【論述過去問】プロジェクトマネージャ 午後2 問題文アーカイブ(平成7年~令和6年)

🍀概要

 この資料は、過去のプロジェクトマネージャ試験問題(論述形式)をテキスト化した「プロジェクトマネージャの歴史書」です。Web上では見つけにくい、貴重で有益な示唆を含む、過去の問題文を、調査してテキスト化しました。 過去の課題から、現代そして未来に求められる理想像を紐解き、あなたの知識と視点を深めます。分析や考察に役立つよう、すぐにコピペして利用できる形式となっています。

🧾問題・設問

 出典:情報処理推進機構 プロジェクトマネージャ試験 平成7年~令和6年(1995~2024年) 午後2(🔗取り扱いガイドライン)

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📗R06:2024

【PM-R06-1-PM2-Q1】予測型のシステム開発プロジェクトにおけるコストのマネジメントについて

 予測型のシステム開発プロジェクトでは,将来に対する予測に基づきプロジェクト計画を作成するが,システム開発に影響する事業改革の進め方が未定,新たに適用するデジタル技術の効果が不明などといった,正確な予測を妨げる要因(以下,不確かさという)が存在するプロジェクトもある。このようなプロジェクトでは,予測の精度を上げる活動(以下,予測活動という)を計画して,実行する必要がある。
 不確かさは,コストの見積りにも影響を与える。したがって,予算を含むステークホルダのコストに関する要求事項を確認した上で,不確かさがコストの見積りに与える影響についての認識をステークホルダと共有して,コストの見積りに関わる予測活動を計画し,実行することによって,コストをマネジメントする必要がある。
 計画段階では,予測活動の内容,コストの再見積りのタイミングを決める条件,予測活動における役割分担などのステークホルダとの協力の内容,及び再見積りしたコストと予算との差異への対応方針を,ステークホルダと合意する。
 実行段階では,ステークホルダと協力して予測活動を行う。そして,予測精度の向上を考慮した適切なタイミングで再見積りし,再見積りしたコストと予算との差異に対して,対応方針に沿って予算の見直しやコスト削減などの対応策を作成し,ステークホルダに報告して承認を得る。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

■設問ア
 あなたが携わった予測型のシステム開発プロジェクトにおける,予算を含むステークホルダのコストに関する要求事項,不確かさ及び不確かさがコストの見積りに与える影響,影響についての認識をステークホルダと共有するために実施したことについて,800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた不確かさに関して,計画段階でステークホルダと合意した,予測活動の内容,コストの再見積りのタイミングを決める条件,予測活動におけるステークホルダとの協力の内容,及び再見積りしたコストと予算との差異への対応方針について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 実行段階での,予測精度の向上を考慮して実施した再見積りのタイミング,再見積りしたコストと予算との差異の内容,及びステークホルダに報告して承認を得た差異への対応策について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-R06-1-PM2-Q2】メンバーの状況に応じたリーダーシップの選択について

 システム開発プロジェクトでは,プロジェクトを支持している影響力のあるステークホルダの異動,プロジェクト外部の要因によるスコープやスケジュールの変更要求など,プロジェクト実行中に起こるプロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化に対応する。プロジェクトチームのリーダーは,このような外部環境の変化によってプロジェクトチームの状態が悪化した場合,リーダーシップを発揮して悪化した状態を改善する。この際,個々のメンバーの状況を把握して,状況に応じたリーダーシップを選択し,これに基づき行動を使い分ける必要がある。
 例えば,メンバー間で対立が継続している状態の場合は,対立しているメンバーの双方と積極的なコミュニケーションを行う。メンバーだけでは対立の解消が困難な状況にあるときは,指示的なリーダーシップを選択し,これに基づき早急に対立を解消するためにリーダーが考える対策を適用させる行動をとる。一方で,対立の影響で士気が低下している状態の場合は,メンバーの不安や不満に耳を傾ける。士気の回復に向けて動機付けが必要な状況にあるときは,支援的なリーダーシップを選択し,これに基づき自主的な取組を促す行動をとる。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

■設問ア
 あなたがマネジメントに携わったプロジェクトチームの特性,プロジェクト実行中に起きたプロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化,阻害するおそれがあると考えた理由について,800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた外部環境の変化によって悪化したプロジェクトチームの状態,悪化した状態の改善に向けて把握した個々のメンバーの状況,それらの状況に応じて選択したリーダーシップとこれに基づく具体的な行動,それぞれの行動を使い分けた理由について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたリーダーシップを発揮した後の,改善したプロジェクトチームの状態,及び状態の改善に対する評価について,プロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化への対応結果を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗R05:2023

【PM-R05-1-PM2-Q1】プロジェクトマネジメント計画の修整(テーラリング)について

 システム開発プロジェクトでは、プロジェクトの目標を達成するために、時間、コスト、品質以外に、リスク、スコープ、ステークホルダ、プロジェクトチーム、コミュニケーションなどもプロジェクトマネジメントの対象として重要である。プロジェクトマネジメント計画を作成するに当たっては、これらの対象に関するマネジメントの方法としてマネジメントの役割、責任、組織、プロセスなどを定義する必要がある。
 その際に、マネジメントの方法として定められた標準や過去に経験した事例を参照することは、プロジェクトマネジメント計画を作成する上で、効率が良くまた効果的である。しかし、個々のプロジェクトには、プロジェクトを取り巻く環境、スコープ定義の精度、ステークホルダの関与度や影響度、プロジェクトチームの成熟度やチームメンバーの構成、コミュニケーションの手段や頻度などに関して独自性がある。
 システム開発プロジェクトを適切にマネジメントするためには、参照したマネジメントの方法を、個々のプロジェクトの独自性を考慮して修整し、プロジェクトマネジメント計画を作成することが求められる。
 さらに、修整したマネジメントの方法の実行に際しては、修整の有効性をモニタリングし、その結果を評価して、必要に応じて対応する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標、その目標を達成するために、時間、コスト、品質以外に重要と考えたプロジェクトマネジメントの対象、及び重要と考えた理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトマネジメントの対象のうち、マネジメントの方法を修整したものは何か。修整が必要と判断した理由、及び修整した内容について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた修整したマネジメントの方法の実行に際して、修整の有効性をどのようにモニタリングしたか。モニタリングの結果とその評価、必要に応じて行った対応について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-R05-1-PM2-Q2】組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につながるプロジェクト終結時の評価について

 プロジェクトチームには、プロジェクト目標を達成することが求められる。しかし、過去の経験や実績に基づく方法やプロセスに従ってマネジメントを実施しても、重要な目標の一部を達成できずにプロジェクトを終結すること(以下、目標未達成という)がある。このようなプロジェクトの終結時の評価の際には、今後のプロジェクトの教訓として役立てるために、プロジェクトチームとして目標未達成の原因を究明して再発防止策を立案する。
 目標未達成の原因を究明する場合、目標未達成を直接的に引き起こした原因(以下、直接原因という)の特定にとどまらず、プロジェクトの独自性を踏まえた因果関係の整理や段階的な分析などの方法によって根本原因を究明する必要がある。その際、プロジェクトチームのメンバーだけでなく、ステークホルダからも十分な情報を得る。さらに客観的な立場で根本原因の究明に参加する第三者を加えたり、組織内外の事例を参照したりして、それらの知見を活用することも有効である。
 究明した根本原因を基にプロジェクトマネジメントの観点で再発防止策を立案する。再発防止策は、マネジメントプロセスを煩雑にしたりマネジメントの負荷を大幅に増加させたりしないような工夫をして、教訓として組織への定着を図り、組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につなげることが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの独自性、未達成となった目標と目標未達成となった経緯、及び目標未達成がステークホルダに与えた影響について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた目標未達成の直接原因の内容、根本原因を究明するために行ったこと、及び根本原因の内容について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた根本原因を基にプロジェクトマネジメントの観点で立案した再発防止策、及び再発防止策を組織に定着させるための工夫について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗R04:2022

