討で発生した適切なUIを選択する際の課題とその対応策を交え,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べた情報システムでUIを継続的に適切化していくための工夫について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R05-1-PM2-Q3】再利用の容易化を考慮した組込みシステムのアーキテクチャについて
近年の技術進展に伴い,組込みシステムも年々大規模化しており,既存の組込みシステムを再利用して,開発工数の削減を図ることも多くなっている。そのため,新規開発及び改変のいずれにおいても再利用の容易化を考慮することが有効である。
新規開発においては,組込みシステム・IoTシステムの構成部品を含めたハードウェア及びソフトウェアの追加・削除・変更を想定してアーキテクチャを設計し,改変があった場合でも一部分の変更で済む方法をとる。しかし,改変において想定外の変更があった場合,又は改変の繰返しによって構造が複雑化した場合に,アーキテクチャそのものを見直すなど,更なる再利用に向けた容易化を検討することも求められる。
また,元の組込みシステムと改変で増えたバリエーションの管理,再利用できる部品の管理など,改変に伴う管理も必要となる。例えば,既存の組込みシステムを改変した際に,潜在していた不具合を発見した場合,管理が適切に行われていれば,関連する箇所も容易に抽出できる。さらに,新規開発及び改変のいずれの場合も,完成した組込みシステムのテストにおいて,変更の箇所とアーキテクチャに基づき,どの範囲に対してどのようなテストを行うかを判断することも重要である。
組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムの新規開発及び改変のいずれにおいても再利用が容易になるよう,組込みシステムの特性に応じた適切な変更対象・変更範囲,改変管理,テスト範囲を策定し,将来にわたっての再利用の容易化を考慮することが望ましい。
あなたの経験と考えに基づいて,組込みシステムのシステムアーキテクトの立場から設問ア~設問ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった組込みシステムの構成と概要,改変の内容,及び再利用の容易化に係る目標について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムについて,再利用の容易化に対してどのような考慮をしたか。変更対象・変更範囲,改変管理,テスト範囲を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた再利用の容易化への考慮において,目標の達成度,今後の課題について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗R04:2022
【SA-R04-1-PM2-Q1】概念実証(PoC)を活用した情報システム開発について
近年,IoT,ビッグデータ,AIなどに代表される新技術が登場しており,業務の効率化や品質向上を目的として,今まで使用したことがない技術を適用することが多くなっている。その際,その新技術を業務に適用する前に概念実証(PoC)を実施し,実現可能性や効果などを確認することが重要となる。システムアーキテクトは,仮説を立て,その仮説を検証するための情報システムを構築し,この情報システムを用いた仮説の検証方法を立案し,検証を行う。
例えば,製造業の製品外観検査業務で,外観検査員と同等の精度の検査をAIによって実現できるという仮説を立てた場合,実際に検査工程で用いる検査画像データ収集システムの画像データを利用して,次のような作業を行い効果を検証する。
・傷や付着物などの外観上の欠陥が存在する画像データと欠陥が存在しない画像データを収集し,外観検査員が行った合否判定結果を付与し,AIに学習させる。
・製品の外観検査をAIに実施させ,外観検査員の検査結果と照合して,AIの検査精度を測定する。
・AIが判定を誤ったデータに関して再度AIに学習させ,検査精度を高めていく。
このとき,高い精度で判断できる経験豊富な外観検査員を参加させる,画像データの撮影条件を変更するなどの工夫をする。
検証結果を踏まえて,その技術の業務への適用可否を,効果やリスクなどから総合的に判断する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがPoCを実施した情報システム開発において,どのような業務に,どのような目的で,どのような技術を適用しようとしたか。業務の概要,情報システムの概要とともに,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システム開発で,どのようなPoCを実施したか。設定した仮説,検証方法及び工夫とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたPoCからどのような検証結果を得たか。その結果から,業務への適用可否をどのように判断したか。判断した理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R04-1-PM2-Q2】業務のデジタル化について
近年,紙媒体の管理コストの削減及び業務の効率化を目的とした,情報システムを活用したデジタル化が加速している。デジタル化の実現によって,情報が検索しやすくなったり,モノの動きがリアルタイムに把握できたりすることで業務改善が図れる。
システムアーキテクトは,現行の業務において改善の余地がある業務プロセスを見極めてデジタル化することが求められる。一方,現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し,対応策を検討しておくことも必要である。例えば,りん議業務をリモートワーク環境でも実施できるようにするために,ワークフローシステムを用いて業務をデジタル化する場合,次のように検討する。
・従来の印鑑の代替とするために,承認欄にログインユーザの氏名,所属,職位及びタイムスタンプを記録するようにする。
・決裁ルートに長期の不在者がいた場合でも,緊急で決裁が必要な案件を円滑に処理するために,代理決裁者を設ける仕組みにする。
・情報漏えいや決裁者のなりすましなどのセキュリティリスクに対処するために,アクセス権限管理の強化やログの監視ができるようにする。
また,紙媒体などで運用していた業務をデジタル化すると,業務手順が従来と変わるので,利用者が新しい業務に習熟するまでに時間が掛かることがある。そこで,例えばどの業務で作成されたか判別できるように業務の頭文字で電子文書をアイコン化する,情報システムへのガイド機能を組み込むなど,利用支援の仕組みを工夫する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった業務のデジタル化について,対象業務,情報システムの概要,デジタル化を通じて実現を期待した業務改善の内容を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務改善を実現するために,どのような業務プロセスを,どのようにデジタル化することを検討したか。また,どのような課題があり,どのような対応策を検討したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで検討した内容について,利用者がデジタル化した業務に習熟できるよう,どのように工夫したか。情報システムに組み込んだ利用支援の仕組みを含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R04-1-PM2-Q3】IoT,AIなどの技術進展に伴う組込みシステムの自動化について
組込みシステムは,以前から各種装置の自動化に貢献してきた。機械的・電気的に制御されていた装置の自動化に始まり,近年はセンサの高度化,プロセッサ能力・通信技術の向上に伴い,IoTに依拠した他機器との協調動作など,高度な自動化も実現している。例えば自動車において,車速を一定に保つだけの制御から,カメラ・レーダとの協調で,前方車両との距離を保つ制御ができるようになっている。
単一機能の自動化,複数機能を組み合わせた自動化のいずれの場合も次のような点を考慮する必要がある。
・システムの特徴及び制約:例えば,使用環境,有人,無人,無停止稼働,遠隔操作などのシステムの特徴,及びメモリ容量・演算速度などの制約事項
・自動化の目的の把握及び目標の設定:例えば,一部の作業などの自動化による負荷の軽減・分散を目的とし,自動搬送装置によって作業負荷を軽減するなど。
・自動化する範囲及び機能分担:例えば,ドローンでは姿勢制御を自動化し,人は操縦に集中する。自動検査装置では,画像の取得は装置側で自動化し,AIによる欠陥判定はサーバで行うなど。
・安全性への配慮:例えば,人との協調動作における誤操作,誤動作への対応,他機器との協調においては,故障の影響の伝搬を軽減する工夫など
組込みシステムのシステムアーキテクトは,自動化の目的の把握及び目標の設定を行い,人及び他機器との機能分担について安全性への配慮を含めて検討し,システムの特徴と制約に基づいて組込みシステムを構築する必要がある。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった組込みシステムの概要,自動化の要求の背景・経緯,並びに目的及び目標について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムについて,システムの特徴と制約に基づく自動化における課題と課題への対策を,人及び他機器との機能分担,安全性への配慮を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた組込みシステムに関する記述を基に,自動化の目標に対する達成度,評価,今後の課題について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗R03:2021
【SA-R03-1-PM2-Q1】アジャイル開発における要件定義の進め方について
情報システムの開発をアジャイル開発で進めることが増えてきている。代表的な手法のスクラムでは,スクラムマスタがアジャイル開発を主導する。システムアーキテクトはスクラムマスタの役割を担うことが多い。
スクラムでは,要件の“誰が何のために何をするか”をユーザストーリ(以下,USという)として定め,必要に応じてスプリントごとに見直す。例えば,スマートフォンアプリケーションによるポイントカードシステムでは,主なUSとして,“利用者が,商品を得るために,ためたポイントを商品と交換する”,“利用者が,ポイントの失効を防ぐために,ポイントの有効期限を確認する”などがある。
スクラムマスタはプロダクトオーナとともに,まずUSをスプリントの期間内で完了できる規模や難易度に調整する必要がある。そのためにはUSを人・場所・時間・操作頻度などで分類して,規模や難易度を明らかにする。USに抜け漏れが判明した場合は不足のUSを追加する。USの規模が大き過ぎる場合や難易度が高過ぎる場合は,操作の切れ目,操作結果などで分割する。USの規模が小さ過ぎる場合は統合することもある。
次に,USに優先順位を付け,プロダクトオーナと合意の上でプロダクトバックログにし,今回のスプリント内で実現すべきUSを決定する。スクラムでは,USに表現される“誰が”にとって価値の高いUSを優先することが一般的である。例えば先の例で,利用者のメリットの度合いに着目して優先順位を付ける場合,“利用者が,商品を得るために,ためたポイントを商品と交換する”のUSを優先する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったアジャイル開発について,対象の業務と情報システムの概要,アジャイル開発を選択した理由を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた開発において,あなたは,どのようなUSをどのように分類し,規模や難易度をどのように調整したか。分類方法を選択した理由を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたUSに関して,あなたは,どのような価値に着目して,USの優先順位を付けたか。具体的なUSの例を交えて,600字以上1,200字以内で述べよ。
【SA-R03-1-PM2-Q2】情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計について
現代の情報システムは,法改正,製品やサービスのサブスクリプション化などを背景に機能追加が必要になることが増えている。
このような機能追加において,例えば,新サービスの提供を対外発表直後に始めるという業務要件がある場合,システムアーキテクトは次のように業務要件を分析し設計する。
1. 新サービスの特性がどのようなものなのかを,契約条件,業務プロセス,関連する情報システムの機能など様々な視点で分析する。
2. 新サービスは従来のサービスと請求方法だけが異なるという分析結果の場合,情報システムの契約管理機能と請求管理機能の変更が必要であると判断する。
3. 契約管理機能では,契約形態の項目に新サービス用のコード値を追加して,追加した契約形態を取扱い可能にする。同時に請求管理機能に新たな請求方法のためのコンポーネントを追加し,新サービスの請求では,このコンポーネントを呼び出すように設計する。
このような設計では,例えば次のような設計上の工夫をすることも重要である。
・対外発表前にマスタを準備するために,契約形態のマスタに適用開始日時を追加し,適用開始前には新サービスを選択できないようにしておく。
・他のシステムに影響が及ばないようにするために,外部へのインタフェースファイルを従来と同じフォーマットにするための変換機能を用意する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった情報システムの機能追加について,対象の業務と情報システムの概要,環境の変化などの機能追加が必要になった背景,対応が求められた業務要件を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた機能追加において,あなたは業務要件をどのような視点でどのように分析したか。またその結果どのような設計をしたか,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた機能追加における設計において,どのような目的でどのような工夫をしたか,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R03-1-PM2-Q3】IoTの普及に伴う組込みシステムのネットワーク化について
IoTの普及に伴い,従来スタンドアロンで利用していた組込みシステムをネットワークに接続し,ほかの組込みシステム,サーバなどと協調して動作させることによって,高度な機能を実現することが増えている。このネットワーク化された組込みシステムを端末機器とし,更に大きなシステムを構築することもある。例えば,コネクテッド・カーにおいて,車載の端末機器で車両情報をリアルタイムに検出,送信し,サーバ側で受信データをAI処理して故障の予兆診断を行うシステムがある。また,交差点などで死角となる位置にいる車両を信号機に設置した端末機器で検出し,車内の端末機器でその情報を受信して運転者に注意喚起するシステムもある。
ネットワーク化においては,負荷が高い処理をサーバ側で実行する,収集したデータを端末機器に一旦格納して間欠的にサーバに送り通信負荷を軽減する,また,ほかの端末機器を遠隔操作して機能を実現するなど,機能をサーバ・各端末機器にどのように割り当てるかが重要になる。さらに,ネットワークセキュリティを考慮するとともに,接続先の端末機器又はネットワークに不具合が発生した場合に被害が拡大しない安全性の工夫が必要になる。
組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムのネットワーク化について,開発する組込みシステム及びほかの組込みシステム,サーバ,ネットワーク,これらを含むシステム全体の特徴だけでなく,セキュリティと安全性を考慮した上で,最適な機能分担になるようシステムを構築する必要がある。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの概要と,接続先の端末機器及びネットワークの概要をネットワーク化の目的を含め,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムにおいて,システム全体の特徴に基づく機能の分担をどのように検討したか。その決定理由,想定した障害及びその回避策を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた組込みシステムにおいて,ネットワーク化の目的の達成状況及び考慮した事項の有用性の評価と,未達成の事項を含めた今後の課題を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗R01:2019
【SA-R01-1-PM2-Q1】ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計について
近年,情報システムとの接点としてスマートフォンやタブレットなど多様なデバイスが使われてきており,様々な特性の利用者が情報システムを利用するようになった。それに伴い,ユーザビリティの善しあしが企業の競争優位を左右する要素として注目されている。ユーザビリティとは,特定の目的を達成するために特定の利用者が特定の利用状況下で情報システムの機能を用いる際の,有効性,効率,及び満足度の度合いのことである。
優れたユーザビリティを実現するためには,利用者がストレスを感じないユーザインタフェース(以下,UIという)を設計することが重要である。例えば,次のように,利用者の特性及び利用シーンを想定して,重視するユーザビリティを明確にした上で設計することが望ましい。
・操作に慣れていない利用者のために,操作の全体の流れが分かるようにナビゲーション機能を用意することで,有効性を高める。
・操作に精通した利用者のために,利用頻度の高い機能にショートカットを用意することで,効率を高める。
また,ユーザビリティを高めるために,UIを設計する際には,想定した利用者に近い特性を持った協力者に操作を体感してもらい,仮説検証を繰り返しながら改良する,といった設計プロセスの工夫も必要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがUIの設計に携わった情報システムについて,対象業務と提供する機能の概要,想定した利用者の特性及び利用シーンを,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた利用者の特性及び利用シーンから,どのようなユーザビリティを重視して,どのようなUIを設計したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたUIの設計において,ユーザビリティを高めるために,設計プロセスにおいて,どのような工夫をしたか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R01-1-PM2-Q2】システム適格性確認テストの計画について
情報システムの開発では,定義された機能要件及び非機能要件を満たしているか,実際の業務として運用が可能であるかを確認する,システム適格性確認テスト(以下,システムテストという)が重要である。システムアーキテクトは,システムテストの適切な計画を立案しなければならない。
システムテストの計画を立案する際,テストを効率的に実施するために,例えば次のような区分けや配慮を行う。
・テストを,販売・生産管理・会計などの業務システム単位,商品・サービスなどの事業の範囲,日次月次などの業務サイクルで区分けする。
・他の関連プロジェクトと同期をとるなどの制約について配慮する。
・処理負荷に応じた性能が出ているかなどの非機能要件を確認するタイミングについて配慮する。
さらに,テスト結果を効率的に確認する方法についても検討しておくことが重要である。例えば,次のような確認方法が考えられる。
・結果を検証するためのツールを開発し,テスト結果が要件どおりであることを確認する。
・本番のデータを投入して,出力帳票を本番のものと比較する。
・ピーク時の負荷を擬似的にテスト環境で実現して,処理能力の妥当性を確認する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがシステムテストの計画に携わった情報システムについて,対象業務と情報システムの概要を800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムのシステムテストの計画で,テストを効率的に実施するために,どのような区分けや配慮を行ったか。そのような区分けや配慮を行うことで,テストが効率的に実施できると考えた理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べた情報システムのシステムテストの計画で,テスト結果を効率的に確認するために,どのような確認方法を検討し採用したか。採用した理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-R01-1-PM2-Q3】組込みシステムのデバッグモニタ機能について
組込みシステムの機能の拡大・複雑化に対応して,開発中のデバッグ及び出荷後のメンテナンスのためのデバッグモニタ機能を設けることが増えている。
多くの組込みシステムは汎用の入出力装置を装備していないことから,不具合の解析及び故障診断のための操作と結果の出力において,それぞれのシステムに応じた工夫が必要となる。また,開発・検証・出荷後の各段階において,各利用者が必要とする機能と利用可能な装置が変わることがある。例えば,開発段階では開発支援ツールを用いて詳細な検証・確認を行えるが,検証段階では実際の環境下でリアルタイム性を確保するために,実機を利用することが多い。さらに,出荷後の製品では,通常使わない組合せでボタンを押してデバッグモニタ機能を起動するなど,システムに装備された入出力装置だけで機能を実現しなければならない場合もある。