【PM-R04-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける事業環境の変化への対応について

 システム開発プロジェクトでは、事業環境の変化に対応して、プロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に計画変更の要求を受けることがある。このような計画変更には、プロジェクトにプラスの影響を与える機会とマイナスの影響を与える脅威が伴う。計画変更を効果的に実施するためには、機会を生かす対応策と脅威を抑える対応策の策定が重要である。
 例えば、競合相手との差別化を図る機能の提供を目的とするシステム開発プロジェクトの実行中に、競合相手が同種の新機能を提供することを公表し、これに対応して営業部門から、差別化を図る機能の提供時期を、予算を追加してでも前倒しする計画変更が要求されたとする。この計画変更で、短期開発への挑戦というプラスの影響を与える機会が生まれ、プロジェクトチームの成長が期待できる。この機会を生かすために、短期開発の経験者をプロジェクトチームに加え、メンバーがそのノウハウを習得するという対応策を策定する。一方で、スケジュールの見直しというマイナスの影響を与える脅威が生まれ、プロジェクトチームが混乱したり生産性が低下したりする。この脅威を抑えるために、差別化に寄与する度合いの高い機能から段階的に前倒しして提供していくという対応策を策定する。
 策定した対応策を反映した上で、計画変更の内容を確定して実施し、事業環境の変化に迅速に対応する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~設問ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要と目的、計画変更の背景となった事業環境の変化、及びプロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に受けた計画変更の要求の内容について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた計画変更の要求を受けて策定した、機会を生かす対応策、脅威を抑える対応策、及び確定させた計画変更の内容について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた計画変更の実施の状況及びその結果による事業環境の変化への対応の評価について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-R04-1-PM2-Q2】プロジェクト目標の達成のためのステークホルダとのコミュニケーションについて

 システム開発プロジェクトでは、プロジェクト目標(以下、目標という)を達成するために、目標の達成に大きな影響を与えるステークホルダ(以下、主要ステークホルダという)と積極的にコミュニケーションを行うことが求められる。
 プロジェクトの計画段階においては、主要ステークホルダへのヒアリングなどを通じて、その要求事項に基づきスコープを定義して合意する。その際、スコープとしては明確に定義されなかったプロジェクトへの期待があることを想定して、プロジェクトへの過大な期待や主要ステークホルダ間の相反する期待の有無を確認する。過大な期待や相反する期待に対しては、適切にマネジメントしないと目標の達成が妨げられるおそれがある。そこで、主要ステークホルダと積極的にコミュニケーションを行い、過大な期待や相反する期待によって目標の達成が妨げられないように努める。
 プロジェクトの実行段階においては、コミュニケーションの不足などによって、主要ステークホルダに認識の齟齬や誤解(以下、認識の不一致という)が生じることがある。これによって目標の達成が妨げられるおそれがある場合、主要ステークホルダと積極的にコミュニケーションを行って認識の不一致の解消に努める。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~設問ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要、目標、及び主要ステークホルダが目標の達成に与える影響について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトに関し、“計画段階”において確認した主要ステークホルダの過大な期待や相反する期待の内容、過大な期待や相反する期待によって目標の達成が妨げられるおそれがあると判断した理由、及び“計画段階”において目標の達成が妨げられないように積極的に行ったコミュニケーションについて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問アで述べたプロジェクトに関し、“実行段階”において生じた認識の不一致とその原因、及び“実行段階”において認識の不一致を解消するために積極的に行ったコミュニケーションについて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗R03:2021

【PM-R03-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチーム内の対立の解消について

 プロジェクトマネージャ(PM)は、プロジェクトの目標の達成に向け継続的にプロジェクトチームをマネジメントし、プロジェクトを円滑に推進しなければならない。
 プロジェクトの実行中には、作業の進め方をめぐって様々な意見や認識の相違がプロジェクトチーム内に生じることがある。チームで作業するからにはこれらの相違が発生することは避けられないが、これらの相違がなくならない状態が続くと、プロジェクトの円滑な推進にマイナスの影響を与えるような事態(以下、対立という)に発展することがある。
 PMは、プロジェクトチームの意識を統一するための行動の基本原則を定め、メンバに周知し、遵守させる。プロジェクトの実行中に、プロジェクトチームの状況から対立の兆候を察知した場合、対立に発展しないように行動の基本原則に従うように促し、プロジェクトチーム内の関係を改善する。
 しかし、行動の基本原則に従っていても意見や認識の相違が対立に発展してしまうことがある。その場合は、原因を分析して対立を解消するとともに、行動の基本原則を改善し、遵守を徹底させることによって、継続的にプロジェクトチームをマネジメントする必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、あなたが定めた行動の基本原則とプロジェクトチームの状況から察知した対立の兆候について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの実行中に作業の進め方をめぐって発生した対立と、あなたが実施した対立の解消策及び行動の基本原則の改善策について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対立の解消策と行動の基本原則の改善策の実施状況及び評価と、今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-R03-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおけるスケジュールの管理について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの計画時にシステム開発プロジェクト全体のスケジュールを作成した上で、プロジェクトが所定の期日に完了するように、スケジュールの管理を適切に実施することが求められる。
 PMは、スケジュールの管理において一定期間内に投入したコストや資源、成果物の出来高と品質などを評価し、承認済みのスケジュールベースラインに対する現在の進捗の実績を確認する。そして、進捗の差異を監視し、差異の状況に応じて適切な処置をとる。
 PMは、このようなスケジュールの管理の仕組みで把握した進捗の差異がプロジェクトの完了期日に対して遅延を生じさせると判断した場合、差異の発生原因を明確にし、発生原因に対する対応策、続いて、遅延に対するばん回策を立案し、それぞれ実施する。
 なお、これらを立案する場合にプロジェクト計画の変更が必要となるとき、変更についてステークホルダの承認を得ることが必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴と目標、スケジュールの管理の概要について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたスケジュールの管理の仕組みで把握した、プロジェクトの完了期日に対して遅延を生じさせると判断した進捗の差異の状況、及び判断した根拠は何か。また、差異の発生原因に対する対応策と遅延に対するばん回策はどのようなものか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対応策とばん回策の実施状況及び評価と、今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗R02:2020

【PM-R02-1-PM2-Q1】未経験の技術やサービスを利用するシステム開発プロジェクトについて

 プロジェクトマネージャ(PM)は、システム化の目的を実現するために、組織にとって未経験の技術やサービス(以下、新技術という)を利用するプロジェクトをマネジメントすることがある。
 このようなプロジェクトでは、新技術を利用して機能、性能、運用などのシステム要件を完了時期や予算などのプロジェクトへの要求事項を満たすように実現できること(以下、実現性という)を、システム開発に先立って検証することが必要になる場合がある。このような場合、プロジェクトライフサイクルの中で、システム開発などのプロジェクトフェーズ(以下、開発フェーズという)に先立って、実現性を検証するプロジェクトフェーズ(以下、検証フェーズという)を設けることがある。検証する内容はステークホルダと合意する必要がある。検証フェーズでは、品質目標を定めたり、開発フェーズの活動期間やコストなどを詳細に見積もったりするための情報を得る。PMは、それらの情報を活用して、必要に応じ開発フェーズの計画を更新する。
 さらに、検証フェーズで得た情報や更新した開発フェーズの計画を示すなどして、検証結果の評価についてステークホルダの理解を得る。場合によっては、システム要件やプロジェクトへの要求事項を見直すことについて協議して理解を得ることもある。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった新技術を利用したシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトとしての特徴、システム要件、及びプロジェクトへの要求事項について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたシステム要件とプロジェクトへの要求事項について、検証フェーズで実現性をどのように検証したか。検証フェーズで得た情報を開発フェーズの計画の更新にどのように活用したか。また、ステークホルダの理解を得るために行ったことは何か。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた検証フェーズで検証した内容、及び得た情報の活用について、それぞれの評価及び今後の改善点を、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-R02-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおけるリスクのマネジメントについて

 プロジェクトマネージャ(PM)は、プロジェクトの計画時に、プロジェクトの目標の達成に影響を与えるリスクへの対応を検討する。プロジェクトの実行中は、リスクへ適切に対応することによってプロジェクトの目標を達成することが求められる。
 プロジェクトチームの外部のステークホルダはPMの直接の指揮下にないので、外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標の達成にマイナスの影響がある問題が発生していたとしても、その発見や対応が遅れがちとなる。PMはこのような事態を防ぐために、プロジェクトの計画時に、ステークホルダ分析の結果やPMとしての経験などから、外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標の達成にマイナスの影響を与える様々なリスクを特定する。続いて、これらのリスクの発生確率や影響度を推定するなど、リスクを評価してリスクへの対応の優先順位を決定し、リスクへの対応策とリスクが顕在化した時のコンティンジェンシ計画を策定する。
 プロジェクトを実行する際は、外部のステークホルダに起因するリスクへの対応策を実施するとともに、あらかじめ設定しておいたリスクの顕在化を判断するための指標に基づき状況を確認するなどの方法によってリスクを監視する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴と目標、外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標の達成にマイナスの影響を与えると計画時に特定した様々なリスク、及びこれらのリスクを特定した理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた様々なリスクについてどのように評価し、どのような対応策を策定したか。また、リスクをどのような方法で監視したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたリスクへの対応策とリスクの監視の実施状況、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H31:2019

【PM-H31-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおけるコスト超過の防止について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの計画時に、活動別に必要なコストを積算し、リスクに備えた予備費などを特定してプロジェクト全体の予算を作成し、承認された予算内でプロジェクトを完了することが求められる。
 プロジェクトの実行中は、一定期間内に投入したコストを期間別に展開した予算であるコストベースラインと比較しながら、大局的に、また、活動別に詳細に分析し、プロジェクトの完了時までの総コストを予測する。コスト超過が予測される場合、原因を分析して対応策を実施したり、必要に応じて予備費を使用したりするなどして、コストの管理を実施する。
 しかし、このようなコストの管理を通じてコスト超過が予測される前に、例えば、会議での発言内容やメンバの報告内容などから、コスト超過につながると懸念される兆候をPMとしての知識や経験に基づいて察知することがある。PMはこのような兆候を察知した場合、兆候の原因を分析し、コスト超過を防止する対策を立案、実施する必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴とコストの管理の概要について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの実行中、コストの管理を通じてコスト超過が予測される前に、PMとしての知識や経験に基づいて察知した、コスト超過につながると懸念した兆候はどのようなものか。コスト超過につながると懸念した根拠は何か。また、兆候の原因と立案したコスト超過を防止する対策は何か。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対策の実施状況、対策の評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H31-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける、助言や他のプロジェクトの知見などを活用した問題の迅速な解決について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクト推進中に品質、納期、コストに影響し得る問題が発生した場合、問題を迅速に解決して、プロジェクトを計画どおりに進めることが求められる。問題発生時には、ステークホルダへの事実関係の確認などを行った上で、プロジェクト内の取組によって解決を図る。
 しかし、プロジェクト内の取組だけでは問題を迅速に解決できず、プロジェクトが計画どおりに進まないと懸念される場合、PMは、プロジェクト内の取組とは異なる観点や手段などを見いだし、原因の究明や解決策の立案を行うことも必要である。このような場合、プロジェクト外の有識者に助言を求めたり、他のプロジェクトから得た教訓やプロジェクト完了報告などの知見を参考にしたりすることがある。
 こうした助言や知見などを活用する場合、PMは、まず、プロジェクトの特徴のほか、品質、納期、コストに影響し得る問題の内容、問題発生時の背景や状況の類似性などから、有識者や参考とするプロジェクトを特定する。次に、有識者と会話して得た助言やプロジェクト完了報告書を調べて得た知見などに、プロジェクト内の取組では考慮していなかった観点や手段などが含まれていないかどうかを分析する。そして、解決に役立つ観点や手段などが見いだせれば、これらを活用して、問題の迅速な解決に取り組む。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、及びプロジェクト内の取組だけでは解決できなかった品質、納期、コストに影響し得る問題について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題に対して、解決に役立つ観点や手段などを見いだすために、有識者や参考とするプロジェクトの特定及び助言や知見などの分析をどのように行ったか。また、見いだした観点や手段などをどのように活用して、問題の迅速な解決に取り組んだか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた特定や分析、問題解決の取組について、それらの有効性の評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H30:2018

【PM-H30-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける非機能要件に関する関係部門との連携について

 システム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャ(PM)は、業務そのものに関わる機能要件に加えて、可用性、性能などに関わる非機能要件についても確実に要件が満たされるようにマネジメントしなければならない。特に非機能要件については、利用部門や運用部門など(以下、関係部門という)と連携を図り、その際、例えば、次のような点に注意を払う必要がある。
 ・非機能要件が関係部門にとってどのような意義をもつかについて関係部門と認識を合わせる
 ・非機能要件に対して関係部門が関わることの重要性について関係部門と認識を合わせる
 このような点に注意が十分に払われないと、関係部門との連携が不十分となり、システム受入れテストの段階で不満が続出するなどして、場合によっては納期などに大きく影響する問題になることがある。関係部門と連携を図るに当たって、PMはまずプロジェクト計画の段階で、要件定義を始めとする各工程について、非機能要件に関するWBSを設定し、WBSの各タスクの内容と関係部門を定め、関係部門の役割を明確にする。次に、関係部門と十分な連携を図るための取組みについて検討する。それらの内容をプロジェクト計画に反映した上で、関係部門を巻き込みながら一体となってプロジェクトを推進する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、代表的な非機能要件の概要、並びにその非機能要件に関して関係部門と連携を図る際に注意を払う必要があった点及びその理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた代表的な非機能要件に関し、関係部門と十分な連携を図るために検討して実施した取組みについて、主なタスクの内容と関係部門、及び関係部門の役割とともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた取組みに関する実施結果の評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H30-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける本稼働間近で発見された問題への対応について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、システム開発プロジェクトで発生する問題を迅速に把握し、適切な解決策を立案、実施することによって、システムを本稼働に導くことが求められる。しかし、問題の状況によっては暫定的な稼働とせざるを得ないこともある。
 システムの本稼働間近では、開発者によるシステム適格性確認テストや発注者によるシステム受入れテストなどが実施される。この段階で、機能面、性能面、業務運用面などについての問題が発見され、予定された稼働日までに解決が困難なことがある。しかし、経営上や業務上の制約から、予定された稼働日の延期が難しい場合、暫定的な稼働で対応することになる。
 このように、本稼働間近で問題が発見され、予定された稼働日までに解決が困難な場合、PMは、まずは、利用部門や運用部門などの関係部門とともに問題の状況を把握し、影響などを分析する。次に、システム機能の代替手段、システム利用時の制限、運用ルールの一時的な変更などを含めて、問題に対する当面の対応策を関係部門と調整し、合意を得ながら立案、実施して暫定的な稼働を迎える。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、本稼働間近で発見され、予定された稼働日までに解決することが困難であった問題、及び困難と判断した理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題の状況をどのように把握し、影響などをどのように分析したか。また、暫定的な稼働を迎えるために立案した問題に対する当面の対応策は何か。関係部門との調整や合意の内容を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対応策の実施状況と評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H29:2017