組込みシステムの特徴によって,そのシステムに特有な工夫・配慮が必要となることがある。例えば,IoT機器では,ネットワーク経由の操作によってリモート診断を実施できるが,通信障害が発生した場合の対処を考慮しなければならない。AI利用など,大量のデータを処理する装置はメモリの制限などから,診断に用いるデータの一部を保持しておくといった工夫も必要となる。さらに,デバッグモニタ機能の不正利用の可能性を考慮し,セキュリティ上のリスクにも配慮する必要がある。
組込みシステムのシステムアーキテクトは,開発・検証・出荷後の各段階において,利用可能なリソース及び操作・診断に要求される機能を把握し,セキュリティなどを考慮した上で,デバッグモニタ機能の要件を定義しなければならない。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの概要と,そのシステムにおいてデバッグモニタ機能が必要となった経緯を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムにおいて,各利用者との協議などに基づき,開発・検証・出荷後の各段階を想定してどのようなデバッグモニタ機能を設けたか。工夫・配慮事項を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたデバッグモニタ機能において,各段階における利用者のニーズを含めた評価と,今後の課題を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H30:2018
【SA-H30-1-PM2-Q1】業務からのニーズに応えるためのデータを活用した情報の提供について
近年,顧客の行動記録に基づき受注可能性が高い顧客像を絞り込む,宣伝方法と効果の関係を可視化するなどの業務からのニーズに応えるために,データを活用して情報を提供する動きが加速している。
このような場合,システムアーキテクトは,業務からのニーズを分析した上で,どのような情報を提供するかを検討する必要がある。
例えば,スーパマーケットのチェーンで,“宣伝効果を最大にしたい”というニーズから,宣伝媒体をより効果的なものに絞り込むための情報の提供が必要であると分析した場合に,次のような検討をする。
・対象にしている顧客層に宣伝が届いている度合いを測定するための情報はどのようなものか
・宣伝の効果が表れるタイミングと期間を測定するための情報はどのようなものか検討の結果から,“男女別/年齢層別の,来店者数のうち購入者数の占める割合が,特定の宣伝を実施した後の時間の経過に伴い,どのように推移したか”を情報として提供することにする。
また,このような情報の提供では,来店者数のデータがない,年齢層の入力がされていないケースがあるなどの課題があることも多い。そのため,発行したレシート数に一定の数値を乗じた値を来店者数とみなす,年齢層が未入力のデータは年齢層不明として分類するなど,課題に対応するための工夫をすることも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった,業務からのニーズに応えるためのデータを活用した情報の提供は,どのようなものであったか。ニーズのあった業務の概要及びニーズの内容,関連する情報システムの概要とともに,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報の提供では,ニーズをどのように分析し,どのような情報の提供を検討したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた検討で,情報の提供においてどのような課題があったか。また,その課題に対応するためにどのような工夫をしたか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H30-1-PM2-Q2】業務ソフトウェアパッケージの導入について
近年,情報システムの構築に,業務ソフトウェアパッケージ(以下,パッケージという)を導入するケースが増えている。パッケージを導入する目的には,情報システム構築期間の短縮,業務の標準化による業務品質の向上などがある。
パッケージは標準的な機能を備えているが,企業などが実現したい業務機能には足りない又は適合しないなどのギャップが存在することがある。そこで,システムアーキテクトは,パッケージが提供する機能と実現したい業務機能のギャップを識別した上で,例えば次のように,検討する上での方針を決めてギャップに対する解決策を利用部門と協議する。
・“原則として,業務のやり方をパッケージに合わせる”という方針から,まず,パッケージが提供する機能に合わせて業務を変更することを検討する。ただし,“企業の競争力に寄与する業務は従来のやり方を踏襲する”という方針から,特に必要な業務については追加の開発を行う。
・“投資効果を最大化する”という方針から,システム化の効果が少ない業務については,システム化せずに運用マニュアルを整備して人手で対応することを検討する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがパッケージの導入に携わった情報システムについて,対象とした業務と情報システムの概要,及びパッケージを導入した目的を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたパッケージの導入において,パッケージの機能と実現したい業務機能にはどのようなギャップがあったか。また,そのギャップに対してどのような解決策を検討したか。検討する上での方針を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたギャップに対する解決策について,どのように評価したか。適切だった点,改善の余地があると考えた点,それぞれについて,理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H30-1-PM2-Q3】組込みシステムのAI利用,IoT化などに伴うデータ量増加への対応について
ディジタル化の進展に伴い,組込みシステムの処理するデータ量は増加の傾向にある。サーバ容量・通信容量の拡大を背景に,IoT化のためにセンサ数を増やすより高度なセンサを利用することなどから,機器の処理するデータ量が増加している。また,音声・画像といったデータ量の大きな情報を処理する機器も増えている。
処理するデータ量が増加する一方,組込みシステムゆえの制約もある。CPU性能及びメモリ容量の制約に加え,例えば,バッテリ駆動の機器では,稼働時間を確保するために消費電力を抑える必要があり,モバイル機器では,重量・形状,及び振動といった条件から,利用できる周辺機器も制約されることがある。
これら組込みシステムの制約に対しては,システム構成要素の性能向上,構成要素間の機能分担の変更,外部機器との機能分担・処理負荷分担の変更など,例えば,次のような工夫によって解決を図ることができる。
・データ処理をハードウェア化し,CPUへの負担を増やさずに処理能力を上げる。
・常時監視機器などで,機器内部へのデータ蓄積と通信頻度のバランスをとる。
・運用コストと機器コストのバランスを考慮し,通信を用いてデータを未加工のまま送ることによって処理負荷を下げ,機器コストを下げる。
・AIなど高度な処理はサーバ側で行い,データ収集・結果出力は端末機器が行う。
組込みシステムのシステムアーキテクトは,様々な制約の下で,データ量の増加に対応して,要求される機能・性能を実現する組込みシステムを構築しなければならない。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの概要と,どのような機能・性能の要求で処理するデータ量を増加させる必要が生じたかを800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムにおいて,データ量の増加で発生した問題,及び目的達成のためにシステムアーキテクトとして考案した解決策とそれを選択した理由について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた解決策の達成度,開発段階で生じた未達事項などの問題,及び今後の課題について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H29:2017
【SA-H29-1-PM2-Q1】非機能要件を定義するプロセスについて
情報システムは,非機能要件の考慮漏れによって重大な障害を引き起こすことがある。非機能要件とは,信頼性を含む品質要件,運用・操作要件など,機能要件以外の要件のことである。利用者は非機能要件を明確に認識していないことが多いので,システムアーキテクトは,利用者を含む関連部門へのヒアリングによって必要な情報を収集する。収集した情報を基に,業務及び情報システム両方の視点から非機能要件を検討し,検討結果を意思決定者に提示し,判断してもらう。
例えば,信頼性要件の場合,次のようなプロセスで検討する。
・リスクを洗い出し,想定される損失並びに事業及び業務への影響を分析する。
・分析結果に基づき,目標とすべき復旧時間を設定する。
・設定した復旧時間を達成するための情報システムの実現方式を具体化する。
その際,前提となるシステム構成,開発標準,システム運用形態など,非機能要件を定義するに当たって制約となる事項を示した上で,例えば次のように,意思決定者に判断してもらうための工夫をすることも必要である。
・複数のシステム構成方式について,想定される損失と,対策に必要なコストの比較を示す。
・信頼性を向上させるためにデュアルシステム方式にすると効率性の指標の一つであるスループットが下がる,といった非機能要件間でのトレードオフが生じる場合,各非機能要件の関係性を示す。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが要件定義に携わった情報システムについて,対象業務の概要と情報システムの概要を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムについて,どのような非機能要件を,業務及び情報システム両方のどのような視点から,どのようなプロセスで検討したか。検討した結果とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた非機能要件の検討の際,意思決定者に判断してもらうためにどのような工夫をしたか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H29-1-PM2-Q2】柔軟性をもたせた機能の設計について
販売管理システムにおける販売方法の追加,生産管理システムにおける生産方式の変更など,業務ルールが度々変化する情報システムや業務ソフトウェアパッケージの開発では,様々な変化や要望に対して,迅速かつ低コストでの対応を可能にする設計,言い換えると柔軟性をもたせた機能の設計が求められる。
システムアーキテクトは,情報システムの機能に柔軟性をもたせるために,例えば,次のような設計をする。
・“商品ごとに保管する倉庫が一つ決まっている”という多対1の業務ルールを,“商品はどの倉庫でも保管できる”という多対多の業務ルールに変更できるように,商品と倉庫の対応を関係テーブルにしておく。
・多様な見積ロジックに対応できるように,複数の見積ロジックをあらかじめ用意しておき,外部パラメタの設定で選択できるようにしておく。
また,このような柔軟性をもたせた機能の設計では,処理が複雑化する傾向があり,開発コストが増加してしまうことが多い。開発コストの増加を抑えるためには,例えば,次のように対象とする機能や項目を絞り込むことも重要である。
・過去の実績,事業環境の変化,今後の計画などから変更の可能性を見極め,柔軟性をもたせる機能を絞り込む。
・業務の特性などから,変更可能な項目を絞り込むことで,ロジックを簡略化する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが設計に携わった情報システムについて,対象業務の概要,情報システムの概要,柔軟性をもたせた機能の設計が必要になった背景を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムで,機能に柔軟性をもたせるために,どのような機能に,どのような設計をしたか。柔軟性の対象にした業務ルールを含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた設計において,開発コストの増加を抑えるために実施した機能や項目の絞り込みについて,その絞り込みが適切であると考えた理由を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H29-1-PM2-Q3】IoTの進展と組込みシステムのセキュリティ対応について
IoTの進展に伴い,ネットワークに接続される組込みシステムが増えている。ネットワークを利用して,機器のデータをアップロードする,プログラムをダウンロードして更新するといった機能の他に,ネットワークに接続された他の機器と協調して動作する,サーバと連携して動作するなど,更に高度な機能を実現することができる。
このようにIoTの進展は組込みシステムの利便性を向上させる一方で,ネットワーク経由で外部から不正に利用される懸念も増大させている。例えば,改ざんしたプログラムに書き換えられたり,なりすましによって機器を不正に利用されたりするなどの被害が想定される。最近では,自律走行車両のように,不正に利用されると物理的損害が懸念されるものもあり,それぞれの組込みシステムの特徴に応じたセキュリテイリスクを特定し,適切に対応する必要がある。
セキュリティリスクへの対応策には,例えば,重要な情報を保護するためにプロセッサを物理的に分けたり,なりすましを防ぐために高度な認証方式を採用したりするなどの手段がある。しかし,その一方でこれらの対応策によって,原価の上昇,リアルタイム性の低下も発生し得る。したがって,トレードオフを考慮した適切な対応策が必要である。また,複数の機器が協調して動作する場合には,どの機器に,どのような対応策を適用するかというアーキテクチャの選択も,費用対効果の観点で重要となる。
組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムのセキュリティリスクと不正利用防止の重要性に基づき,適切な対応策を講じなければならない。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの概要と特徴,及び特定したセキュリティリスクについて,経緯を含め,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムにおいて,セキュリティリスクに対し,どのような考えに基づいて対応策を検討したか。アーキテクチャ選択の観点,トレードオフの考慮を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた対応策について,費用対効果からみた評価,及び今後の課題について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H28:2016
【SA-H28-1-PM2-Q1】業務要件の優先順位付けについて
情報システムの開発における要件定義において,システムアーキテクトは利用者などとともに,提示された業務要件を精査する。その際,提示された業務要件の全てをシステム化すると,コストが増大したり,開発期間が延びたりするおそれがある。そのため,システムアーキテクトは,業務要件のシステム化によって得られる効果と必要なコストや開発期間などから,例えば次のような手順で,提示された業務要件に優先順位を付ける。
1. 業務の特性や情報システムの開発の目的などを踏まえて,組織の整備や教育訓練などの準備の負荷,業務コスト削減の効果及び業務スピードアップの度合いといった業務面での評価項目を設定する。また,適用する技術の検証の必要性,影響する他の情報システムの修正を含む開発コスト及び開発期間といったシステム面での評価項目を設定する。
2. 業務の特性や情報システムの開発の目的などを踏まえて,評価項目ごとに重み付けをする。
3. 業務面,システム面でのそれぞれの評価項目について,業務要件ごとに定量的に評価する。このとき,定性的な評価項目についても,定量化した上で評価する。
4. 評価項目ごとに付与された重みを加味して総合的に評価し,実現すべき業務要件の優先順位を付ける。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが要件定義に携わった情報システムについて,その概要を,情報システムの開発の目的,対象の業務の概要を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムの要件定義で,業務要件をどのような手順で評価したか。その際,どのような評価項目を設定し,どのような考えで重み付けをしたか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた評価手順に沿って,どのような業務要件をどのように評価したか。また,その結果それらの業務要件にどのような優先順位を付けたか。幾つかの業務要件について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H28-1-PM2-Q2】情報システムの移行方法について
情報システムの機能強化のために,新たに開発した情報システム(以下,新システムという)を稼働させる場合,現在稼働している情報システム(以下,現システムという)から新システムへの移行作業が必要になる。
システムアーキテクトは,移行方法の検討において,対象業務の特性による制約条件を踏まえ,例えば,次のような情報システムの移行方法を選択する。
・多数の利用部門があり,教育に時間が掛かるので,利用部門ごとに新システムに切り替える。
・移行当日までに発生したデータを当日中に全て処理しなければ,データの整合性を維持できないので,全部門で現システムから新システムに一斉に切り替える。
・障害が発生すると社会的な影響が大きいので,現システムと新システムを並行稼働させる期間を設けた上で,障害のリスクを最小限にして移行する。
また,移行作業後の業務に支障が出ないようにするために,例えば,次のような工夫をすることも重要である。
・移行作業が正確に完了したことを確認するために,現システムのデータと新システムのデータを比較する仕組みを準備しておく。
・移行作業中に遅延や障害が発生した場合に移行作業を継続するかどうかを判断できるように,切戻しのリハーサルを実施し,所要時間を計測しておく。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが移行に携わった情報システムについて,対象業務の概要,現システムの概要及び現システムから新システムへの変更の概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムにおいて,対象業務の特性によるどのような制約条件を踏まえ,どのような移行方法を選択したか。選択した理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた情報システムの移行において,移行作業後の業務に支障が出ないようにするために,どのような工夫をしたか。想定した支障の内容とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H28-1-PM2-Q3】組込みシステムにおけるオープンソースソフトウェアの導入について
組込みシステムに要求される機能は,年々専門化,高度化しているが,その一方で開発期間は短縮化が求められている。これを解決する方法として,社内で保有していない技術及び標準的な機能は,外部からOS,ライブラリ及びプラットフォームを導入して実現することがある。外部技術の導入に際し,例えばLinuxなど,ソースコードが公開されているオープンソースソフトウェア(以下,OSSという)を利用することがある。また,プラットフォームの採用に際し,顧客からAndroidなどのOSSを使うように要求されることもある。
OSSの多くは無償で利用できる。また,多数の人が利用し開発した成果が更にOSSとして公開されていたり,標準的な装置のデバイスドライバが提供されていたり,インタフェースがデファクトスタンダードになっていたりして,開発者の利便性が高い。
しかし,OSSは市販品とは異なり,一般的には保証やサポートがない。また,OSSの使用許諾条件には,自社開発部分の外部への開示を要求されるものがあるなど,利用においての注意点がある。組込みシステムでは,性能要件達成,独自ハードウェア制御などのために,OSS部分に手を加えたり自社開発ソフトウェアと組み合わせて使ったりすることがあるので,関係部署を交えた協議を要することがある。
このように組込みシステムのシステムアーキテクトは,OSS導入に際して,自社開発ソフトウェアとOSSとをどのように組み合わせるかについて,利点,注意点などを考慮してシステム構築を検討する必要がある。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった組込みシステムの概要と,OSS導入の是非を検討するに至った経緯を,OSS導入の目的を含めて800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムの構築において,OSS導入の是非を検討した際に,関係部署とどのような協議を行い,OSS及び市販品と自社開発ソフトウェアとの組合せに関してどのような考慮をしたか,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べた組込みシステムについて,OSS導入に際し,開発段階で発生した課題,目的の達成度を踏まえて開発時に下した導入の是非に対する判断の妥当性,及び今後の対応について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H27:2015
【SA-H27-1-PM2-Q1】システム方式設計について
システムアーキテクトは,情報システムの開発で,ハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせてシステム要件を実現するのかを総合的に検討し,システム方式を設計する。総合的な検討の視点としては,業務プロセスへの効果,実現可能性などがある。業務プロセスへの効果としては,情報システムの稼働後の業務の処理時間短縮,品質向上,運用コスト削減などがある。実現可能性の判断のためには,適用技術,開発コスト,開発期間,セキュリティリスク,運用性,保守性などを考慮する。