【PM-H29-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける信頼関係の構築・維持について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、ステークホルダとの信頼関係を構築し、維持することによってプロジェクトを円滑に遂行し、プロジェクト目標を達成することが求められる。
 例えば、プロジェクトが山場に近づくにつれ、現場では解決を迫られる問題が山積し、プロジェクトメンバの負荷も増えていく。時間的なプレッシャの中で、必要に応じてステークホルダの協力を得ながら問題を解決しなければならない状況になる。このような状況を乗り切るには、問題を解決する能力や知識などに加え、ステークホルダとの信頼関係が重要となる。信頼関係が損なわれていると、問題解決へ向けて積極的に協力し合うことが難しくなり、迅速な問題解決ができない事態となる。
 PMは、このような事態に陥らないように、ステークホルダとの信頼関係を構築しておくことが重要であり、このため、行動面、コミュニケーション面、情報共有面など、様々な切り口での取組みが必要となる。また、構築した信頼関係を維持していく取組みも大切である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、信頼関係を構築したステークホルダ、及びステークホルダとの信頼関係の構築が重要と考えた理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたステークホルダとの信頼関係を構築するための取組み、及び信頼関係を維持していくための取組みはそれぞれ、どのようなものであったか。工夫した点を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、ステークホルダとの信頼関係が解決に貢献した問題、その解決において信頼関係が果たした役割、及び今後に向けて改善が必要と考えた点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H29-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける品質管理について

 プロジェクトマネージャ(PM)は、システム開発プロジェクトの目的を達成するために、品質管理計画を策定して品質管理の徹底を図る必要がある。このとき、他のプロジェクト事例や全社的な標準として提供されている品質管理基準をそのまま適用しただけでは、プロジェクトの特徴に応じた品質状況の見極めが的確に行えず、品質面の要求事項を満たすことが困難になる場合がある。また、品質管理の単位が小さ過ぎると、プロジェクトの進捗及びコストに悪影響を及ぼす場合もある。
 このような事態を招かないようにするために、PMは、例えば次のような点を十分に考慮した上で、プロジェクトの特徴に応じた実効性が高い品質管理計画を策定し、実施しなければならない。
 ・信頼性などシステムに要求される事項を踏まえて、品質状況を的確に表す品質評価の指標、適切な品質管理の単位などを考慮した、プロジェクトとしての品質管理基準を設定すること
 ・摘出した欠陥の件数などの定量的な観点に加えて、欠陥の内容に着目した定性的な観点からの品質評価も行うこと
 ・品質評価のための情報の収集方法、品質評価の実施時期、実施体制などが、プロジェクトの体制に見合った内容になっており、実現性に問題がないこと
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、品質面の要求事項、及び品質管理計画を策定する上でプロジェクトの特徴に応じて考慮した点について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた考慮した点を踏まえて、どのような品質管理計画を策定し、どのように品質管理を実施したかについて、考慮した点と特に関連が深い工程を中心に、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた品質管理計画の内容の評価、実施結果の評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H28:2016

【PM-H28-1-PM2-Q1】他の情報システムの成果物を再利用した情報システムの構築について

 情報システムを構築する際、他の情報システムの設計書、プログラムなどの成果物を部分的又は全面的に再利用することがある。この場合、品質の確保、コストの低減、開発期間の短縮などの効果が期待できる一方で、再利用する成果物の状況に応じた適切な対策を講じることをあらかじめ計画しておかないと、有効利用することが難しくなり、期待どおりの効果が得られないことがある。プロジェクトマネージャ(PM)は、成果物の有効利用を図る上での課題を洗い出し、プロジェクト計画に適切な対策を織り込む必要がある。
 そのためには、PMは、再利用を予定している成果物の状況を、例えば、次のような点に着目して分析し、情報システムの構築への影響を確認しておくことが重要である。
 ・成果物の構成管理が適切に行われ、容易に再利用できる状態になっているか。
 ・本稼働後の保守効率の観点から、成果物を見直す必要がないか。
 ・成果物を再利用するに当たって、成果物の管理元の支援が受けられるか。
 成果物の有効利用を図る上での課題が見つかったときには、有効利用に支障を来さないようにするための対策を検討する。これらの結果を基に、成果物の再利用の範囲を特定した上で、再利用の方法、期待する効果などを明確にし、成果物の再利用の方針として取りまとめ、プロジェクト計画に反映する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム構築プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、並びに他の情報システムの成果物を再利用した際の再利用の範囲・方法、及びその決定理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた成果物の再利用に関し、期待した効果、有効利用を図る上での課題と対策、及び対策の実施状況について、特に工夫をした点を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた期待した効果の実現状況と評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H28-1-PM2-Q2】情報システム開発プロジェクトの実行中におけるリスクのコントロールについて

 プロジェクトマネージャ(PM)には、情報システム開発プロジェクトの実行中、プロジェクト目標の達成を阻害するリスクにつながる兆候を早期に察知し、適切に対応することによってプロジェクト目標を達成することが求められる。
 プロジェクトの実行中に察知する兆候としては、例えば、メンバの稼働時間が計画以上に増加している状況や、メンバが仕様書の記述に対して分かりにくさを表明している状況などが挙げられる。これらの兆候をそのままにしておくと、開発生産性が目標に達しないリスクや成果物の品質を確保できないリスクなどが顕在化し、プロジェクト目標の達成を阻害するおそれがある。
 PMは、このようなリスクの顕在化に備えて、察知した兆候の原因を分析するとともに、リスクの発生確率や影響度などのリスク分析を実施する。その結果、リスクへの対応が必要と判断した場合は、リスクを顕在化させないための予防処置を策定し、実施する。併せて、リスクの顕在化に備え、その影響を最小限にとどめるための対応計画を策定することが必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、及びプロジェクトの実行中に察知したプロジェクト目標の達成を阻害するリスクにつながる兆候について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた兆候をそのままにした場合に顕在化すると考えたリスクとそのように考えた理由、対応が必要と判断したリスクへの予防処置、及びリスクの顕在化に備えて策定した対応計画について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたリスクへの予防処置の実施状況と評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H27:2015

【PM-H27-1-PM2-Q1】情報システム開発プロジェクトにおけるサプライヤの管理について

 プロジェクトマネージャ(PM)は、自社で保有する要員や専門技術の不足などの理由で、システム開発の成果物、サービス、要員などを外部のサプライヤから調達して、情報システムを開発する場合がある。
 システム開発の調達形態には、請負、準委任、派遣などがあるが、成果物が明確な場合、請負で調達することが多い。請負で調達する場合、サプライヤは成果物の完成責任を負う一方、発注者はサプライヤの要員に対して指揮命令することが法的にできない。したがって、プロジェクトを円滑に遂行できるように、発注者とサプライヤは、その進捗や品質の管理、リスクの管理、問題点の解決などについて協議する必要がある。
 仮に、プロジェクトの進捗の遅延や成果物の品質の欠陥などの事態が生じた原因がサプライヤにあったとしても、プロジェクトの最終責任は全て発注者側のPMにある。そのため、発注者とサプライヤの間で進捗の管理と品質の管理の仕組みを作成し、実施することが重要になる。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、及び外部のサプライヤから請負で調達した範囲とその理由について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、発注者とサプライヤの間で作成した進捗の管理と品質の管理の仕組みについて、請負で調達する場合を考慮して工夫した点を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた進捗の管理と品質の管理の仕組みの実施状況と評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H27-1-PM2-Q2】情報システム開発プロジェクトにおける品質の評価、分析について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、開発する情報システムの品質を適切に管理することが求められる。そのために、プロジェクトの目標や特徴を考慮して、開発工程ごとに設計書やプログラムなどの成果物の品質に対する評価指標、評価指標値の目標範囲などを定めて、成果物の品質を評価することが必要になる。
 プロジェクト推進中は、定めた評価指標の実績値によって成果物の品質を評価する。特に、実績値が目標範囲を逸脱しているときは、その原因を分析して特定する必要がある。例えば、設計工程において、ある設計書のレビュー指摘密度が目標範囲を上回っているとき、指摘内容を調べると、要件との不整合に関する指摘事項が多かった。その原因を分析して、要件定義書の記述に難解な点があるという原因を特定した、などである。また、特定した原因による他の成果物への波及の有無などの影響についても分析しておく必要がある。
 PMは、分析して特定した原因や影響への対応策、及び同様の事象の再発を防ぐための改善策を立案する。また、対応策や改善策を実施する上で必要となるスケジュールや開発体制などの見直しを行うとともに、対応策や改善策の実施状況を監視することも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの目標や特徴、評価指標や評価指標値の目標範囲などを定めた工程のうち、実績値が目標範囲を逸脱した工程を挙げて、その工程で評価指標や評価指標値の目標範囲などをどのように定めたかについて、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた評価指標で、実績値が目標範囲をどのように逸脱し、その原因をどのように分析して、どのような原因を特定したか。また、影響をどのように分析したか。重要と考えた点を中心に、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで特定した原因や影響への対応策、同様の事象の再発を防ぐための改善策、及びそれらの策を実施する上で必要となった見直し内容とそれらの策の実施状況の監視方法について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H26:2014

【PM-H26-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける工数の見積りとコントロールについて

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトに必要な資源をできるだけ正確に見積もり、適切にコントロールすることによって、プロジェクトの目標を達成することが求められる。中でも工数の見積りを誤ったり、見積りどおりに工数をコントロールできなかったりすると、プロジェクトのコストや進捗に大きな問題が発生することがある。
 工数の見積りは、見積りを行う時点までに入手した情報とその精度などの特徴を踏まえて、開発規模と生産性からトップダウンで行ったり、WBSの各アクティビティをベースにボトムアップで行ったり、それらを組み合わせて行ったりする。PMは、所属する組織で使われている機能別やアクティビティ別の生産性の基準値、類似プロジェクトの経験値、調査機関が公表している調査結果などを用い、使用する開発技術、品質目標、スケジュール、組織要員体制などのプロジェクトの特徴を考慮して工数を見積もる。未経験の開発技術を使うなど、経験値の入手が困難な場合は、システムの一部分を先行開発して関係する計数を実測するなど、見積りをできるだけ正確に行うための工夫を行う。
 見積りどおりに工数をコントロールするためには、プロジェクト運営面で様々な施策が必要となる。PMは、システム開発標準の整備と周知徹底、要員への適正な作業割当てなどによって、当初の見積りどおりの生産性を維持することに努めなければならない。また、プロジェクトの進捗に応じた工数の実績と見積りの差異や、開発規模や生産性に関わる見積りの前提条件の変更内容などを常に把握し、プロジェクトのコストや進捗に影響を与える問題を早期に発見して、必要な対策を行うことが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴と、見積りのために入手した情報について、あなたがどの時点で工数を見積もったかを含めて、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた見積り時点において、プロジェクトの特徴、入手した情報の精度などの特徴を踏まえてどのように工数を見積もったか。見積りをできるだけ正確に行うために工夫したことを含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、見積りどおりに工数をコントロールするためのプロジェクト運営面での施策、その実施状況及び評価について、あなたが重要と考えた施策を中心に、発見した問題とその対策を含めて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H26-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける要員のマネジメントについて

 プロジェクトマネージャには、プロジェクト目標の達成に向けて、プロジェクトの要員に期待した能力が十分に発揮されるように、プロジェクトをマネジメントすることが求められる。
 プロジェクト目標の達成は、要員に期待した能力が十分に発揮されるかどうかに依存することが少なくない。プロジェクト組織体制の中で、要員に期待した能力が十分に発揮されない事態になると、担当させた作業が目標の期間で完了できなかったり、目標とする品質を満足できなかったりするなど、プロジェクト目標の達成にまで影響が及ぶことになりかねない。
 したがって、プロジェクトの遂行中に、例えば、次のような観点から、要員に期待した能力が十分に発揮されているかどうかを注意深く見守る必要がある。
 ・担当作業に対する要員の取組状況
 ・要員間のコミュニケーション
 要員に期待した能力が十分に発揮されていない事態であると認識した場合、対応策を立案し、実施するとともに、根本原因を追究し、このような事態が発生しないように再発防止策を立案し、実施することが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、プロジェクト組織体制、要員に期待した能力について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの遂行中に、要員に期待した能力が十分に発揮されていないと認識した事態、立案した対応策とその工夫、及び対応策の実施状況について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた事態が発生した根本原因と立案した再発防止策について、再発防止策の実施状況を含めて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H25:2013

【PM-H25-1-PM2-Q1】システム開発業務における情報セキュリティの確保について

 プロジェクトマネージャ(PM)は、システム開発プロジェクトの遂行段階における情報セキュリティの確保のために、個人情報、営業や財務に関する情報などに対する情報漏えい、改ざん、不正アクセスなどのリスクに対応しなければならない。
 PMは、プロジェクト開始に当たって、次に示すような、開発業務における情報セキュリティ上のリスクを特定する。
 ・データ移行の際に、個人情報を開発環境に取り込んで加工してから新システムに移行する場合、情報漏えいや改ざんのリスクがある
 ・接続確認テストの際に、稼働中のシステムの財務情報を参照する場合、不正アクセスのリスクがある
 PMは、特定したリスクを分析し評価した上で、リスクに対応するために、技術面の予防策だけでなく運営面の予防策も立案する。運営面の予防策では、個人情報の取扱時の役割分担や管理ルールを定めたり、財務情報の参照時の承認手続や作業手順を定めたりする。立案した予防策は、メンバに周知する。
 PMは、プロジェクトのメンバが、プロジェクトの遂行中に予防策を遵守していることを確認するためのモニタリングの仕組みを設ける。問題が発見された場合には、原因を究明して対処しなければならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトのプロジェクトとしての特徴、情報セキュリティ上のリスクが特定された開発業務及び特定されたリスクについて、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたリスクに対してどのような運営面の予防策をどのように立案したか。また、立案した予防策をどのようにメンバに周知したか。重要と考えた点を中心に、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた予防策をメンバが遵守していることを確認するためのモニタリングの仕組み、及び発見された問題とその対処について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H25-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおけるトレードオフの解消について

 プロジェクトマネージャには、プロジェクトの遂行中に発生する様々な問題を解決することによって、プロジェクト目標を達成することが求められる。
 プロジェクトの制約条件としては、納期、予算、要員などがある。プロジェクトの遂行中に発生する問題の中には、解決に際し、複数の制約条件を同時に満足させることができない場合がある。このように、一つの制約条件を満足させようとすると、別の制約条件を満足させられない状態をトレードオフと呼ぶ。
 プロジェクトの遂行中に、例えば、プロジェクトの納期を守れなくなる問題が発生したとき、この問題の解決に際し、制約条件である納期を満足させようとすれば予算超過となり、もう一つの制約条件である予算を満足させようとすれば納期遅延となる場合、納期と予算のトレードオフとなる。この場合、制約条件である納期と予算について分析したり、その他の条件も考慮に入れたりしながら調整し、トレードオフになった納期と予算が同時に受け入れられる状態を探すこと、すなわちトレードオフを解消することが必要になる。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの概要とプロジェクトの制約条件について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの遂行中に発生した問題の中で、トレードオフの解消が必要になった問題とそのトレードオフはどのようなものであったか。また、このトレードオフをどのように解消したかについて、工夫した点を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イのトレードオフの解消策に対する評価、残された問題、その解決方針について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H25-1-PM2-Q3】システム開発プロジェクトにおける工程の完了評価について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの品質、予算、納期の目標を達成するために、プロジェクトの状況を継続的に評価し、把握した問題について対策を検討し、実施することが求められる。
 特に、各工程の完了に先立って、作業の実績、成果物の品質などの項目について、その工程の完了条件に基づいて評価する。また、要員の能力や調達状況などの項目について、次工程の開始条件に基づいて評価する。評価時に把握されるプロジェクト遂行上の問題としては、例えば、設計工程では、次のようなものがある。
 ・工程の成果物の承認プロセスが一部未完了
 ・次工程の開発技術者が、計画上の人員に対して未充足
 PMはこのような問題を把握して、次工程にどのような影響を与えるかを分析し、対応策を検討する。問題によっては、プロジェクトの納期は変えずにスケジュールの調整を行うなどの対応策が必要になる場合もある。そして、必要な関係者にその工程の完了及び次工程の開始の承認を得る。
 また、類似の問題が発生しないように問題の背景や原因を把握して、再発防止策を立案することも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトのプロジェクトとしての特徴と、完了評価を行った工程の一つについて、その概要、その工程の完了条件と次工程の開始条件を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた工程の完了評価の結果はどのようなものであったか。その際、把握した問題と次工程への影響、検討した対応策について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた問題の背景や原因、再発防止策とその評価、及び残された問題について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H24:2012