このようなシステム方式設計には,例えば次のようなものがある。
・業務の品質向上という要件を実現するために,業務上のミスが他の業務に大きな影響を与えるような重要な作業は,全てソフトウェア開発の対象に含めた。
・低コストでの業務の効率化という要件を実現するために,実施頻度が高い作業をソフトウェア開発の対象にし,開発すると費用が掛かるが手作業で実施しても業務運用上大きな問題にならない作業は,人手で実施することにした。
・開発期間を短くするために,外部との通信などの共通機能には,ソフトウェアパッケージを活用した。
また,システム方式設計の結果は,利用者に説明しなければならない。そのため,情報システム稼働後の業務の全体像を示して業務部門の役割分担を明確にしたり,業務担当者の利用するシステム機能を業務フローに明示して情報システムの利用局面を示したりするなど,利用者の理解度を高める工夫をすることも必要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがシステム方式設計に携わった,対象の業務と情報システムの概要を,それぞれの特徴を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムで,どのようなシステム要件を実現するために,どのようなシステム方式を設計したか。業務プロセスへの効果,実現可能性などの決定理由を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム方式設計の結果を説明する際に実施した,利用者の理解度を高める工夫を,実例を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H27-1-PM2-Q2】業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について
システムアーキテクトは,業務の課題に対応するために,情報システムの業務機能を変更したり追加したりする。
例えば,通信販売業で,受注量や納品場所などの変更を出荷指示直前まで受け付け,受注当日中に出荷したいという業務の課題に対応するためには,次のような業務機能の変更又は追加が必要となる。
・翌日以降分だけが可能であった受注内容の変更を,出荷指示直前まで受け付け,変更内容を作業計画や作業指示に反映する。そのため,受注から出荷指示までの既存の各業務機能を,日次起動方式から随時起動方式に変更する。
・出荷作業時間を短縮するために,既存の出荷指示機能に,出荷作業者の倉庫内の移動距離が最短となるピッキング順序を指示する機能を追加する。
このような業務機能の変更又は追加では,既存機能の活用や既存の情報システムへの影響の最小化のために,例えば次のような工夫をすることも重要である。
・既存の出荷指示のロジック部分をそのまま利用し,処理方式を随時起動方式に変更することで,受注内容が変更される都度,出荷指示内容に反映できるようにする。
・出荷機能に影響を与えないよう,ピッキング順序を最適化する機能を新たに開発し,既存の情報システムから利用する方式にする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった情報システムにおいて,業務機能の変更又は追加を必要とするような業務の課題はどのようなものであったか。対象となった情報システムの概要,及び業務の概要とともに,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務の課題に対応するために,どのような業務機能の変更又は追加が必要となったか。業務の課題に対応できると考えた理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた業務機能の変更又は追加の際,既存機能の活用や既存の情報システムへの影響の最小化のために,どのような工夫をしたか,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H27-1-PM2-Q3】組込みシステム製品を構築する際のモジュール間インタフェースの仕様決定について
組込みシステム製品は,各機能に対応したモジュール,ユニットなど(以下,モジュールという)を組み合わせて構築する場合がある。モジュール間インタフェースの仕様決定に際しては,組込みシステム製品に求められる要件に配慮しながら,将来発生し得る事態も想定し,適切に対応できるように設計することが望まれる。
例えば,開発着手後の仕様の変更・追加が想定される組込みシステム製品の場合は,他のモジュールに影響しないようにインタフェースの仕様を決定し,柔軟性をもたせる。そのためには,モジュール間を疎結合とし,機能を極力独立させるようなインタフェースにする。一方で,機能仕様が固定されていて,少ないハードウェア資源で大きなパフォーマンスが要求される組込みシステム製品の場合は,全体を密結合としたインタフェースにする。
また,長期間使用されることが求められる組込みシステム製品の場合は,将来,保守,リプレースなどでモジュールの交換が発生することがある。その際,陳腐化,生産中止などの理由から新たなモジュールに置き換えなければならなくなるリスクが想定される。
したがって,組込みシステム製品に求められる要件を満たすためには,開発に着手する前に,最適なモジュール分割,モジュールの結合度,製品寿命などを考慮した上で,インタフェースの仕様を十分に検討することが重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった組込みシステム製品の概要,特徴,及び要件について,モジュール間インタフェース仕様で配慮した内容を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステム製品に求められる要件に適切に対応するために考慮したモジュール間インタフェースについて,将来発生し得ると想定した事態の内容,及びその事態に対してどのように配慮したかを,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたモジュール間インタフェースの仕様決定が,組込みシステム製品の開発にどのように影響し,組込みシステム製品の納入後に,どのように評価されたかを,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H26:2014
【SA-H26-1-PM2-Q1】業務プロセスの見直しにおける情報システムの活用について
業務プロセスの見直しでは,情報システムを活用することが多い。業務プロセスの見直しを行う際は,業務上の問題とその原因を明らかにする必要がある。例えば,次のようなものがある。
・特定の業務プロセスに時間が掛かっていることが原因で全体の時間が延びている。
・顧客への対応手順が支店ごとに異なることが原因でクレームが発生している。
・判断のミスが多いことが原因で発注のロスが発生している。
システムアーキテクトは,原因を取り除くために情報システムの活用を検討する。
情報システムの活用には,例えば次のようなものがある。
・特定の業務プロセスに時間が掛かっていることが原因の場合,原因になっている業務プロセスを情報システムで自動化し,時間短縮を図る。
・顧客への対応手順が支店ごとに異なることが原因の場合,業務プロセスの標準に基づいた情報システム機能を開発し,必ず対応手順が同じになるようにする。
・判断のミスが多いことが原因の場合,ルール化した判断方法を情報システムに組み込み,人間による判断を排除する。
また,このような情報システムの活用では,例外的な状況でも業務プロセスが実行できるように,次のような対応を検討しておくことも重要である。
・まれに発生する例外データへの対応方法の用意
・情報システムで判断できない場合の人間への判断材料の提示
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった業務プロセスの見直しについて,見直しの対象となった業務プロセス,及び関連する情報システムの概要を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務プロセスの見直しは,どのような業務上の問題とその原因に対応するためのものであったか。また,原因を取り除くためにどのように情報システムを活用したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた情報システムの活用で,例外的な状況でも業務プロセスが実行できるように,想定して検討した,起こり得る状況とその対応を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H26-1-PM2-Q2】データ交換を利用する情報システムの設計について
ビジネスのスピード向上や業務運用の効率向上を目的として,企業間や企業内システム間でデータ交換を利用する情報システムを構築する企業が増加している。データ交換では,運用時間帯,データ送信順序などの制約事項が,あらかじめ決まっている場合が多い。システムアーキテクトは,これらの制約事項を踏まえて,データ交換を利用する情報システムを設計しなければならない。
例えば,データ交換を利用する受発注システムの場合,次のように情報システムの設計を行う。
・大量の入力データがある場合でも,データの送信開始時刻に間に合わせるために,送信側で,送信データの作成を多重で処理できるように設計する。
・受注データとマスタデータの送信順序が保証されない場合,データの整合性を維持するために,受信側で全ての受信データを一時保管した上で,その中からマスタデータを先に反映するように設計する。
さらに,次のように,データ交換に伴う異常を想定して,情報システムでの対応方法を用意しておくことも重要である。
・一部の受信予定データが届かない場合,その後の処理全体が滞ることを避けるために,事前の取決めに従って,後続処理を開始できるようにする。
・受注データの受信から加工までの処理を自動化する場合でも,受注数量が過去実績に比べて極端に多いなどの業務上の異常データが発生したときには,処理を中断して人手による確認ができるようにする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが構築に携わった情報システムにおいて,データ交換を利用する目的を,対象業務,及び対象の情報システムの概要を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた情報システムの構築において,どのような制約事項を踏まえて,どのように情報システムを設計したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問アで述べた情報システムの構築において,データ交換に伴うどのような異常を想定し,情報システムでどのような対応方法を用意したか。その対応が必要になる理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H26-1-PM2-Q3】組込みシステムの開発における機能分割について
組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムの開発において,製品開発の企画書などで示されたシステム要件に基づき,機能仕様を決定する。また,機能仕様を実現するために,各機能を適切に分割して最適なシステムアーキテクチャを設計することが求められている。
例えば,機能仕様で,データに対して機能Aと機能Bを実現することと,データ量の増減に合わせて処理装置を増減することが求められているとする。このときのシステムアーキテクチャの設計では,機能Aの処理装置と機能Bの処理装置を複数個ずつ組み合わせて実現するか,両機能を実装した処理装置を複数個で実現するかを決定することがある。また,システム要件で示された安全性を確保するために,ハードウェアで実装する機能とソフトウェアで実装する機能を明確にし,両者を組み合わせて必要かつ十分な安全性を実現することなどがある。
適切な機能分割を行うためには,安全性,信頼性,性能,開発スケジュール,開発・製造・保守などのコスト,製品展開,拡張性・再利用性,規格への適合性,知的財産などについて,複数の機能分割案を比較・検討する必要がある。その際には,必要な事項を調査し,可能な限り定量的に比較・検討を行うことが重要である。
また,システムアーキテクトは,機能分割の結果をシステムアーキテクチャ設計書,ハードウェア要求仕様書,ソフトウェア要求仕様書などにまとめる。このとき,決定に至った過程・経緯に対する追跡が行われることを考慮する必要がある。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの機能,性能などの概要と,機能分割の対象とした機能を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムに対する機能分割案の比較・検討に際して,調査を必要とした事柄,及び機能分割案の内容・比較項目・検討結果について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた機能分割案に対する評価,及び決定に至った過程・経緯に対する追跡への対応について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H25:2013
【SA-H25-1-PM2-Q1】要求を実現する上での問題を解消するための業務部門への提案について
情報システムの開発における要件定義では,業務を担当する部門(以下,業務部門という)からの要求を,どのように情報システムを活用して実現するかを検討する。しかしその過程で,次のような,要求を実現する上での問題が発生する場合がある。
・処理時間が長くなり,求められる時間内に終了しないことが明白である。
・データを必要なタイミングで取得できない。
・コストに見合った効果が得られない。
システムアーキテクトは,このような問題を解消又は軽減するために,コストや納期と,業務上の効果とを総合的に検討した上で,業務部門に,例えば次のような提案をする。
・処理時間が長くなる場合,業務に影響の少ない範囲で月次処理の一部を事前に行うなど,業務処理の単位を見直して,情報システムで対応する。
・経費関連の数値が月次でしか取得できない場合,日次決算では実績から算出したみなしの数値を利用するという業務ルールを提示し,情報システムもこれに対応する。
・コストに見合った効果が得られない場合,一部の業務機能をシステム化の対象から除外し,情報システムによらない対応策を提示する。
また,提案の際,業務部門が提案の採否を判断しやすいように,コストや納期に加えて,業務の特性及びシステム化の目的を踏まえた評価項目などを提示し,業務上の効果について,提案を採用する場合としない場合とを対比することも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった情報システムの要件定義について,その概要を,開発の背景,対象の業務,業務部門からの要求を含めて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた要件定義で,要求を実現する上でどのような問題が発生したか。また,その問題を解消又は軽減するために,業務部門にどのような提案をしたか。業務や情報システムでの対応を中心に,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた提案の中で,業務部門が提案の採否を判断しやすいように提示した評価項目などと,提案を採用する場合としない場合とを対比して評価した業務上の効果,及びその評価結果について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H25-1-PM2-Q2】設計内容の説明責任について
システムアーキテクトには,システム開発関係者に十分な情報を提供し,設計した内容が適切であることを説明する責任がある。そのためには,説明する相手に応じて,理解してほしい項目とその説明の観点を明確にしなければならない。
例えば,ソフトウェア開発リーダにソフトウェア方式を説明する場合には,ソフトウェア要件定義書に基づき,ソフトウェアの最上位レベルの構成及びコンポーネントが果たすべき機能が業務要件と整合していることを理解してもらう。その際,次のような観点から説明する。
・対象業務の機能要件及び非機能要件と,コンポーネント分割の方針との整合性
・コンポーネント分割の方針に従って設計したソフトウェア構造,そのソフトウェア構造の業務変化への対応容易性などの評価項目と評価結果
また,ITサービスマネージャに障害時の対応処理方式を説明する場合には,ITサービス要件で定めた目標に基づき,設計したハードウェア構成及びソフトウェア方式によって目標を達成できることを理解してもらう。その際,次のような観点から説明する。
・障害への対応方針と,その方針に従った障害対応処理の設計内容
・設計した障害対応手順などがITサービス要件を満たしていると判断した根拠
さらに,限られた時間内で効率よく理解してもらえるように,構成を含めプレゼンテーションを工夫することも重要である。例えば,全体を説明した上で各論を説明するために,全体を俯瞰できる資料及び個別の論点と結論を明確にした資料を用意する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが設計に携わったシステムとその対象業務,及びあなたが責任をもって説明した設計の概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた設計の内容を,誰に,どのような項目を理解してもらうために,どのような観点から説明したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた説明を限られた時間内で効率よく理解してもらえるように,どのようにプレゼンテーションを工夫したか。また,その結果から,プレゼンテーションの内容について改善すべきと考えた点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H25-1-PM2-Q3】組込みシステムの開発における信頼性設計について
組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムの使用環境条件,信頼性,安全性などの品質要件を分析し,機能仕様を決定する。このとき,品質要件として,高い信頼性,安全性が求められることがある。例えば,24時間365日にわたって常時稼働すること,誤動作によって人の生命,財産に危害が及ばないことなどである。これらの品質要件を,所要期間にわたって維持するためには,ハードウェアとソフトウェアの両面から信頼性設計を行うことが重要である。
組込みシステムの開発における信頼性設計の考え方として,フォールトトレランスがある。この考え方は,システムが故障することを前提に,たとえ故障したとしてもシステム全体の機能を維持するというものであり,次のような設計手法がある。
・フェールセーフシステムが故障したときに,システムをより安全な状態に移行させる。例えば,交通システムで故障を検出したとき,停止信号を送出して安全を確保する。
・フェールソフト:システムが故障したときに,システムから故障部分を切り離すなどして,影響を最小限にとどめ,処理を継続させる。例えば,CPUの排熱ファンが故障したとき,CPUの性能を下げて熱の発生を抑える。
その他に,使用者が操作や手順を間違えても,危険を回避するという考え方に基づいた設計手法(フールプルーフ)がある。例えば,電子レンジでは,扉を閉めないと加熱できないようにするなどである。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムについて,その性能,機能などの概要と,信頼性設計の対象となった品質要件を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステムの開発で使用した信頼性設計の設計手法・内容について,開発スケジュール,コスト設計などとの関係を含めて,ハードウェアとソフトウェアの両面から,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた信頼性設計によって,品質要件をどの程度満たすことができたか。定量的評価を含めた考察と,副次的に発生した利点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H24:2012
【SA-H24-1-PM2-Q1】業務の変化を見込んだソフトウェア構造の設計について
企業を取り巻く環境の変化に応じて,業務も変化する。情報システムには,業務の変化に対応して容易に機能を変更できるような,ソフトウェア構造の柔軟性が求められる。
このため,システムアーキテクトは,システム要件定義の段階から,業務の変化が起こり得るケースを想定し,変化の方向性やシステムに与える影響を予測する。ソフトウェア構造の設計では,その予測に基づいて,業務が変化してもシステム全体を大きく作り直す必要がないように考慮しなければならない。
例えば,次のようにソフトウェア構造の設計を行う。
・業務フローの制御部分と業務ロジック部分を分離する。
・業務ロジックが互いに疎結合となるように分割する。
・データアクセスコンポーネントを共通化する。
その際,そのような設計を行うことによって引換えに生じた課題に対応するための工夫を行うことが重要である。例えば,処理時間が長くならないように複数のプロセスを並行して処理したり,処理同士の整合性を確保するために排他制御の仕組みを用意したりする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがソフトウェア構造の設計に携わったシステムにおける,対象業務の概要及び特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,どのような業務の変化を想定したか。また,業務が変化してもシステム全体を大きく作り直す必要がないように,どのようなソフトウェア構造を設計したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたソフトウェア構造の設計において,生じた課題とそれに対応するために重要と考えて工夫した内容,及び設計したソフトウェア構造に対するシステムアーキテクトとしての評価について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H24-1-PM2-Q2】障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計について