【PM-H24-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける要件定義のマネジメントについて

 プロジェクトマネージャには、システム化に関する要求を実現するため、要求を要件として明確に定義できるように、プロジェクトをマネジメントすることが求められる。
 システム化に関する要求は従来に比べ、複雑化かつ多様化している。このような要求を要件として定義する際、要求を詳細にする過程や新たな要求の追加に対処する過程などで要件が膨張する場合がある。また、要件定義工程では要件の定義漏れや定義誤りなどの不備に気付かず、要件定義後の工程でそれらの不備が判明する場合もある。このようなことが起こると、プロジェクトの立上げ時に承認された個別システム化計画書に記載されている予算限度額や完了時期などの条件を満たせなくなるおそれがある。
 要件の膨張を防ぐためには、例えば、次のような対応策を計画し、実施することが重要である。
 ・要求の優先順位を決定する仕組みの構築
 ・要件の確定に関する承認体制の構築
 また、要件の定義漏れや定義誤りなどの不備を防ぐためには、過去のプロジェクトを参考にチェックリストを整備して活用したり、プロトタイプを用いたりするなどの対応策を計画し、実施することが有効である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおける、プロジェクトとしての特徴、及びシステム化に関する要求の特徴について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて要件を定義する際に、要件の膨張を防ぐために計画した対応策は何か。対応策の実施状況と評価を含め、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて要件を定義する際に、要件の定義漏れや定義誤りなどの不備を防ぐために計画した対応策は何か。対応策の実施状況と評価を含め、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H24-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおけるスコープのマネジメントについて

 プロジェクトマネージャ(PM)には、システム開発プロジェクトのスコープとして成果物の範囲と作業の範囲を定義し、これらを適切に管理することで予算、納期、品質に関するプロジェクト目標を達成することが求められる。
 プロジェクトの遂行中には、業務要件やシステム要件の変更などによって成果物の範囲や作業の範囲を変更しなくてはならないことがある。スコープの変更に至った原因とそれによるプロジェクト目標の達成に及ぼす影響としては、例えば、次のようなものがある。
 ・事業環境の変化に伴う業務要件の変更による納期の遅延や品質の低下
 ・連携対象システムの追加などシステム要件の変更による予算の超過や納期の遅延
 このような場合、PMは、スコープの変更による予算、納期、品質への影響を把握し、プロジェクト目標の達成に及ぼす影響を最小にするための対策などを検討し、プロジェクトの発注者を含む関係者と協議してスコープの変更の要否を決定する。
 スコープの変更を実施する場合には、PMは、プロジェクトの成果物の範囲と作業の範囲を再定義して関係者に周知する。その際、変更を円滑に実施するために、成果物の不整合を防ぐこと、特定の担当者への作業の集中を防ぐことなどについて留意することが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおける、プロジェクトとしての特徴と、プロジェクトの遂行中に発生したプロジェクト目標の達成に影響を及ぼすスコープの変更に至った原因について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた原因によってスコープの変更をした場合、プロジェクト目標の達成にどのような影響が出ると考えたか。また、どのような検討をしてスコープの変更の要否を決定したか。協議に関わった関係者とその協議内容を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたスコープの変更を円滑に実施するために、どのような点に留意して成果物の範囲と作業の範囲を再定義したか。成果物の範囲と作業の範囲の変更点を含めて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H24-1-PM2-Q3】システム開発プロジェクトにおける利害の調整について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、システム開発プロジェクトの遂行中に発生する様々な問題を解決し、プロジェクト目標を達成することが求められる。問題によってはプロジェクト関係者(以下、関係者という)の間で利害が対立し、その調整をしながら問題を解決しなければならない場合がある。
 利害の調整が必要になる問題として、例えば、次のようなものがある。
 ・利用部門間の利害の対立によって意思決定が遅れる
 ・PMと利用部門の利害の対立によって利用部門からの参加メンバが決まらない
 ・プロジェクト内のチーム間の利害の対立によって作業の分担が決まらない
 利害の対立がある場合、関係者が納得する解決策を見いだすのは容易ではない。しかし、PMは利害の対立の背景を把握した上で、関係者が何を望み、何を避けたいと思っているのかなどについて十分に理解し、関係者が納得するように利害を調整しながら解決策を見いださなければならない。その際、関係者の本音を引き出すために個別に相談したり、事前に複数の解決策を用意したりするなど、種々の工夫をすることも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおける、プロジェクトとしての特徴、利害の調整が必要になった問題とその際の関係者について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題に関する関係者それぞれの利害は何か。また、どのように利害の調整をして問題を解決したかについて、工夫したことを含め、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた利害の調整に対する評価、利害の調整を行った際に認識した課題、今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H23:2011

【PM-H23-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおけるコストのマネジメントについて

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの予算を作成し、これを守ることが求められる。そのためには、予算の基となるコスト見積りの精度を高めるとともに、予算に沿ってプロジェクトを遂行することが必要となる。
 プロジェクトのコストは開発要員にかかわるコスト、開発環境にかかわるコストなど多くの要素から構成される。PMは、コストの各構成要素についてコスト見積りを行い、予算を作成する。その場合、例えば、開発要員にかかわるコストについては、過去の類似プロジェクトから類推したり、生産性の基準値をプロジェクトの特徴を踏まえて修正して利用したりするなど、コスト見積りの精度を高めるための工夫を行う。また、収集できるコスト情報の精度が低い場合には予算に幅をもたせたり、リスク管理の観点から予備費を設定したりするなどの考慮も重要である。
 一方、プロジェクトの遂行中において、PMは、完了時のコストが予算の範囲に収まるように管理する必要がある。そのためには、各アクティビティの完了に要した実コストと予算を比較するなど、コスト差異を把握するための仕組みを確立することが重要である。差異を把握した場合には、その原因と影響度合いを分析し、プロジェクトの完了時のコストを予測する。予算超過が予想されるときには、例えば、生産性の改善策を実施し、状況によっては、委託者や利用部門とプロジェクトのスコープの調整を行うなどの対策をとることも検討し、予算超過を防がなくてはならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、及びプロジェクトにおけるコストの構成とその特徴について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおけるコスト見積りの方法とコスト見積りの精度を高めるための工夫、及び予算の作成に当たって特に考慮したことについて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問アで述べたプロジェクトの遂行中におけるコスト差異を把握するための仕組み、及び差異を把握した場合にとったプロジェクトの予算超過を防ぐための対策について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H23-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける品質確保策について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、品質保証や品質管理の方法などについて品質計画を立案し、設定された品質目標を予算や納期の制約の下で達成することが求められる。
 PMは、品質目標の達成を阻害する要因を見極め、その要因に応じた次のような品質確保策を作成し、品質計画に含める必要がある。
 ・要員の業務知識が不十分な場合、要件の見落としや誤解が起きやすいので、業務に詳しい有識者を交えたウォークスルーによる設計内容の確認やプロトタイプによる利用者の確認を実施する。
 ・稼働中のシステムの改修の影響が広範囲に及ぶ場合、既存機能のデグレードが起きやすいので、構成管理による修正箇所の確認や既存機能を含めた回帰テストを実施する。
 また、予算や納期の制約を考慮して、それらの品質確保策について、次のような工夫をすることも重要である。
 ・ウォークスルーの対象を難易度の高い要件に絞ることで設計期間を短縮したり、表計算ソフトを利用して画面や帳票のプロトタイプを作成することで設計費用を削減したりする。
 ・構成管理でツールを活用して修正範囲を特定することで修正の不備を早期に発見してシステムの改修期間を短縮したり、回帰テストで前回の開発のテスト項目やテストデータを用いてテスト費用を削減したりする。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、及びその特徴を踏まえて設定された品質目標について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた品質目標の達成を阻害する要因とそのように判断した根拠は何か。また、その要因に応じて品質計画に含めた品質確保策はどのようなものか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた品質確保策の作成において、予算や納期の制約を考慮して、どのような工夫をしたか。また、工夫した結果についてどのように評価しているか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H23-1-PM2-Q3】システム開発プロジェクトにおける組織要員管理について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクト目標の達成に向けてプロジェクトを円滑に運営できるチームを編成し、チームを構成する要員が個々の能力を十分に発揮できるように要員を管理することが求められる。
 要員のもつ能力には、専門知識や開発スキルなどの技術的側面や、精神力や人間関係への対応力などの人間的側面がある。プロジェクトの遂行中は、ともすれば技術的側面を重視しがちである。しかし、人間的側面に起因した問題(以下、人間的側面の問題という)を軽視すると、次のようなプロジェクト目標の達成を阻害するリスクを誘発することがある。
 ・意欲の低下による成果物の品質の低下
 ・健康を損なうことによる進捗の遅延
 ・要員間の対立がもたらす作業効率の低下によるコストの増加
 PMはプロジェクトの遂行中に人間的側面の問題の発生を察知した場合、その問題によって誘発される、プロジェクト目標の達成を阻害するリスクを想定し、人間的側面の問題に対して原因を取り除いたり、影響を軽減したりするなどして、適切な対策をとる必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標、及びプロジェクトのチーム編成とその特徴について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの遂行中に察知した人間的側面の問題と、その問題によって誘発されると想定したプロジェクト目標の達成を阻害するリスク、及び人間的側面の問題への対策について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対策の評価、認識した課題、今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H22:2010

【PM-H22-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトのリスク対応計画について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、システム開発プロジェクトのリスクを早期に把握し、適切に対応することによってプロジェクト目標を達成することが求められる。
 プロジェクトの立上げ時にリスク要因が存在し、プロジェクト目標の達成を阻害するようなリスクが想定される場合、リスクを分析し、対策を検討することが必要となる。
 プロジェクトの立上げ時に存在するリスク要因と想定されるリスクとしては、例えば、次のようなものがある。
 ・採用した新技術が十分に成熟していないことによる品質の低下
 ・未経験の開発方法論を採用したことによるコストの増加
 ・利用部門の参加が決まっていないことによるスケジュールの遅延
 PMは想定されるリスクについては定性的リスク分析や定量的リスク分析などを実施し、リスクを現実化させないための予防処置や、万一現実化してもその影響を最小限にとどめるための対策などのリスク対応計画を策定し、リスクを管理することが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴とプロジェクト目標について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの立上げ時に存在したリスク要因とプロジェクト目標の達成を阻害するようなリスクは何か。また、リスク分析をどのように行ったか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたリスク分析に基づいて策定した予防処置や現実化したときの対策などのリスク対応計画と、その実施状況及び評価について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H22-1-PM2-Q2】システム開発プロジェクトにおける業務の分担について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの責任者として、システム開発プロジェクトの管理・運営を行い、プロジェクトの目標を達成することが求められる。プロジェクトの管理・運営を効率よく実施するために、PMはプロジェクトの管理・運営に関する承認、判断、指示などの業務をチームリーダなどに分担させることがある。
 この場合、分担させる業務をプロジェクトのルールとして明確にし、プロジェクトのメンバにルールを周知徹底することが重要である。チームリーダなどに分担させる業務として、例えば、次のようなものがある。
 ・変更管理における変更の承認
 ・進捗管理における進捗遅れの判断と対策の指示
 ・調達管理における調達先候補の選定
 ルール化する際にはチームリーダなどの経験や力量に応じて分担させる業務の内容や範囲などを決めたり、分担させた業務についても任せきりにせず、業務の状況について適宜適切な報告を義務付けたりするなどの工夫も必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴とプロジェクト組織の構成について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、チームリーダなどに分担させた業務の内容と分担させた理由、分担のルールとその周知徹底の方法について、工夫を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた業務の分担に対する評価、認識した課題、今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H22-1-PM2-Q3】システム開発プロジェクトにおける進捗管理について

 プロジェクトマネージャには、プロジェクトのスケジュールを策定し、これを遵守することが求められる。クリティカルパス上のアクティビティなど、その遅れがプロジェクト全体の進捗に影響を与えるアクティビティを特定し、重点的に管理することが必要となる。
 このようなアクティビティの進捗管理に当たっては、進捗遅れの兆候を早期に把握し、品質を確保した上で、完了日を守るための対策が求められる。例えば、技術的なリスク要因が存在するアクティビティに対してスキルの高い要員を配置したり、完了日までの間にチェックポイントを細かく設定して進捗を確認したりする。また、成果物の完成状況や品質、問題の発生や解決の状況などを定期的に確認することによって、進捗遅れにつながる兆候を把握し、進捗遅れが現実に起きないような予防処置を講じたりする。
 こうした対策にもかかわらず進捗が遅れた場合には、原因と影響を分析した上で遅れを回復するための対策を実施する。例えば、進捗遅れが技術的な問題に起因する場合には、問題を解決し、遅れを回復するために必要な技術者を追加投入する。また、仕様確定の遅れに起因する場合には、利用部門の責任者と作業方法の見直しを検討したり、レビューチームを編成したりする。進捗遅れの影響や対策の有効性についてはできるだけ定量的に分析し、進捗遅れを確実に回復させることができる対策を立てなければならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴と、プロジェクトにおいて重点的に管理したアクティビティとその理由、及び進捗管理の方法を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたアクティビティの進捗管理に当たり、進捗遅れの兆候を早期に把握し、品質を確保した上で、アクティビティの完了日を守るための対策について、工夫を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対策にもかかわらず進捗が遅れた際の原因と影響の分析、追加で実施した対策と結果について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H21:2009