業務におけるシステムの重要性の増大に伴い,システムの障害時にもサービスを継続させることが重要になっている。システムアーキテクトは,サービス継続の方針に基づいて,機器の二重化などハードウェア面での対策だけでなく,障害時に継続運用を可能にする業務ソフトウェアを設計する。
例えば,小売業で“来店する顧客が通常どおり商品を購入できること”,金融業で“決済取引を止めないこと”がサービス継続の方針である場合,システムアーキテクトは,次のように障害時にも継続運用を可能にする業務ソフトウェアを設計する。
・小売業で本部と店舗のシステムが連携してPOS売上処理を行っている場合,本部システムの障害に備え,POS売上処理を店舗システム単独で稼働可能にする。このため,店舗システムにPOS売上データを一時的に保持する機能を用意しておく。
・金融業で,ネットワークの処理能力が大幅に低下するような障害に備え,障害時に決済取引以外の処理を一時的に停止する機能を用意しておく。
このような,継続運用を可能にする業務ソフトウェアを設計する際,更に次のような継続運用に備えた処理や障害復旧処理における工夫をする。
・通常時に,本部のマスタを更新する都度,店舗のマスタも同時に更新し,いつでも店舗システム単独での稼働に切り替えられるようにする。また,店舗での欠品を防止するために,復旧後,配送頻度の高い食品などの発注データを優先的に処理する。
・ネットワークの処理能力の回復後,停止させていた業務を再開するとともに,全業務が利用可能であることを利用者の画面上に表示する仕組みを用意する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった,障害時にも継続運用を可能にするシステムについて,対象業務とシステムの概要,サービス継続の方針について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた方針に基づいて,障害時にもサービスを継続することにした処理は何か。また,継続運用を可能にするために業務ソフトウェアをどのように設計したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた業務ソフトウェアの設計で,継続運用に備えた処理や障害復旧処理においてどのような工夫をしたか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H24-1-PM2-Q3】組込みシステムの開発プロセスモデルについて
組込みシステムの開発では,システムの要求分析から出荷に至るまでの工程において,システムの品質,開発コスト及び納期のバランスをとるために,適切な開発プロセスモデル(以下,プロセスモデルという)を決定する必要がある。そのために,組込みシステムのシステムアーキテクトは,システム開発における様々なプロセスモデルの特性を理解して,システムに最適なプロセスモデルを選択し,決定する。
例えば,プロジェクトマネジメントの容易さの観点からは,開発工程が明確に分かれているウォータフォールモデルが用いられる。ただし,このプロセスモデルは,開発途中での要求仕様の変更がなく,かつ,各開発工程を手戻りなく実行することが前提になっている。
また,ユーザインタフェースの要求仕様が不明確な状態から開発する場合に用いられる,プロトタイピングモデルがある。このプロセスモデルでは,試作品の作成とその評価を繰り返し,要求仕様を明確にしていくので,工程の時間管理が重要になる。
一方,多くの機能をもつシステムを開発する場合に,システムを独立性が高い幾つかのサブシステムに分割して,サブシステムごとに順次開発し,リリースしていくインクリメンタルモデルもある。その他,スパイラルモデル,オブジェクト指向開発モデルなど多くのプロセスモデルがあり,対象システムの特徴や納期,社内の開発環境などを考慮して最適なプロセスモデルを決定しなくてはならない。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった組込みシステムの概要について,開発目標,開発の特徴を含め,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた組込みシステム開発で,どのような点をプロセスモデルの決定において重要と考えたか。また,その結果,どのようなプロセスモデルを採用したか。採用に至る過程を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたプロセスモデルの採用は適切であったか。また,そのプロセスモデルによって開発目標を達成し,システムの品質,開発コスト及び納期の最適化を実現できたか。更に改善する余地があればその事項も含め,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H23:2011
【SA-H23-1-PM2-Q1】複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しについて
近年,情報システムへの要求は,事業統合に伴う業務システムの統合や,事業を横断した顧客動向の把握など,複数のシステムに関連するものが増える傾向にある。それらの要求に対応するとき,機能やデータの配置などのシステム構造を全体最適の観点から対象となる全システムにまたがって見直し,機能追加の容易性の確保や変更時の影響範囲を狭めることも重要である。
このような複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しにおいて,システムアーキテクトは,例えば,次のような視点から業務とシステムを分析する。
・新たな商品やサービスに対応する際の変更箇所や変更方法の傾向
・システムによる機能の配置の違い
・データの配置や流れ
分析の結果に基づき,複数の類似した機能及びデータを共通化するために,コンポーネントの分割・統合を実施したり,マスタファイルを各システムから分離・統合したりすることなどを検討し,システム構造を見直す。多くの場合,考えられるシステム構造は複数あり,それぞれにメリットやデメリットがあるので,そのメリットを生かすとともにデメリットの軽減方法を検討した上で,新しいシステム構造を選定する。
例えば,システム間の接続が複雑化してしまう場合には,複雑化を解消するために,連携基盤を採用して各システムをハブ型に接続する。統合しようとするマスタファイルのコード体系が異なる場合には,互いのデータを関連付けるために,新たなコード体系を定義して新旧のコードの相互変換を可能にする。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しについて,見直しの背景と概要,対象になった複数のシステムの概要を800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステム構造の見直しにおいて,業務とシステムをどのような視点から分析し,どのような新しいシステム構造を選定したか。メリットなどの選定理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた新しいシステム構造には,どのようなデメリットがあり,どのような軽減方法を検討したか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H23-1-PM2-Q2】システムテスト計画の策定について
システムアーキテクトは,システムテストの直前だけではなく,様々な局面でシステムテスト計画についての検討を求められる。その計画の策定において,対象業務の重要度や業務特性を考慮しながら,障害発生時の対応,オンラインやバッチのピーク時処理など,テストの重点確認項目を明確にする。重要度や業務特性を考慮した重点確認項目には,例えば,次のようなものがある。
・銀行のATMでの取引業務や小売業のPOSでの売上管理業務など重要度が高く,障害発生時にも一定のサービスを継続しなければならない業務の場合,円滑に縮退運転に移行できること
・株式の取引業務など処理量が極端に変動する業務の場合,想定する最大のデータ量を処理できることに加え,変動するデータ量にも適切に対応できること
システムテストでは,本番と同じ構成をテスト環境として構築し,十分なテスト期間を設定することで,システムの品質を確保することが望ましい。しかし,一般的には期間や費用などに制約があるので,その中で効率よくシステムの品質を確保するシステムテスト計画を策定することが重要であり,例えば,次のような工夫を行う。
・限られた期間で,網羅性の高いテストを行うために,月次処理に続けて年次処理を実施できる日付を設定して,テストの準備工数を削減する。
・限られた費用で,多くのテストケースを実行するために,自動化ツールを採用して人件費を削減する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムテストにおいて,対象業務と対象システムの概要,及び期間や費用などの制約について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムのシステムテスト計画を策定する際に,あなたは,どのようなテストの重点確認項目を設定したか。考慮した業務の重要度や業務特性とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステムテスト計画の策定において,制約のある中で効率よくシステムの品質を確保するために,あなたが重要と考え工夫した点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H23-1-PM2-Q3】組込みシステムの開発におけるプラットフォームの導入について
近年,組込みシステムの高機能化,多機能化とともにその開発規模が大きくなり,リアルタイムOSなどのプラットフォームが導入されるようになった。この状況に対応するために,組込みシステムのアーキテクトには,プラットフォームの性能,機能,特徴などに関する十分な見識,及び開発対象の組込みシステムに最適なプラットフォームを選択する能力が求められている。
プラットフォームの選択では,まず,機能の実現,品質の確保,開発期間の短縮,開発コストの削減など,プラットフォームの導入目的を明確にする。次に,導入目的に適合した複数のプラットフォームを候補とし,それらを比較して最適なものを選択する。この際,上記に示した導入目的以外に,開発環境,採用実績,ライセンス,開発要員のスキル,再利用性などについても評価することが重要である。
プラットフォームを導入した組込みシステムの開発が終了したときには,導入目的の達成度,導入による副次的な利点及び導入したことによって発生した問題点について評価し,将来の開発に備えることが重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったプラットフォームを導入した組込みシステムについて,その機能の概要及びプラットフォームの導入目的を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたプラットフォームの導入に当たって,比較した複数のプラットフォームについて,最適なものを選択するための重要な要素となった比較項目と比較結果を,導入目的を踏まえて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた比較結果に基づいて選択したプラットフォームの導入目的の達成度,導入による副次的な利点及び導入したことによって発生した問題点について,あなたの評価も含めて600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H22:2010
【SA-H22-1-PM2-Q1】複数の業務にまたがった統一コードの整備方針の策定について
近年,事業を横断した顧客動向の把握,事業グループ全体での在庫量の適正化などを目的に,複数の業務にまたがった業務改善が行われている。このような業務改善では,複数の業務間で統一的に集計や分析をするために,顧客,仕入先,製品などそれぞれに,統一したコード(以下,統一コードという)を付与することが多い。
しかし,一般に,業務ごとに利用しているコードは,体系だけでなく,コードを付与している対象や範囲などが異なることも多い。例えば,同じ顧客コードであっても,付与している対象が企業の場合と企業に属する個人の場合がある。また,付与している範囲が契約先だけを対象にしている場合と契約先に加えて契約見込先などを対象にしている場合がある。
その際,システムアーキテクトは各業務の特性を踏まえ,統一コードの体系,統一コード付与の対象や範囲,個別の業務で利用しているコードとの変換方法など,統一コードの整備方針を策定する。
統一コードの整備方針の策定では,例えば,次のような視点から現状の業務やシステムを調査する。
・現状のコード体系や,コードを付与している対象,範囲の違い
・新たなコードを付与することによる,業務やシステムへの影響
また,与えられたコストと期間で業務改善を実現するために,統一コードの付与を業務改善効果の大きな業務に限定する,あるいはコード変換機能を一元化して既存システムへの影響を排除するなどの工夫をすることも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった統一コードの整備方針の策定における,複数の業務にまたがった業務改善の目的と,対象のコードについて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務改善を実現するために,あなたは現状の業務やシステムをどのような視点から調査したか。また,その結果に基づいて,どのような統一コードの整備方針を策定したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた整備方針の策定で,与えられたコストと期間で業務改善を実現するために重要と考え,工夫した点を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H22-1-PM2-Q2】システム間連携方式について
生産システム,物流システム,販売システムなどの企業内システムは,部門ごとに独立したシステムとなっている場合がある。このため,販売システムで発生する顧客データを物流システムに渡して最新の顧客情報で出荷伝票を出力する,販売システムで発生する販売データを生産システムの在庫情報に反映して迅速に生産計画を決定するなど,企業内の情報共有をシステム間連携によって実現することがある。システム間連携方式には,ファイル転送,データベース共有,リアルタイム連携などがある。
システムアーキテクトは,システム間連携方式を選択する際に,例えば,次のような業務要件に留意しなければならない。
・当日登録した顧客情報に基づいて,当日配送を可能とする必要がある。
・生産数の確定前に,拠点ごとの在庫数を確定する必要がある。
これらの業務要件を踏まえ,データの収集と反映のタイミング,処理すべきデータ量などのシステム要件を明確にする。その要件に基づき,データ伝送時間,システム間の整合性の維持などを考慮して,適切なシステム間連携方式を選択する。
さらに,運用時間帯,運用体制などの運用要件を明らかにし,稼働状況のモニタリング,異常の検知,障害発生時の対応などの実現方法を検討することも重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステム間連携方式の検討において,対象システムの概要と連携が必要になった背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムを連携させる際に,あなたは,どのような業務要件を踏まえ,どのようなシステム要件を明確にしたか。また,その要件に基づいてどのようなシステム間連携方式を選択したか,選択した理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム間連携方式について,運用要件と実現方法を,重要と考えた点を中心に,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H22-1-PM2-Q3】組込みシステム開発におけるハードウェアとソフトウェアとの機能分担について
組込みシステム開発において,システムアーキテクトは,製品開発などの企画書に基づいて,システムの要件を分析し,機能仕様を決定する。また,決定した機能仕様の具体的な実現手段を検討し,最適なアーキテクチャを決定する。その際,機能を実現するためにハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定し,それぞれへの要求仕様を決定することが求められる。
例えば,暗号化処理,画像処理などのアルゴリズムにおいては,すべてをソフトウェアで実現する方法,又はハードウェアの支援を得て実現する方法がある。後者の場合では,ハードウェアとソフトウェアとの機能分担については,様々な実装方法が考えられる。
ハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定するためには,次のような項目についてハードウェアとソフトウェアとのトレードオフを検討することが重要である。
・開発スケジュール
・開発コスト,製造コスト,保守コスト
・性能,信頼性,保守性
・自社保有技術,知的財産
・再利用性,拡張性
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わった組込みシステム開発で,機能の実現のためにハードウェアとソフトウェアとのトレードオフを検討し,機能分担させた製品について,その性能,特徴などの製品概要,及び分担させた機能を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた製品の開発において,ハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定するために,ハードウェアとソフトウェアとのトレードオフについて検討した項目及びそれぞれの内容を,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた検討結果を基に,それぞれへの要求仕様で示した,ハードウェアとソフトウェアとの機能分担の内容,及びその機能分担に対する現在の評価を,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H21:2009
【SA-H21-1-PM2-Q1】要件定義について
システムアーキテクトは,要件定義において,ユーザ要求をヒアリングし,その要求を正しく理解した上で,システムの要件としてドキュメントにまとめ,ユーザに確認する。
しかし,ユーザから提示された要求に漏れがあったり,ユーザ要求の意味を取り違えたりすると,システムから出力された情報が想定したものと異なったり,必要な情報の提供タイミングが遅くなったりするなど,本来,ユーザが求めているシステムにはならないことがある。したがって,システムアーキテクトは,次のような点に留意して,ユーザ要求をヒアリングし,その要求を正しく理解することが大切である。
・ユーザから提示された個々の要求に矛盾がないか。
・ユーザ要求として提示されるべき業務手順や法的な制約などが,ユーザ部門内では自明のこととして,省略されていないか。
その上で,要件としてまとめるために,対象業務をモデル化したり,ユーザ要求を可視化したりする。その際,ユーザとの認識の相違をなくすために,次のような工夫を行うことが重要である。
・モデルを分かりやすく表記するためにUMLを用いたり,言葉の定義を統一するために用語辞書を作成したりする。
・現行業務とシステム構築後の業務の変更点を明確にするために,両者の対比表を作成する。
・システムによって実現する機能と運用によって行う作業を明確にするために,業務の流れ,処理のタイミングを記述した業務フロー図を作成する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが要件定義に携わったシステムについて,対象業務の概要とシステム開発の目的を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,ユーザ要求を正しく理解するために,あなたはどのような点に留意してユーザ要求をヒアリングし,どのように要件としてまとめたか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた要件をまとめる際,ユーザとの認識の相違をなくすために,重要と考え工夫した点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H21-1-PM2-Q2】システムの段階移行について
企業活動の中心となる販売管理システム,生産管理システム,会計システムなどの基幹業務システムを再構築した場合,これらは一般的に規模が大きいシステムなので,一括移行ではなく,段階移行を選択する場合が多い。
例えば,多数の店舗を保有する企業では,店舗システムを,店舗ごとに旧システムから新システムへ順次切り替える方法をとる。その場合,本部システムは,店舗システムの切替期間中,新旧システムを両方稼働させ,全店舗の切替終了後,旧システムを停止する。
このような場合は,新旧システムが併存する並行運用期間が発生するので,システムアーキテクトは,その間の対応を検討する必要がある。例えば,データの二重管理,新旧システムの機能差異などの課題に対し,次のような対応が必要になる。
・日中にマスタファイルのデータの変更を行うとき,新旧システムの両方のマスタファイルの同期を取って変更する必要があるので,一度の変更で両方のマスタファイルを更新する機能を追加する。
・全社が新システムに切り替わるまで,新旧システムの機能差異を埋めるための暫定的な対応を行う。
その際,例えば,次のような工夫を行う。
・並行運用期間中だけ利用する追加の機能は,削除する際にほかの機能に影響を与えない方法で実装する。
・暫定的な対応を行うとき,基幹業務システムでの対応,EUCによる対応,運用による対応などを組み合わせて,工期,工数を最小限にとどめる。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが移行に携わったシステムの概要と,段階移行の方法について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,あなたは並行運用期間中の課題をどのように想定し,その課題に対してどのような対応方法を選んだか。その課題,対応方法,選んだ理由を,業務の特性を踏まえて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた対応方法を実施する上で,重要と考え工夫した点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
【SA-H21-1-PM2-Q3】組込みシステムにおける適切な外部調達について
システムアーキテクトは,製品開発などの企画書に基づいてシステムの要件を分析し,機能仕様を決定する。また,この機能仕様を実現するための具体的な手段を検討し,最適なアーキテクチャを設計する。この際,ある機能を実現するために,外部調達が必要になることがある。
例えば,機能を実現するには,自社の保有技術だけでは困難であったり,開発に時間が掛かり過ぎたりすることがある。このようなとき,実現手段として,モジュール,ライブラリ,部品,技術などを外部調達することが考えられる。
実現すべき機能のどの部分を外部調達するかは,システムのアーキテクチャ設計を踏まえて,調達する部分を適切に選定する必要がある。そのためには,実現すべき機能について更に詳細に機能分割することのほかに,次のような点について分析し,検討することが重要である。
・コスト
・開発スケジュール
・性能,信頼性,保守性
・将来の再利用性
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがシステムアーキテクトとして携わった組込み製品の概要,及び必要な機能の実現手段の検討において発生した外部調達の課題について,製品の特徴や特性を踏まえて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた外部調達の課題に対して,あなたはどのような点について分析し,検討し,どのような結論に達したかを,本文中の四つの点も含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イの結論に基づいた製品開発が完了したときには,改めて設問イで述べた検討内容及び結論について評価し,その経験を次の開発に活用していくことが重要である。あなたは,取り組んだ外部調達についてどの点をどのように評価し,引き継がれていく経験として何を残したかを,設問イの論述を踏まえて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📗H20:2008
【AE-H20-1-PM2-Q1】システム要件定義の準備について
システム要件定義(以下,要件定義という)は,限られた期間内で品質を確保し,かつ,効率よく行うことが求められるので,ユーザとの打合せを実施するに当たっては,事前の準備が大切である。
アプリケーションエンジニアは,準備に当たって,メンバの経験やスキル,対象業務の特徴を踏まえ,例えば,次のような工夫をしなければならない。
・要件定義を行うメンバのスキルを補強し,メンバ間のコミュニケーションが円滑に行われるよう,業界知識や業務要件などテーマを厳選した勉強会を行う。
・ヒアリングの対象者は,その組織や立場を考慮して選定し,対象者に合わせたヒアリングシナリオを作成しておく。
・関係する資料の提供をユーザに依頼する際,ユーザが準備しやすいようにサンプルを提示する。
・システムや業務機能が類似しているほかのシステムの要件を参考にし,確認すべき要件をリストアップしておく。
これらの事前の準備結果を基に,ユーザと開発者の両者でそれぞれが行うべきことや協力して行うべきことを確認・合意して要件定義を進めることが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と対象業務の特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムの要件定義において,限られた期間内で品質を確保し,かつ,効率よく行うために,あなたはどのような準備をしたか。要件定義を行うメンバの経験やスキル,対象業務の特徴を踏まえて,重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた準備について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H20-1-PM2-Q2】フレームワークの利用について
最近,システムの開発にフレームワークを利用するケースが増えている。フレームワークを効果的に利用することができれば,対象システムの品質を確保し,生産性の向上が期待できる。
ただし,フレームワークの利用においては,例えば,利用方法の習得時間の短縮,機能や性能面での制約への対応,機能の利用方法に関する開発者間のばらつきの統制,業務機能の効率の良い設計・開発などの課題に直面することがある。
アプリケーションエンジニアは,これらの課題を解決するために,利用するフレームワークの経験者や専門家の協力を得ながら,次のような対策を実施しなければならない。
・利用方法の習得時間を短縮するために,専用の開発支援環境や利用ガイドを整備する。
・機能や性能面での制約に対応するために,フレームワークの一部をほかのフレームワークや独自に作成したソフトウェアなどで代替する。
・機能の利用方法に関する開発者間のばらつきを統制するために,利用規約を作成して周知徹底を図ったり,利用する機能に制限を加えたりする。
・業務機能を効率よく設計・開発するために,フレームワークに基づいて,業務機能用のテンプレートや業務共通の機能を設計・開発し,各業務機能の設計・開発でそれらを利用する。
これらの対策を,システムの規模,要求される性能や信頼性の水準などのシステムの特性,開発要員のスキルなどを考慮して,効果的に実施しなければならない。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステム,及び利用したフレームワークの概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたフレームワークを利用するために課題と認識したことは何か。また,それらの課題を解決するために,システムの規模,システムの特性,開発要員のスキルなどを考慮して,どのような対策をどのように効果的に実施したか。重要と考えた点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた対策について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H20-1-PM2-Q3】開発工数の見積りについて
要件定義が終了した段階で,開発工数の見積りを行う場合には,機能ごとの工数を積算して見積もったり,作成する画面数や帳票数から見積もったり,過去の開発事例を参考にしたりする。
その際,開発工数の見積りをより正確に行うためには,例えば,次のような開発工数の見積りに影響を与える要素についても,考慮することが必要となる。
・対象業務に関する開発メンバの経験や理解度
・採用する開発手法や開発ツールに対する開発メンバの生産性
・経験したことのないような大規模(データ量,トランザクション量,ユーザ数など)なシステムにおけるテスト期間や要員計画
アプリケーションエンジニアは,これらの要素について,対象業務やシステムの特徴を踏まえて,次のような工夫を行い,開発工数の見積りをより正確に行うことが大切である。
・対象業務に関する開発経験が不足している場合には,過去の類似開発事例を参考に機能分割を行う。
・採用する開発手法や開発ツールを用いてプロトタイプを作成し,その実績工数から開発メンバの生産性を見極める。
・経験したことのないような大規模なシステムのテストでは,ほかのシステムを参考に規模の相違度合いを評価して,テスト方法やシナリオを策定し,テスト期間や要員計画に反映させる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と対象業務の特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
要件定義が終了した段階で,開発工数の見積りに影響を与えると考えた要素について簡潔に述べよ。また,その要素について,対象業務やシステムの特徴を踏まえて,どのような工夫を行い,開発工数の見積りを行ったか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた開発工数の見積りについて,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H19:2007
【AE-H19-1-PM2-Q1】業務システムのセキュリティ対策の設計について
大規模ネットワークを介して多くの人が利用する業務システムが増えている。このような業務システムの構築においては,ネットワークを介した不正アクセス,情報漏えい・改ざんなど,セキュリティ上のリスクを想定し,社内外のセキュリティポリシやセキュリティ標準などに基づいて,情報の重要度を考慮し,適切なセキュリティ対策を設計することが求められる。
具体的には,利用権限のない者による不正アクセスを防止するために,一定けた数以上のユーザIDやパスワードの入力を求めたり,情報漏えいの対策として,データを暗号化したりする。さらに,より厳格なセキュリティ対策が必要な場合には,二重三重の対策を組み込むことがある。例えば,インターネットバンキングシステムでは,本人確認をより厳格に行うために,ログインパスワードに加えて,取引時に第2パスワードを入力させたり,人事情報システムでは,データの暗号化に加え,情報漏えい・改ざん時の調査に役立てるためにデータへのアクセスログを取得したりする。
しかし,それらの厳格な対策を組み込むことによって,入力方法が煩雑になったり,応答時間が長くなったり,ハードウェアコストが増加したりする場合がある。このような場合,例えば,インターネットバンキングシステムでは,振込・振替等の資金移動取引時だけ第2パスワードを入力させたり,人事情報システムでは,特に重要と思われる情報へのアクセス時だけデータへのアクセスログを取得したりするなどの工夫が必要となる。アプリケーションエンジニアは,対象業務の特徴を踏まえた上で,使い勝手や性能,コストなども十分考慮して,適切なセキュリティ対策を設計することが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった業務システムについて,情報の重要度を踏まえた対象業務の特徴と対象システムの概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた業務システムについて,どのようなセキュリティ上のリスクを想定し,そのリスクに対してどのようなセキュリティ対策を設計したか。その際,使い勝手や性能,コストなどについて,特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた設計内容について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H19-1-PM2-Q2】優れたユーザビリティ実現のためのWebシステムの設計について
顧客サービスの向上や事務作業の効率向上などを目的に,企業内で利用されてきた基幹系システムを拡張して,企業外の多くのユーザに利用してもらうためのWebシステムを開発するケースが増えている。例えば,基幹システムに取り込む注文をインターネットで受け付けたり,基幹システムのデータを使って,注文の配送状況をインターネットで確認したりするようなWebシステムがそれに当たる。
このようなシステムでは,ユーザに入力・表示方法やレスポンスなどで不快な思いをさせないよう,優れたユーザビリティを提供することが重要である。そのためには,アプリケーションエンジニアは,アクセスの集中度やユーザの習熟度などの観点から,システムが提供するサービスとユーザの特性を分析し,その結果をシステムの設計に反映させなければならない。具体的には,ユーザインタフェース及びクライアントやサーバで稼働するアプリケーションの設計について,例えば,次に挙げるような工夫を行わなければならない。
・入力仕様が複雑で,入力項目が多く,複数ページにわたるような注文処理では,入力支援のための参照機能を充実させるとともに,入力途中での中断・再開に対応するために,入力内容をサーバに適宜保存する。
・習熟度が低いユーザが多く,誤入力の発生頻度が高いと予想される処理では,クライアントの側で入力チェックを十分に行い,サーバへのアクセスを極力抑制する。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったWebシステムの概要と,開発の背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたWebシステムが提供するサービスとユーザの特性について,どのように分析したか,簡潔に述べよ。また,分析結果を踏まえ,優れたユーザビリティを実現するために,Webシステムのユーザインタフェース及びクライアントやサーバで稼働するアプリケーションをどのように設計したか。特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた設計上の工夫について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H19-1-PM2-Q3】大規模システムの一部を改造した場合の全体テストの方法について
企業の情報システムは,メインフレームやオープンシステムとして構築された個々のシステムが相互に連携し,大規模システムとなっている場合が多い。このような大規模システムの一部を改造する場合,例えば,マスタデータを連携させる必要が生じたり,トランザクションデータの量が変化したりするので,連携先システムを含めたテストを行い,全体の機能と性能を検証しなければならない。
しかし,多くの場合,本番環境や,本番環境と同規模のネットワークやハードウェアを使用してテストすることは難しいので,テストの目的を明確にした上で,それに代わるテスト環境とテスト方法の策定が必要である。
機能を検証するテストでは,大規模システム全体を一気にテストできないことが多く,複数に分割してテストすることになる。その際,改造内容に着目して,テスト方法やテストデータの内容と組合せを工夫することが重要である。例えば,連携するシステムを模擬するプログラムを準備したり,本番データからテストに必要なデータを抽出したりすることがある。
性能を検証するテストでは,データ量や連携のタイミングに着目したテスト項目,テスト環境及びテスト方法の策定が重要である。例えば,メッセージ通信による連携システム間のテストを行う場合,過去の実績を基に想定したメッセージの発生量と集中度を模擬するシミュレータを利用して,負荷試験やタイミング試験を行うことがある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わった大規模システムの概要と,システムの改造内容について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた大規模システムにおいて,連携先システムを含めた全体テストとして,機能面,性能面でどのようなことを検証すべきと考えたか,簡潔に述べよ。また,そのためにはどのようなテストが必要と考え,どのようなテスト環境やテスト方法を策定し,検証したか。特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた全体テストを,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H18:2006
【AE-H18-1-PM2-Q1】システム要件の確定について
通常,システム要件定義において,アプリケーションエンジニアはユーザから提示された業務要件に基づいて,システム要件を確定させる作業を行う。この作業の中で,システム化の規模が明らかに予定を上回っていたり,技術的難易度が高すぎたり,システム化によって得られる効果が目標よりも小さかったりする課題が発生することがある。このような課題が発生した場合,課題の解決に向けて,アプリケーションエンジニアはユーザに積極的に提案を行い,双方が納得できる内容でシステム要件を確定させることが重要である。
その際,ユーザに対して,例えば,次のようなアプローチを通して提案を行う。
・業務要件に基づくシステム化範囲やシステム化規模を可視化したり,参考となるシステムと比較したりして,ユーザにシステムの全体概要を確認してもらい,システム化規模を予定の範囲に収める。
・アルゴリズムや条件の複雑さをユーザに分かりやすく示すことによって,技術的難易度を説明し,簡素化したシステム要件を提案する。
・業務要件のシステム化によって得られる効果の大きさについて論理的に説明し,効果が小さい業務要件については,ユーザに再検討を依頼する。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,システム要件の確定において発生した課題について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた課題の解決に向けて,あなたはユーザに対してどのようなアプローチを行い,どのような提案をしたか。特に重要と考えた点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた提案について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H18-1-PM2-Q2】障害発生時の影響を最小限に抑えるためのシステム設計について
システムは,企業の業務遂行に重要な役割を担っているので,障害発生時の影響を最小限に抑えることが重要である。そのために,障害発生の予防策とともに,障害発生時の影響を最小限に抑えるための対策を,システム設計の段階から検討しておく必要がある。その際,アプリケーションエンジニアは,起こり得る障害とその影響を想定した上で,その対策を業務アプリケーションの設計に組み入れる。
障害発生時の影響を最小限に抑える対策として,例えば,障害発生時の速やかな問題判別,迅速な復旧,業務の部分的再開などが重要である。これらの対策を実現するために,具体的には次のような設計を行う。
・速やかな問題判別を可能とするために,障害の原因・箇所を特定できるようなログを,適切なタイミングで業務アプリケーションから出力する。
・迅速な復旧を可能とするために,システムや業務の特徴を考慮して,適切なリスタートポイントやバックアップ手順を定める。
・業務の部分的再開を可能とするために,業務の特徴や運用形態を考慮して,個々のサブシステムが独立して稼働するようにする。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが設計に携わったシステムの概要と,対象業務の特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムにおいて,想定した障害とその影響を,簡潔に述べよ。また,想定した障害に対して,障害発生時の影響を最小限に抑えるために,業務アプリケーションの設計において,どのような工夫をしたか。特に重要と考えた点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた設計内容について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H18-1-PM2-Q3】移行計画におけるタイムチャートの事前確認について
基幹系システムのように,ほかのシステムとのインタフェースが多岐にわたり,データの種類や量が多いシステムの場合は,システム移行に多くのシステム資源を必要としたり,作業時間が長くなったり,作業手順が複雑になったりする。このような移行に当たっては,計画したタイムチャートどおりの時間や手順で実施できるかどうかを,事前に確認しておくことが重要である。
その際,本番のシステム移行時と同じシステム資源を用いて,同じタイムチャートで実施することが望ましいが,使用できるシステム資源や作業時間の制約から,本番どおりには実施できない場合がある。そのような場合には,ほかのシステムや後続作業への影響の大きさ,移行データの種類や量の多さ,各種機器の切替手順の複雑さなどに着目して,タイムチャートのクリティカルな部分を見極め,例えば,次のような幾つかの方法を組み合わせて,クリティカルな部分が計画どおりに実施できることを確認する必要がある。
・開発用のシステム資源を用いて作業を行い,その結果から類推する。
・一部の本番データを用いて作業を行い,その結果から類推する。
・本番と同じ切替手順書を用いてシミュレーションを行い,その結果から類推する。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが移行に携わったシステムの特徴と,移行計画の概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた移行計画のタイムチャートにおけるクリティカルな部分は何か。クリティカルと見極めた理由とともに簡潔に述べよ。また,本番のシステム移行時に,クリティカルな部分が計画どおりに実施できることを,事前にどのように確認したか。特に工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた確認方法について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H17:2005
【AE-H17-1-PM2-Q1】データウェアハウスの設計について
従来,企業においては,販売や在庫管理といった業務の効率向上,省力化などを目的としたシステムが様々に構築されてきた。近年,それらの各システムに分散していたデータを分析し,経営の意思決定やマーケティングなどをサポートするために,データを集約・蓄積したデータウェアハウスが構築されている。
データウェアハウスの利用においては,商品の多様化によって商品データの分類方法が変更になるなど,分析ニーズが変化し,分析に必要なデータや分析方法が当初の計画と変わってしまうことが多い。このような分析ニーズの変化に柔軟に対応できるように,データウェアハウスは,データの鮮度や精度が維持され,ユーザが自在に分析できる利用環境が整っていることが重要である。
したがって,データウェアハウスの設計に当たっては,データの維持方法,利用方法,ユーザのシステム習熟度などを踏まえ,次のような工夫が必要である。
・データの種類・量の増加や分析ニーズの変化を考慮して,生データや加工データを適切に保有する。
・分析ニーズが変化しても,集約・蓄積したデータが正しく利用されるように,データを明確に定義したドキュメントを作成する。
・システムに不慣れなユーザでも自由にデータを利用できるように,検索ツールや分析ツールを導入する。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったデータウェアハウスの概要とデータウェアハウス構築の背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたデータウェアハウス構築において,分析ニーズの変化に柔軟に対応させるために,あなたはどのようにデータウェアハウスを設計したか。あなたが特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたデータウェアハウスの設計について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H17-1-PM2-Q2】性能要件を満たすシステム構成の設計について
金融機関における口座振替処理やディーリング,流通業におけるオンライン受発注などの業務システムに対しては,スループットや応答時間などの性能要件が厳しく求められる。
これらのシステムにおける性能要件を満たすためには,対象業務を分析し,業務処理が集中する日や時間帯とユーザ数,季節変動,例外処理,将来におけるデータ量の増加などを考慮し,更に安全率を掛けてピーク時の処理量を見積もることが重要である。次に,その処理量に対して,求められる性能要件を満たす適切なソフトウェアやハードウェアの構成を設計する。その際,プログラム処理の多重化,ミドルウェアの採用,サーバやクライアントの仕様などを検討する必要がある。
このようなシステム構成の設計において,アプリケーションエンジニアは,次のような工夫を行うことが重要である。
・データ処理量や処理パターンなどを,業務特性や利用技術の面から分析・評価し,ソフトウェア構成に反映させる。
・検討されたソフトウェア構成に基づいて性能を評価し,ハードウェア構成に反映させる。
・負荷平準化や動的資源割当て機構などに関する新製品や新技術の効果を評価し,システム構成に反映させる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,厳しく求められた性能要件の内容及びその業務上の背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,ピーク時の処理量をあなたはどのように見積もったか,簡潔に述べよ。また,設問アで述べた性能要件を満たすために,どのようなシステム構成を設計したか。あなたが特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム構成の設計について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H17-1-PM2-Q3】アプリケーションパッケージなどを利用したシステム構築について
新規事業の立上げや新会社の設立などで,会計・販売・人事などの業務システムを短期間に構築しなければならない場合がある。この場合,全システムを新規に開発するのではなく,グループ会社で実績のある既存のシステムを導入して業務ごとに組み合わせたり,業務に対する適合性が高いと判断したアプリケーションパッケージ(以下,パッケージという)を新たに導入して,既存のシステムと組み合わせたりすることがある。
例えば,会計システムには新規事業や新会社の業務に対する適合性が高いパッケージを新たに導入し,販売システムや人事システムには業務プロセスや制度などが類似しているグループ会社の既存のシステムを利用する場合がある。
このような場合,アプリケーションエンジニアは次のような点に着目し,システムを構築することが重要である。
・業務間の連携が損なわれないようにすること
・システム間のデータの整合性が失われないようにすること
・パッケージや既存のシステムの仕様に合わせて業務プロセスを変更すること
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,パッケージや既存のシステムを組み合わせて,短期間にシステム構築をしなければならなかった背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステム構築において,あなたはパッケージや既存のシステムを組み合わせて,どのようにシステムを構築したか。あなたが特に重要と考え,工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム構築について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H16:2004
【AE-H16-1-PM2-Q1】パイロット開発について
企業全体に導入されるような大規模システムの開発では,システム全体を一斉に開発したり,関係部門に一斉に導入したりすると大きなリスクを負う場合がある。このようなシステム開発では,機能・性能・開発環境・実行環境・運用などの面から,本開発での課題を想定し,その課題解決のためにパイロット開発を行い,次のような評価を行ってから本開発に進む方法がある。
・高い応答性が求められるような業務の場合,最も要求の厳しい処理について開発を行い,求められている機能や性能を実現できるか評価する。
・開発環境に制約があったり,新しい開発ツールを使用したりするような場合,準備した開発環境や開発ツールが本開発に耐えられるか評価する。
・全社で使用するシステムを開発する場合,最初に一部の部門にシステムを導入し,運用面で問題がないか評価する。
パイロット開発では,このような評価を確実に行うために,システムや業務の特徴を踏まえて,パイロット開発の対象となる処理の切出し,応答時間の目標値の設定,確保すべき品質要件,開発環境の準備,部門の選定などについて,様々な工夫を行う必要がある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,パイロット開発で対象とした業務の特徴,本開発に当たって想定した課題について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた課題を解決するために,あなたはどのようなパイロット開発を計画したか。パイロット開発による評価を確実に行うために,あなたが特に重要と考え工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたパイロット開発の計画について,あなたはどのように評価しているか。また,今後パイロット開発を行うに当たって,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H16-1-PM2-Q2】システム間連携の設計について
企業においては,営業支援システム,カスタマサポートシステム,販売管理システムなどのように,機能別に個別システムが開発され,開発時点の業務要件に基づいて連携されている場合が多い。昨今,企業を取り巻く事業環境の変化やビジネスのスピードアップに対応するために,システム間連携を強化することで,経営課題や業務課題を解決しようとする場合がある。このような例としては,顧客との取引状況を把握するために,カスタマサポートシステムに販売管理システムの顧客データをリアルタイムに転送したり,営業支援システムに販売管理システムの売掛データを発生の都度,転送したりすることがある。
システム間連携の強化に当たっては,システム全体の修正を最小限に抑えて,システム間の整合性,データの一貫性,要求されたパフォーマンスを確保することが重要である。そのためには,アプリケーションエンジニアは次のような点を分析し,メッセージキューや中間ファイル,システム間のデータ受渡しのタイミングなどを設計しなければならない。
・データの属性,ファイルのフォーマット及びコード体系
・個別システムのマスタファイル更新,トランザクション処理のタイミング
・個別システムのトランザクション量とシステム間で受け渡されるデータ量
・システムの利用者数,利用時間帯及び運用サイクル(日次・月次など)
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステム間連携を強化したシステムの概要と,システム間連携を強化したねらいについて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,あなたが分析したそれぞれの個別システムの特性や課題を述べよ。また,分析結果に基づいて,どのようなシステム間連携を設計したか。あなたが特に重要と考え工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム間連携の設計について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H16-1-PM2-Q3】Webアプリケーションシステムの設計について
近年,インターネット上で様々な人々が利用するWebアプリケーションシステムの開発が増えている。このようなシステムの例としては,電子商取引やインターネットバンキング及びインターネットトレーディングなどがある。
これらのシステムの設計に当たっては,システムの信頼性や応答性を確保し,多くの人に使いやすい,音声・画像・ナビゲーションツールなどを活用したユーザフレンドリなインタフェースを実現することが重要である。その場合,次のような点を考慮する必要がある。
・入力されたデータが操作ミスなどによって消失しないように,システムの信頼性を確保する。
・頻繁に入力データのチェックを行う場合には,サーバ側ではなくクライアント側で処理することで,応答性を確保する。
・為替レートや株価の変動などをリアルタイムに表示するシステムでは,データの信頼性とともに高い応答性を確保する。
このように,アプリケーションエンジニアは,システムの用途,ユーザのニーズ及びデータ処理の特徴などの観点から,信頼性や応答性を考慮してユーザインタフェースを設計しなければならない。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったWebアプリケーションシステムの概要と,要求された信頼性や応答性などの特性について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,あなたは信頼性や応答性を考慮してどのようにユーザインタフェースを設計したか。あなたが特に重要と考え工夫した点を中心に,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム設計の内容について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H15:2003
【AE-H15-1-PM2-Q1】システム設計における総合的なセキュリティ対策について
近年,企業や官公庁では,システムへの不正アクセスによる情報の漏えい・改ざんなどの脅威に対するセキュリティ対策が必須となっている。これらの組織では,リスクの軽減のために,情報の漏えい・改ざんの防止に関するセキュリティ対策基準を設定している。その例としては,次のようなものがある。
・情報に重要度のランク付けを行い,取扱いを明確にする。
・利用者の役職や職種に応じたアクセス権限を付与する。
・ユーザIDやパスワードの管理を厳密に行う。
・情報へのアクセスに対し,アクセスログをすべて取得する。
アプリケーションエンジニアは,システム設計において,組織が定めたセキュリティ対策基準に基づき,業務やシステムの特徴を踏まえた総合的なセキュリティ対策を講じなければならない。
例えば,人事情報システムの場合には,ユーザIDとパスワードの組合せによる不正アクセス防止だけではなく,改ざん防止のための書込み禁止,一定期間使用されないユーザIDの削除,パスワードの定期的変更などを行う。また,モバイルパソコンの場合には,ワンタイムパスワードの利用による不正アクセスの防止に加えて,不正アクセスの早期発見のためにアクセスログを解析する仕組みを作る。さらに,パソコンの紛失や盗難に備えて,重要度の高い情報を暗号化するなどの対策を講じておく。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,業務やシステムの特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムを設計するに当たって考慮したセキュリティ対策基準を述べよ。また,そのセキュリティ対策基準に基づき,業務やシステムの特徴を踏まえてあなたが講じた総合的なセキュリティ対策について,特に重要と考えた点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム設計におけるセキュリティ対策について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H15-1-PM2-Q2】システム化の範囲の確定について
システム化の範囲の確定は,システム設計の上流工程である要件定義フェーズの重要な作業である。
システム化の範囲の確定に当たっては,ユーザ要求をすべてシステム化の範囲とすると,開発期間や開発費用の制約を超える可能性があるので,ユーザとの調整が必要である。その際,アプリケーションエンジニアは,業務の標準化や見直し,EUCによる対応,ユーザが対応可能な業務運用の工夫などをユーザに提案することが重要である。その例としては,次のようなものがある。
・重複した業務や非効率的な業務の廃止や標準化を提案する。
・ユーザが表計算ソフトなどを用いて自由に帳票作成ができるデータ提供の仕組みを提案する。
・他システムとのインタフェースが大きく変更になり,他システムに大規模な開発が必要になる場合には,ユーザ要求をすべて取り込むのではなく,他システムの変更が最小になるような業務運用を提案する。
アプリケーションエンジニアは,このような提案を行い,ユーザの同意を得た上でシステム化の範囲を確定させる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要とシステム化の目的について,800字以内で述べよ。
■設問イ
システム化の範囲を確定させるに当たって,調整の対象としたユーザ要求について述べよ。また,そのユーザ要求に対して,どのような提案によってユーザと調整を行い,システム化の範囲を確定させたか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたユーザとの調整について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,ユーザとの調整において改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H15-1-PM2-Q3】システムテストの計画立案について
システムテストは,機能テスト,性能テスト,障害回復テストなどを行うことによって,システム全体の品質を総合的に確認する作業である。その計画立案においては,テスト体制・テストスケジュール・テスト項目・テスト方法などを策定する。
システムテストでは,システム全体の十分な品質を確保するために,必要なテスト期間を設定し,本番と同じ環境を用いたテストを実施することが望ましい。しかしながら,実際には,テスト期間が限られたり,本番環境と同等のテスト環境を用意できなかったりすることが多い。例えば,次のような制約が発生する。
・実際の日付での月次処理や期次処理のテストができない。
・十分な端末台数や回線容量を確保できない。
・本番と同等の処理能力を確保できない。
・本番データを全量用いたテストが難しい。
・起こりうるすべての障害ケースの設定ができない。
そこで,システムテストの計画立案に当たっては,このような制約を踏まえたテスト項目やテスト方法の策定が重要である。具体的には,月次処理や期次処理のテストにおいて,日付の設定を工夫したテスト項目やテスト方法を計画したり,テストデータやトランザクションのジェネレータを活用し,本番環境を想定した性能テストを計画したりするなどの工夫が必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要とシステムテストの計画について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムテストを行うに当たって,どのような制約があったか,簡潔に述べよ。また,その制約の下でシステム全体の十分な品質を確保するために,どのようなテスト項目やテスト方法を計画したか,工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたテスト方法について,あなたはどのように評価しているか。また,今後,同様な制約の下でシステムテストの計画を立案する場合,改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H14:2002
【AE-H14-1-PM2-Q1】24時間連続稼働するシステムの開発について
インターネット利用による企業間取引やグローバルなEDIなどのために,24時間連続稼働するシステムが増加している。これらのシステムは,購買業務,受発注業務など,ビジネスの基幹システムとして安定稼働が要求される。
こうしたシステムを開発する際には,システム設計上,信頼性や保守性の高いシステムにすること,可用性の高いデータベースを設計すること,夜間バッチ処理を削減すること,他業務との連携における日付処理の正当性を確保することなどが重要である。このために,アプリケーションエンジニアが検討する課題としては,例えば,次のような点がある。
・オンライン,バッチのコンカレント処理方式
・リアルタイム処理,ディレード処理などの選択
・DBMSにおける障害回復時間の短縮
・日締め処理のタイミングの取り方や他システムとのデータの受渡し方法
さらに,運用上の負荷を軽減するために,サーバの構成変更やノードの追加方法,稼働中のプログラム置換方法,バックアップの取り方などを考慮する必要がある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要とシステム構成,24時間連続稼働を必要とした背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムにおいて,24時間連続稼働を行うためのシステム設計上の重要な課題,及びその課題の解決方法について具体的に述べよ。また,運用上の負荷を軽減するために,設計上どのように工夫したか,簡潔に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた解決方法について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H14-1-PM2-Q2】新技術の導入について
近年,ITの進歩は著しく,多くの新技術が提供されている。システム開発においても,ユーザ満足度の向上,生産性の向上,外部システムとの連携などのために,開発チームにとって未経験な新技術の導入が必要になるケースが増えている。
新技術を導入するシステム開発に当たって,アプリケーションエンジニアは,その技術を調査・検討するとともに,新技術に対する開発メンバの適応力を高めるために,次のような取組を行う必要がある。
・新技術の試行とアプリケーション要件に照らした評価
・社内外の経験者や専門家からのノウハウのヒアリング
・開発標準の作成と開発メンバに対する教育カリキュラムの作成
・Q&A体制の確立
さらに,システム開発の期間やコストは限られており,その制約の中で効率的・効果的な導入手順やスケジュールを検討することが重要である。検討に当たっては,新技術の難易度,システムの規模や特性,当該技術に関する開発チーム内の未経験者の割合,メンバの過去の経験や技術レベルなどを十分に考慮する必要がある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要,及び導入した新技術と開発メンバの新技術に関する経験について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムの開発において,新技術の導入に当たって取り組んだ事項を簡潔に述べよ。また,その中で,効率的・効果的な導入のために,特に重要と考え工夫した点は何か,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた新技術導入に当たっての取組について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H14-1-PM2-Q3】外部設計におけるデザインレビューについて
外部設計は,業務要件で規定されたシステムの外部仕様を実現するための基本の方式設計を行うフェーズであり,そこでのデザインレビュー(以下,レビューという)を繰り返すことによって,信頼性・操作性・性能などシステムの品質を確保することができる。
外部設計におけるレビューを行うに当たっては,レビューの対象ドキュメントを明確にした上で,業務の特徴を踏まえ,例えば,次のような観点から具体的なチェック項目を設定することが重要である。
・機能や操作性はユーザニーズに合っているか。
・機能や操作性の制約は明確になっているか。
・機能間の整合性はとれているか。
・性能は妥当か。
その際,効率的・効果的なレビューを行うためには,目的を明確にして,レビューの実施要領を定め,さらに関係資料の事前配布や,レビューの内容にふさわしい参加者の選定などの工夫が必要である。
また,レビューの結果については,指摘された項目が確実に解決されたことを確認するために,項目ごとに責任者,解決期限,解決方法など具体的なアクションプランを明確にして,フォローアップすることが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に携わったシステムの概要と,対象業務の特徴及びレビューの対象ドキュメントについて,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムのレビューに当たって,業務の特徴を踏まえて特に重視したチェック項目は何か。また,効率的・効果的なレビューを行うために工夫した点は何か。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたレビューについて,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H13:2001
【AE-H13-1-PM2-Q1】Webアプリケーションシステムにおけるユーザインタフェース設計について
近年,Web技術の普及やネットワーク基盤の拡充を背景に,インターネットやイントラネットを使って,販売や受発注,経費精算といった業務システムを構築する例が増えている。これらのWeb技術を利用したシステムのユーザインタフェース設計においては,不特定多数の利用者も想定し,分かりやすさや入力の容易さなどの高い操作性とともに,応答性の確保が求められる。
Webアプリケーションシステムにおけるユーザインタフェース設計では,次のような事項について検討し,想定した利用者にふさわしい高い操作性を実現する工夫が必要である。
・テキストボックス,リストボックス,ラジオボタンなどの利用
・文字やボタンなどの色・形・大きさとその配置
・画像や動画,音声ガイダンスなどの利用
・マウスやキーの使用
・ナビゲーションツールの利用
さらに,入力項目の増大,見栄えを良くするための画像の使いすぎ,ページ作成ツールの使用による不要なソースコードの増加,長いスクリプトや大量のアプレットの読込みなどによって,ページの容量が大きくなり,応答性が悪化することのないように十分な注意を払うことが必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったWeb技術を利用したシステムの概要と,ユーザインタフェース設計上考慮した利用者の特徴を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,想定した利用者のどのような点を重視してユーザインタフェース設計を行ったか,高い操作性を実現するために工夫した点を中心に具体的に述べよ。また,応答性を確保するために,どのような点に注意し,操作性とのバランスをどのように考慮したか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたユーザインタフェース設計を,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H13-1-PM2-Q2】セキュリティ対策としてのアクセスコントロール設計について
ネットワークの活用によって,様々な人が情報システムに容易にアクセスできるようになり,利便性が向上している。その反面,情報システムに対する脅威は大きく広がり,セキュリティ対策の重要性が高まっている。種々の脅威に対してセキュリティを確保するためには,アクセスコントロールを堅固にすると同時に,運用負荷を軽減する検討も必要である。
セキュリティ対策のひとつであるアクセスコントロールの設計においては,権限のある人が,必要なときに,必要な情報を過不足なく利用できることが前提となる。
そのためには,次のような事項を組み合わせて設計する必要がある。
・入力,変更,検証,承認などの操作を行うときにユーザ自身が持つユーザ権限
・データの重要度によるランク付け
・業務の種類,内容によるユーザIDへの制限の付与
さらに,アクセスコントロールは,一般にユーザ部門の専任の管理者又は組織によって運用されるので,組織変更や人事異動などに迅速かつ容易に対応でき,日常業務を円滑に遂行できるような設計も求められる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムの概要と,アクセスコントロールの概要を,業務の特徴を踏まえて800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたアクセスコントロールについて,与えられた要件に基づき,どのような仕組みを設計したか,工夫した点を中心に具体的に述べよ。また,運用上どのような点を考慮したか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたアクセスコントロール設計を,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H13-1-PM2-Q3】稼働中のシステムの保守作業について
システムが本番稼働し,運用が始まると,業務改善や制度変更に伴い,仕様変更や機能追加などのユーザ要求によって,プログラムの保守作業が発生する。プログラムの保守作業にあたっては,稼働中のシステムに悪影響を与えないように十分なテストを行った上でリリースすることが重要である。
修正プログラムのテストでは,一般にテスト環境を使って機能テスト,性能テストなどを行う。機能テストでは,修正した機能を効率的に漏れなく確認するために,次のような事項を検討することが重要である。
・テスト範囲,テストデータの内容・組合せ
・本番データを抽出するなどのテストデータ作成方法
・テストツールの使用やテスト結果の確認方法
また,性能テストでは,本番環境とハードウェアやネットワークの構成・性能・容量などが異なる場合が多いので,本番環境での性能要件を満たしていることを検証するために,トランザクションの発生量,集中度を検討した上で,端末シミュレータを使用するなどの工夫が求められる。
さらに,プログラムのリリース作業では,リリースするプログラムの漏れ・世代誤りなどがないことやリリース後の稼働状況などを確認することが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムの概要,及びテスト環境と本番環境との差異を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムにおいて,修正プログラムの機能テストをどのように効率的に行ったか。また,性能テストではどのようにテスト環境と本番環境との差異を補ったか。それぞれ工夫した点を中心に具体的に述べよ。さらに,リリース作業でどのような項目を確認したか,簡潔に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたテスト及びリリース作業を,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H12:2000
【AE-H12-1-PM2-Q1】データ中心アプローチ技法によるシステム設計について
企業における情報化が進むにつれ,全社的なデータ管理の必要性が高まってきている。そこで,データを共有資源と見なし,データ処理を標準化するデータ中心アプローチ技法によるシステム設計が有効となってきた。
データ中心アプローチ技法では,正規化された新論理モデルをそのまま新物理モデルにすることが望ましい。しかし,実際のシステムにおいては処理効率の悪化,データの管理部門の相違による統合の非現実性,データベース管理の複雑化などの問題点が発生し,作成された新物理モデルが必ずしも現実的であるとは限らない。
これらの問題点を解決し,現実の業務処理に耐えうる新物理モデルを作成するためには,非正規化が必要となる場合がある。例えば,処理効率を改善するために,参照系の処理では重複データや導出データを保有したり,更新系の処理では細分化されたデータベースを統合して更新回数を削減したりする。反面,重複データの保持やデータベースの統合は,データの整合性やセキュリティの観点から問題となることが多い。したがって,これらの相反する要求を満足するために,非正規化するデータの選定や方法には十分な注意を払わなければならない。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムについて,システム化の目的とシステムの概要を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,新論理モデルから新物理モデルを作成する際に,どのような問題点が発生したか,その問題点を解決するためにどのような非正規化を行ったか,また,どのような理由でその解決方法を採用したか,具体的に述べよ。
■設問ウ
作成した新物理モデルについて,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H12-1-PM2-Q2】アプリケーションパッケージの活用について
企業の基幹業務システムの構築手段として,ERPのようなアプリケーションパッケージ(以下,パッケージという)を導入することが多くなっている。
パッケージを導入してシステムを構築するに当たっては,パッケージの機能の適合率,業務プロセスの変更の程度や現行システムの優位性などを総合的に評価して,パッケージの適用範囲・方法を明確にする必要がある。
パッケージの適用範囲・方法の検討においては,当該パッケージの標準機能と業務システムが必要とする機能の分析を行い,そのギャップを明確にした上で,パッケージのパラメタ設定によって実現できる機能を確認する。パラメタ設定で実現できない機能については,パッケージのインタフェース機能を利用した外付けプログラムの開発や,独自開発などを検討する。また,パッケージに機能があっても,業務プロセスの変更が困難な場合や,現行システムの優位な機能を適用する場合には,パッケージの一部の機能を使わずに現行システムの使用も検討する。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムについて,その概要と適用したパッケージを,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたパッケージを活用するために,パッケージの機能と業務システムが必要とする機能を分析した結果,存在したギャップは何か,そのギャップをどのように解決してシステム構築を行ったか。また,どのような理由でその解決方法を採用したか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたパッケージの活用について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H12-1-PM2-Q3】システム統合について
企業の合併・買収,製造と販売の統合要求などから,これまで単独で稼働していたシステムを他システムと統合するニーズが多く出てきている。また,事業や組織の再編などによって,これまで個別に構築してきた部門システムを統合する場合もある。このような場合,新しくシステムを構築するには費用と時間がかかり,企業環境の変化のスピードに対応できないことから,いかに既存システムを活用して統合するかを検討する必要がある。
既存システムの統合には,次のような方法が考えられる。
・どちらか一つのシステムをベースとして,機能を拡張する方法
・システムの入口を別システムに集約し,その別システムの分配機能によって個々のシステムにデータを受け渡しする方法
・二つのシステム間にメッセージキューや中間ファイルなどを配置して,相互連携をとる方法
しかし,統合を検討する際には,次のような項目が課題として発生することが考えられる。
・データ体系の違い(主キー,明細・サマリ,グルーピングなど)
・コード体系やけた数の違い
・トランザクションの処理方法の違い(リアルタイム処理・バッチ処理など)
・運用サイクルの違い(日次・週次・月次など)
このような課題を解決することは,アプリケーションエンジニアの重要な役割の一つである。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステム統合について,その背景とそれぞれのシステムの概要を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムについて,統合の方法を具体的に述べよ。また,その際発生した課題は何か,その課題を解決するためにどのような工夫をしたか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたシステム統合の課題に対する工夫について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H11:1999
【AE-H11-1-PM2-Q1】処理効率面から見たデータベースの設計について
論理データ構造が明らかになった時点でデータベースの物理設計を行うが,その際,業務の特徴を考慮して処理効率の評価を行い,設計に反映させる必要がある。
処理効率の評価に当たっては,まず適用業務を分析して評価の対象となる処理と関係するデータベースを特定し,更にその処理内容を明確にしなければならない。分析の観点としては,ピーク時の入力データ量,オンライン処理かバッチ処理かなどの処理形態,更新・参照などの処理方法,データベース構造を考慮したセグメントごとのアクセス回数などが挙げられる。これらの分析を踏まえて,応答時間やバッチ処理時間を計算し,要求を満足しているかどうかを評価する。
このような適用業務の特徴を考慮した評価が不十分であると,特定のデータベースにアクセスが集中し,レスポンスの悪化を招くなどの問題が発生し,そのシステムに要求される性能を実現できなくなるおそれがある。
評価の結果,問題が発生した場合,アクセス回数を削減するためのデータの非正規化や導出データの保持,アクセスの集中を防ぐためのデータベースの分割などによる改善を検討する。その反面,データの更新方法や分割したデータベースの整合性を保持することの難しさ,システムの変更に伴う保守負担の増大などのマイナス面が発生するので,その対策も検討しなければならない。また,業務機能や運用方法の一部について制約を設ける検討が必要になることもある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムの概要と,適用業務の特徴から処理効率向上の対象となる処理をどのように特定したかを,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた処理と関係する処理効率向上の対象となるデータベースをどのように特定し,処理効率の評価を行い,データベース設計に反映したか,具体的に述べよ。また,その際に発生した問題点とその対策について簡潔に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたデータベースの設計について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H11-1-PM2-Q2】ネットワークを介した企業間でのデータ受渡しについて
ネットワークシステムの発達に伴い,ビジネススピードや業務効率の向上を目的として,ネットワークを介して企業間でのデータ受渡しを行うことが多くなっている。
ネットワークを介した企業間でのデータ受渡し仕様を決定するに当たっては,受渡しのための手続として,全銀手順,JCA手順,EDIFACTなどの標準的なプロトコルの採用,個別の業務データレベルの受渡し項目の決定やデータコードなどの定義,受け渡すデータ量の正確な見積りを行うことが重要である。
さらに,運用面では,接続先確認やデータ伝送確認の方法,及び1回のデータ伝送時間,1日の伝送回数や伝送開始時刻などの運用スケジュールも取り決めておく必要がある。また,与えられた時間内にデータを受け渡すために,ファイルの分割やデータ伝送処理能力などについて検討し,運用スケジュールが遅れた場合の回復方法などについても検討することが求められる。
このように,データ受渡し仕様や運用スケジュールを明確に定義し,想定されるトラブルへの対応を検討しておくことが,企業間でのデータ受渡しをスムーズに実現するために必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったシステムの概要と,企業間でデータを受け渡す業務上の目的及びデータの内容を,800字以内で述べよ。
■設問イ
データ受渡し仕様をどのように決定したか,具体的に述べよ。また,データ受渡しを実現する上で想定したトラブル,及びそのトラブルを解決するために工夫した点を具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたデータ受渡しについて,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
【AE-H11-1-PM2-Q3】データ移行について
システムを再構築し,移行を行う場合,旧システムから新システムへのデータ移行が必要になる。移行仕様の設計に際しては,旧システムと新システムのデータフローやファイル仕様などを参考にして,移行の対象となるデータを決定し,データ交換の必要性を検討する。次に,旧システムでの事前のデータ整備,移行プログラム開発,移行テストなどについて検討し,必要な作業工数を漏れなく見積もらなければならない。さらに,データの移行時期や旧システムと新システムの並行運転の期間・方法なども検討しておくことが重要である。
データ移行計画の作成では,旧システムから新システムへのデータの移行手順を詳細に検討し,作業時間を見積もることが重要である。また,与えられた期間・時間の中で作業を終了させるために,処理の並列化などによる作業時間の短縮を検討し,作業のクリティカルパスを明らかにしておくことなどが求められる。
新システムをトラブルなく本番稼働させるためには,データ移行作業が正しく行われていることを確認するためのチェックポイントを設定したり,移行データの検証方法を決めたり,本番稼働判断基準を定めたりすることが必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが携わったデータ移行について,新システムの概要と移行対象データの決定方法を,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたデータをどのような方法で移行したか,簡潔に述べよ。その中で,与えられた時間内に移行作業を終了させるために工夫した点は何か,具体的に述べよ。また,移行データの正当性をどのように検証したか,簡潔に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたデータ移行について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。
📗H10:1998
【AE-H10-1-PM2-Q1】CASEツールの適用について
ソフトウェア開発の品質向上,生産性向上策の一つとして,CASEツールの適用は有効である。
昨今,実用化されているCASEツールには,次のような様々な機能がある。
・DFDやE-R図によるプロセスやデータのモデリング,リポジトリによる一貫した情報の管理,データベース定義の自動生成,プログラムの自動生成などのシステム開発支援機能
・プロジェクトの計画・見積りやプロジェクトメンバのスケジュール管理などのプロジェクト管理支援機能
・ドキュメントの更新ルールの設定,バージョンの管理,部署単位・プロジェクト単位の管理帳票出力などのドキュメント管理支援機能
したがって,CASEツールの適用に当たっては,その目的と,目的に応じたツールを選択する機能,適用する開発工程を明確にしておくことが重要である。
また,導入時のメンバへの教育などの準備期間,制約事項への対策,システム保守段階の適用方法などを検討しておくことも大切である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要と使用したCASEツールの機能概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたシステムの開発において,あなたはどのような目的でCASEツールのどのような機能を適用したか,具体的に述べよ。さらに,そのCASEツール適用の効果を高めるために工夫した点について述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたCASEツールの適用について,あなたはどのように評価しているか。また,今後改善したい点は何か,簡潔に述べよ。
【AE-H10-1-PM2-Q2】プロトタイピングの活用について
プロトタイピング活用の目的は,プロトタイプを作成して開発すべきシステムの機能を早期に実証することによって,ユーザニーズに合致したシステムをより効率的に開発することである。
プロトタイピングにおいては,開発者による検証のためにプロトタイプを作成する場合や,開発者とともにエンドユーザが機能を評価する目的でプロトタイプを試用する場合がある。さらにプロトタイプは,評価・検証後に使い捨てにされる場合や,そのまま最終システムの骨格として使われる場合などがある。
プロトタイピングを活用することによって,一般的に次のような効果が期待できる。
・エンドユーザの潜在的なニーズを掘り起こし,より効果的な機能をもつ情報システムが構築できる。
・システム開発の初期工程でユーザニーズの確認がより正確にできるので,後工程でシステム設計の仕様変更が減少する。
・システムの機能,性能,操作性などが事前に検証でき,開発リスク低減に役立つ。
反面,従来のアプローチよりも余分な費用・期間を要する場合もあるので,活用に際しては,目的,検証課題を明確にし,最適な方法で実施することが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要とどのようなプロトタイプを作成したかについて,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたが活用したプロトタイピングの目的は何か。プロトタイピングを活用することによって特に効果があった点は何か。また,その効果を引き出すためにどのような工夫をしたか,具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べたプロトタイピングの活用について,あなたはどのように評価しているか。さらに活用するためにはどのような改善が必要か,簡潔に述べよ。
【AE-H10-1-PM2-Q3】性能改善について
適用業務システムの性能目標は,業務要件や運用要件に基づいて,スループット,ターンアラウンドタイム,レスポンスタイムなどの具体的な数値として設定される。
開発が進みテストを行った結果,性能目標が達成できていなければ,ネットワーク監視ツール,パフォーマンスモニタ,トレースツールなどによって原因を調査・分析し,性能改善を実施する。
具体例としては,次のような性能改善のための対策が挙げられる。
(1)チューニング
・バッファサイズ,実行優先順位,処理多重度などのシステムパラメタの変更
・データベースのインデックスの見直し,排他制御方式の見直し
・プログラムロジックの変更
(2)設計レベルの見直し
・サーバの分割・統合
・データベースの物理構造の見直し
・プログラム構造の見直し
(3)リソースの追加
・メモリ,ディスクなどのハードウェアの増設,ネットワークの高速化
これらの対策を実施するに当たっては,期間,コストなどの検討も必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要とテストで発生した性能上の問題点について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べた性能上の問題点について,どのようにしてその原因を調査・分析したか述べよ。さらに,対策としてどのような性能改善を実施したか,実施に当たって検討した内容とともに具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた性能改善の結果について,あなたはどのように評価しているか。また,性能改善を効果的に行うためにはどのようにすべきと考えているか,簡潔に述べよ。
📗H09:1997
【AE-H09-1-PM2-Q1】業務システムの分析・設計について
新業務システムを構築するためには,現行の業務を分析し現状を把握した上で,新しい要件を加味し,新しい業務機能とデータフローを明確にする必要がある。
はじめに,業務プロセスの調査を行い,現行業務をありのままに表現する現行物理モデルを作成する。次に,現行機能とデータフローに焦点を絞ってまとめた機能階層図を作成し,現行の業務システムが何をしているのかを明確にして,現行論理モデルに展開する。
この現行論理モデルを利用して,新論理モデル及び新物理モデルへと展開していく。具体的には,無駄な業務を廃止し,類似業務の統合・簡素化を図りながら,ユーザの要求する新機能を追加して,業務に真に必要な機能を表した新機能階層図を作成する。更に,データの正規化,冗長性の排除,データフローの整理などを行う。この結果,無駄な伝票作成のような不要な仕組みの削除,入力機能の集中による重複機能の統合,台帳の統廃合など,機能やデータの簡素化が図られる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要と構築の背景について,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたは,現行論理モデルから新論理モデル及び新物理モデルに展開する中で,どのように業務の簡素化を図り,新機能を追加したか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
あなたは,実施した業務システムの分析・設計をどのように評価しているか。また,今後改善すべき点は何か,簡潔に述べよ。
【AE-H09-1-PM2-Q2】分散システムの設計について
ハードウェア,ソフトウェア技術の発達によって,様々な分野においてワークステーションやパソコンが急速に普及してきている。従来,汎用コンピュータによって集中処理を行っていた大規模システムなども,ワークステーションやパソコンを利用した分散システムによって実現が可能になってきている。
分散システムの設計においては,汎用コンピュータ,ワークステーション及びパソコンのそれぞれの特徴を十分に考慮し,リソースをどのように分散させるか,また業務機能とデータをそれらの役割に応じてどのように分散させるかがポイントとなる。
具体的には,業務機能は本社,営業所,工場などにどのように分散しているか,業務処理は全社,部門,個人など,どの範囲で完結しているかといった業務の特性を検討する。
そして,データの作成方法,入力方法,使用頻度,出力方法,保存期間などのデータの特性を分析する。
更に,組織変更や仕様変更に対する柔軟性,対象業務の多様化やデータ量の増大に対する拡張性,システムのパフォーマンスの確保,運用の確実性やセキュリティ対策などの観点から検討を行う。
その上で,システムにおけるリソースの分散,業務機能の分散及びデータの分散を検討することが必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画した分散システムの概要と,分散システムを導入するに至った背景について800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたは,その分散システムを設計するに当たり,業務やデータの特性からリソース,業務機能,データをどのように分散させたか。特に重要と考え,工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
あなたは,構築した分散システムをどのように評価しているか。また,今後改善すべき点は何か,簡潔に述べよ。
【AE-H09-1-PM2-Q3】システムテスト計画について
システム開発の最終段階で行われるシステムテストは,システムの機能・性能などの評価項目に対するテストを実施することによって,システムの完成度を総合的に検証する作業である。
開発したシステムが,要求定義を満足しているか,データのインテグリティ・運用の一貫性を確保しているか,レスポンスタイムやターンアラウンドタイムが性能目標値を満足しているか,などの品質要件の評価を行う必要がある。
しかしながら,実際には使用可能な端末台数が十分に確保できない,システムの使用開始時期との関係でテスト期間が限られている,またセキュリティ確保の必要から現実のデータが使用できない,などの制約によって,すべての要件を完全に網羅した評価を行うことは困難なことが多い。
そこで,これらの制約条件を踏まえた上で,いかに効果的なシステムテスト計画を立案するかが重要となる。
具体的には,テストの目的を明確にし,テスト項目・テスト方法・スケジュール・検証方法などを設定し,効率良く実施する手順・体制・環境を定めることが必要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要と特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたが立案したシステムテスト計画において,評価の対象とした品質要件と,なぜそのような要件を設定したかを述べよ。また,あらかじめ考慮した制約条件及びその制約を踏まえた上で工夫した点について,具体的に述べよ。
■設問ウ
あなたは,システムテストの実施結果を踏まえ,立案したシステムテスト計画をどのように評価しているか。また,今後改善すべき点は何か,簡潔に述べよ。
📗H08:1996
【AE-H08-1-PM2-Q1】システム分析技法について
アプリケーションエンジニアは,上流の計画フェーズで作成されるシステム開発計画書に基づいて,対象業務の分析,問題点の発見,改善策の提案を行い,新システムの構想を具体的に立案する。そのためには,どのようなシステム分析技法を適用し,その分析技法をどのように活用するかが重要である。
代表的な技法として,構造化分析技法,データ中心アプローチ技法,オブジェクト指向分析技法などが挙げられる。そこで,これらの各技法の長所・短所を十分に理解したうえで,実際のシステム分析に適用することが大切である。
また,各分析技法を効果的に適用するために,技法についての事前教育,各技法に対応したCASEツールの利用などについても検討する必要がある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要と,適用したシステム分析技法及びその長所・短所について800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたは,設問アで述べたシステム分析技法の長所を生かしてどのようにシステム開発を行ったか,またその技法の短所を補うためにどのような工夫をしたか,具体的に述べよ。
■設問ウ
あなたは今後,どのようなシステム分析技法を用いてシステム開発を行いたいと考えているか,その理由を簡潔に述べよ。
【AE-H08-1-PM2-Q2】ソフトウェアパッケージの導入について
最近,適用業務システムの開発には,ソフトウェアパッケージが多数利用されている。
ソフトウェアパッケージを導入する目的には,開発期間を短くしたり開発費用を少なくすることばかりでなく,ソフトウェアパッケージに合わせて組織を見直したり,業務プロセスの効率化を図ることなどがある。更に,ソフトウェアパッケージのもつオープン性によって,部門間又は他企業との連携がより容易になることもある。
しかしながら,ソフトウェアパッケージの機能がユーザ要求をすべて満たすことはまれであり,修正・削除・追加のカスタマイズ作業が必要となることが多い。更に,ユーザ要求の内容,費用・開発期間の制約,ソフトウェアパッケージの仕様などによっては,対応できないユーザ要求が残ることもある。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムについて,対象業務,適用したソフトウェアパッケージの導入目的及び概要を800字以内で述べよ。
■設問イ
ソフトウェアパッケージの導入に当たって,カスタマイズによってユーザ要求をどのように実現したか,また実現できなかったユーザ要求をどのように解決したか,具体的に述べよ。
■設問ウ
そのソフトウェアパッケージを導入した結果をどのように評価しているか。また,今後どのように改善しようと考えているか,簡潔に述べよ。
【AE-H08-1-PM2-Q3】システム間連携の見直しについて
企業における情報システムは,一般的には個々に構築されたシステムが連携し,統合されたシステムとして機能する。そのため業務の一層の効率化を目的として,個別システム(生産管理システム,販売管理システムなど)を再構築する場合,連携している他システム(購買システム,経理システムなど)についても見直しが必要になる。
これらの連携したシステムの見直しに際しては,業務の流れとデータの流れから,必要とするデータの受渡し仕様及び項目を決定し,フォーマットの統一やコード体系の整備などの標準化を行う必要がある。
更に,他システムに要求するデータ受渡しタイミングなどの機能条件,及び処理時間やデータ量などの性能条件を設計目標として設定する必要がある。
システム間連携の見直しにおいては,統合システムとしての整合性・性能・信頼性の確保が最優先課題である。このため,ときには他システムの大幅な改善が必要となる場合も生じるが,システムの再構築による連携する他システムへの影響を極力少なくするための工夫をすることも重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要と,そのシステムの再構築によって連携する他システムに与えた影響について800字以内で述べよ。
■設問イ
そのシステム間の連携の見直しに当たって,どのような手順で受渡しデータを洗い出し標準化を行ったか,具体的に述べよ。また,再構築の対象となったシステムの機能を実現するうえで,他システムへの影響を極力少なくするために,どのような工夫をしたか,具体的に述べよ。
■設問ウ
そのシステム間の連携に当たって,他システムに要求した機能条件及び性能条件のうち,重要だと考えた項目とその理由について簡潔に述べよ。
📗H07:1995
【AE-H07-1-PM2-Q1】情報セキュリティ対策について
システムの安全性を確保するには,総合的な情報セキュリティ対策が必要である。
情報セキュリティ対策の策定に当たっては,現実に発生すれば損失をもたらすリスクが,システムのどこに,どのように潜在しているかを見極め,その影響の大きさを評価したうえでシステムの設計に反映させることが大切である。
情報セキュリティ対策の役割は,様々なリスクからシステムを保護することである。その中でもシステムへの不正アクセス防止機能は中心的な機能であり,リスクを回避するうえで大きな効果が期待できる。
アプリケーションエンジニアとしては,情報セキュリティ対策における不正アクセスの防止機能を重視しなければならない。そのためには,システム設計段階から,識別コードやパスワードによる本人確認,パスワードが外部に漏れたときのことを考慮した有効期限の設定,定期的なパスワードの変更などの機能を組み込んでおく必要がある。また,重要なファイルや伝送情報の暗号化,各資源へのアクセス権限の設定,通信相手先確認などの機能の組込みも必要である。
あなたが実際の開発に参画した経験に基づいて,次の設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムの概要を述べるとともに,そのシステムの特徴からどのようなリスクが考えられたか,800字以内で述べよ。
■設問イ
そのシステムにおいて考えられた不正アクセスによる影響の大きさと,回避策に期待される効果を考慮して,どのような不正アクセス防止機能を設計したか具体的に述べよ。また,この防止機能の運用に当たって効果を上げるために,設計上どのような工夫をしたか述べよ。
■設問ウ
そのシステムで,不正アクセス防止機能の効果を更に向上させるためには,今後どのようにしたらよいか,あなたの考えを述べよ。
【AE-H07-1-PM2-Q2】システムの移行について
旧システムから新システムへの移行を確実かつ円滑に実施することがトラブルのない本番稼働を迎える条件の一つである。移行計画は基本設計の段階で立案されるが,実際に移行を実施するに当たっては,当初の移行計画を見直し,より詳細で具体的な移行手順を策定することが必要となる。
移行計画を見直す場合には,時間,投入可能資源,コストなどの制約条件を考慮し,移行日程,開発部門の人員配置,利用部門の協力体制,運用部門の支援体制などの移行体制を確立する。更に,新システムのバグ摘出度,レスポンスタイムやバッチ処理時間の検証,マニュアルや運用体制の整備状況,リハーサルの実施回数などをもとに本番稼働可否の判断基準を設定する。
しかしながら,移行に当たっては,往々にして計画と現実のギャップや予測できなかった障害などによって様々な問題が発生する。それらの問題を解決して初めて本番稼働を迎えることができる。
あなたの経験に基づいて,次の設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムについて,移行の観点から見た対象業務の特性・背景と,具体的な移行方法の概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
そのシステムの移行でどのような体制を敷いたか,利用部門・運用部門との関連を含めて述べよ。また本番稼働可否の判断基準としてどのような項目を設定したか,設定理由は何か,具体的に述べよ。
■設問ウ
そのシステムの移行時にどのような問題が発生したか,そしてその問題をどのように解決したかを簡潔に述べよ。
【AE-H07-1-PM2-Q3】クライアントサーバシステムの構築について
アプリケーションエンジニアの重要な役割として,現状業務の調査と分析,改善すべき問題点の洗い出しと解決策の策定がある。
現状の業務を改善する場合,既存の情報システムの見直しが行われたり,見直しだけでは不十分な場合には,新たな情報システムの構築が行われたりする。その際,ハードウェア,ソフトウェア,通信回線などにかかわるコストの削減,開発期間の短縮,ユーザインタフェースの向上などを目的として,クライアントサーバシステムの適用がしばしば検討される。
しかしながら,実際にクライアントサーバシステムを適用するに当たっては,ネットワークの拡大やデータの分散に伴う応答性,安全性,保守・運用の容易性など,新たな問題に直面することも多い。これらをシステム設計上,十分に考慮しながら,ユーザの要求を満足させるシステムを構築することが大切である。
あなたの経験に基づいて,次の設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたがクライアントサーバシステムの運用によって改善しようとした業務の問題点と,新たに構築したクライアントサーバシステムの概要について,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたは,クライアントサーバシステムの特長をどのように活かして,設問アの問題点を解決したか,具体的に述べよ。またクライアントサーバシステムの設計に当たって,特に考慮した点についても述べよ。
■設問ウ
あなたは,構築したクライアントサーバシステムをどのように評価し,今後どのように改善しようと考えているか,簡潔に述べよ。
📗H06:1994
【AE-H06-1-PM2-Q1】データ分析によるファイル設計について
企業における情報システムの役割はますます重要になっており,そこで扱うデータは多種多様になってきている。ユーザが求めるものは,必要とする情報をタイムリーに提供する情報システムである。そのような情報システムの実現には,データを資源として共有化し,適切に取り出せるようなファイル構造が必要である。このような構造のファイル設計に当たっては,データの役割を明確にし,データの独立性を考慮しつつ,データ分析を行うことが有益である。
データ分析は,データの標準化に始まり,属性の決定,第1次から第3次までの正規化などの手順で行われる。
このような手順で,最適解としてのファイル構造が導き出される。しかし,現実には業務特性からの問題,機器構成などがもたらす技術的制約などによって,理想的な最適解をそのまま採用できないことが多く,その矛盾を解決しながらファイル設計を進めることが重要になる。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムについて,業務特性,技術的制約を,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたは,どのような手順でデータ分析を行い,どのようなファイル設計をしたのか。また,理想的な最適解と現実との矛盾を解決するために,どのような工夫をしたのか。具体的に述べよ。
■設問ウ
項目の追加,変更,削除,ファイルの再編成などの保守の容易さという観点から,現在あなたはそのシステムのファイル構造をどのように評価しているか,簡潔に述べよ。
【AE-H06-1-PM2-Q2】ユーザの特性を考慮したヒューマンインタフェース設計について
人とコンピュータとの間のインタフェース技術は大きく発展してきている。従来のコマンド応答や汎用ディスプレイ端末で,文字を主体に構成された画面応答インタフェースから,GUI,マルチウィンドウ,音声などを駆使したインタフェースへと多様化してきている。
アプリケーションエンジニアとしては,これらの高度な技術を利用して,より使いやすいインタフェースを実現することが重要である。しかし,ただやみくもに新しい技術を盛り込んでも,よいインタフェースが実現できるとは限らない。
例えば,コンピュータに接する機会の少ないユーザには,きめ細かなメニューや音声によるガイダンス又はポップアップ画面による解説などは分かりやすく有益である。しかし熟練したユーザにはかえってわずらわしい存在となることもある。したがって,よいインタフェース設計を行うには,ユーザの特性を分析し,ユーザの習熟度,利用頻度,取り扱うデータの種類などを正しく把握して,最も適切なヒューマンインタフェースを選択する必要がある。
あなたが開発に参画したシステムにおいて,どのような点を考慮して,ユーザの特性に応じたインタフェース技術を選択・決定し,さらに設計上どのような工夫をしたのか。
あなたの経験に基づいて設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが参画した適用業務システムの開発の背景とシステムの特徴について,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたはヒューマンインタフェース設計を行うに当たって,どのようにユーザの特性を分析・把握してインタフェースを決定したのか。また,インタフェース設計上どのような点を工夫したのか。具体的に述べよ。
■設問ウ
あなたが行ったヒューマンインタフェース設計の反省点,又は今後の改善点について,あなたの考えを述べよ。
【AE-H06-1-PM2-Q3】デザインレビューによるユーザニーズの確認について
ビジネス環境の変化や情報技術の進歩を背景に,システムに対するユーザニーズはますます複雑化・高度化してきている。
ユーザニーズに適合したシステムを提供するためには,システム分析・要求定義・外部設計の各フェーズでレビュー工程を設定し,ユーザニーズがそのシステムの設計に的確に反映されていることを確認する必要がある。
デザインレビューは,これらの各フェーズで作り出される成果物を通して,機能,性能,操作性,信頼性,安全性,運用,保守,移行などの設計がユーザニーズに合っているか,いかに実現されているかをチェックするために実施される。また,ヒューマンインタフェースや性能を評価するには,ドキュメントのレビューだけでは限界があるため,これを補うものとしてプロトタイピングによる評価方法なども用いられる。
デザインレビューを成功させるためのポイントとしては,次のような事項が挙げられる。
・ユーザと開発部門とが共通の認識をもてるようなドキュメントを作成する。
・目的に合わせたレビュー方法を選択する(ウォークスルー,インスペクション,ラウンドロビンなど)。
・ユーザと開発部門が一体となった共同作業を実施する。
このような作業を行ったうえで,レビュー結果を確実にフォローアップすることが重要である。
あなたの経験に基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
■設問ア
あなたが開発に参画したシステムについて,ユーザニーズの特徴とそのシステムの概要を,800字以内で述べよ。
■設問イ
あなたはユーザニーズの実現度合いをチェックするために,どのフェーズのレビューを最も重視し,どのような方法でレビューを実施したのか。レビューを効率的・効果的に実施するために工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
レビューの結果(指摘された誤り,不明点,改善点など)に関して,どのようにフォローアップしたか,具体的に述べよ。