【PM-H21-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける動機付けについて

 システム開発プロジェクトの目標を確実に達成するためには、メンバのスキルや経験などの力量に応じた動機付けによって、メンバの一人一人がプロジェクトに積極的に参加し、高い生産性を発揮することが大切である。
 プロジェクトマネージャ(PM)は、プロジェクトの立上げ時にプロジェクトの目標をメンバ全員と共有した後、適宜、面談などの方法を通じてプロジェクトにおけるメンバ一人一人の役割や目標を相互に確認し、プロジェクトの目標との関係を明確にする。この過程で、メンバはプロジェクトの目標の達成に自分がどのようにかかわり、貢献するのか、その役割や目標を納得し、動機付けられる。
 プロジェクト遂行中は、メンバの貢献の状況を見ながら、立上げ時にメンバに対して行った動機付けの内容を維持・強化する。PMには、例えば、次のような観点に基づく行動が必要となる。
 ・責任感の観点から、メンバの判断で進められる作業の範囲を拡大する。
 ・一体感の観点から、プロジェクト全体の情報を共有させる。
 ・達成感の観点から、自分が担当する作業のマイルストーンを設定させる。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標と特徴、メンバの構成について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの立上げ時に、メンバに対して行った動機付けの内容と方法はどのようなものであったか。メンバの力量や動機付けしたときの反応などを含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 立上げ時にメンバに対して行った動機付けの内容をプロジェクト遂行中にどのような観点で維持・強化したか。観点とその観点に基づく行動及びその結果について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H21-1-PM2-Q2】設計工程における品質目標達成のための施策と活動について

 プロジェクトマネージャ(PM)には、プロジェクトの立上げ時に、信頼性、操作性などに関するシステムの品質目標が与えられる。PMは、品質目標を達成するために、品質を作り込む施策と品質を確認する活動を計画する。
 PMは、設計工程では、計画した品質を作り込む施策が確実に実施されるように管理するとともに、品質目標の達成に影響を及ぼすような問題点を、品質を確認する活動によって早期に察知し、必要に応じて品質を作り込む施策を改善していくことが重要である。
 例えば、サービスが中断すると多額の損失が発生するようなシステムでは、サービス中断時間の許容値などの品質目標が与えられる。設計工程で品質を作り込む施策として、過去の類似システムや障害事例を参考にして、設計手順や考慮すべきポイントなどを含む設計標準を定める。品質を確認する活動として、プロジェクトメンバ以外の専門家も加えた設計レビューなどを計画する。品質を確認する活動の結果、サービス中断時間が許容値を超えるケースがあるという問題点を察知した場合、その原因を特定し、設計手順の不備や考慮すべきポイントの漏れがあったときには、設計標準を見直すなどの改善措置をとる。それに従って設計を修正し、品質目標の達成に努める。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、システムの主要な品質目標と品質目標が与えられた背景について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて計画した、設計工程で品質を作り込む施策と品質を確認する活動はどのようなものであったか。活動の結果として察知した問題点とともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた問題点に対し、特定した原因と品質を作り込む施策の改善内容について、改善の成果及び残された課題とともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

【PM-H21-1-PM2-Q3】業務パッケージを採用した情報システム開発プロジェクトについて

 近年の情報システム開発では、業務プロセスの改善、開発期間の短縮、保守性の向上などを目的として、会計システムや販売システムなどの業務用ソフトウェアパッケージ(以下、業務パッケージという)を採用することが多くなっている。このような情報システム開発では、上記の目的を達成するためには、できるだけ業務パッケージの標準機能を適用する。その上で、標準機能では満たせない機能を実現するための独自の“外付けプログラム”の開発は必要最小限に抑えることが重要である。
 プロジェクトマネージャ(PM)は、例えば、次のような方針について利用部門の合意を得た上でプロジェクトを遂行しなければならない。
 ・業務パッケージの標準機能を最大限適用する。
 ・業務パッケージの標準機能では満たせない機能を実現する場合でも、外付けプログラムの開発は必要最小限に抑える。
 外付けプログラムの開発が必要な場合には、PMは、開発が必要な理由を明確にし、開発がプロジェクトに与える影響を慎重に検討する。その上で、開発の優先順位に基づいて開発範囲を見直したり、バージョンアップの容易さなどの保守性を考慮した開発方法を選択したりするなどの工夫をしなければならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの特徴を、採用した業務パッケージとその採用目的とともに、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた情報システム開発プロジェクトの遂行に当たり、外付けプログラムの開発が必要となった理由、開発を必要最小限に抑えるために利用部門と合意した内容、合意に至った経緯、及び開発した外付けプログラムの概要を、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた外付けプログラムの開発に当たり、業務パッケージ採用の目的を達成するためにどのような工夫をしたか。その成果、及び今後の改善点を含め、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

📗H20:2008

【PM-H20-1-PM2-Q1】情報システム開発プロジェクトにおける利用部門の参加について

 プロジェクトマネージャは、情報システム開発のプロジェクト立上げ時に、業務仕様の確定、総合テストの準備などに関して、システムの利用部門の作業を明確にし、利用部門の合意を得る。
 プロジェクト遂行中には、利用部門の作業が計画どおりに実行されないことによって、問題が発生することもある。このような場合、プロジェクトマネージャは問題の原因を分析し、分析結果に基づいて、問題を解決するための対策を検討しなければならない。例えば、次のような問題、原因及び対策が考えられる。
 ・業務仕様の確定が遅れるという問題が発生し、その原因が利用部門の要員の業務多忙にあれば、利用部門に対して、その要員を業務仕様の確定のための作業に専念させるように要求する。
 ・総合テストの進捗が遅れるという問題が発生し、その原因がテストデータの不備にあれば、利用部門にテストの目的と方法を再度説明した上で、協力してテストデータの不備を改善する。
 プロジェクトマネージャは、複数の対策を検討し、その中から幾つかを選択したり、組み合わせたりして、プロジェクトの納期や予算などを守るために適切な対策を実施し、問題を解決しなければならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、合意を得られたシステムの利用部門の作業について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた利用部門の作業が計画どおりに実行されなかったことによって発生した問題とその原因、及び実施した対策は何か。その対策がプロジェクトの納期や予算などを守るために適切な対策であると考えた理由とともに、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対策について、あなたはどのように評価しているか。今後改善したい点とともに簡潔に述べよ。

【PM-H20-1-PM2-Q2】情報システム開発における問題解決について

 プロジェクトマネージャには、プロジェクトの目標を確実に達成するために、問題を早期に把握し、適切に対応することが求められる。問題が悪化し、窮地に追い込まれてから対応するのではなく、問題の兆候を察知して、大きな問題になる前に対処することが肝要である。
 プロジェクトマネージャは、プロジェクト遂行中、現場で起きた問題に直面したり、定期的な報告を処理したりすることで、様々な問題を把握している。中には、問題の兆候を察知したが、当面は状況の推移を見守る場合もある。しかし、兆候への対応が遅れると品質、納期、費用に影響するような大きな問題になる場合もあり、その見極めが重要である。
 例えば、次のように、問題の兆候への対処を誤ると大きな問題になる場合がある。
 ・メンバの不平や不満への対処を誤ると、品質や費用に影響を与える。
 ・会議への出席率の低さへの対処を誤ると、進捗や費用に影響を与える。
 プロジェクトマネージャは、問題の兆候を察知したときには、まず、兆候の詳細や出現の背景を迅速に調査する。その結果、静観できないと判断した場合、その対応策を検討し、大きな問題にならないように対処することが必要となる。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、プロジェクト遂行中に察知した問題の兆候について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた兆候の詳細や出現の背景について何をどのように調査したか。また、兆候を静観した場合に、どのような大きな問題になると想定したか。その根拠及び実施した対応策は何か。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H20-1-PM2-Q3】情報システム開発プロジェクトの完了時の評価について

 情報システム開発プロジェクトの完了時には、計画と実績について分析して評価し、プロジェクト報告書などとして文書化する。その際、プロジェクトマネージャは、採用した取組の実施結果を評価する。評価の対象となる取組には、例えば、次のようなものがある。
 ・新しいソフトウェアやツール類の活用
 ・新たなシステム導入手法の採用
 ・オフショアリソースの活用
 評価を行うためには、取組を採用した目的を踏まえて、プロジェクトの計画時に適切な評価項目を定め、評価に必要なデータを収集する仕組みを準備する。そして、プロジェクトの完了時には、収集したデータや管理資料を整理し、取組の実施結果を評価する。評価の視点には、例えば、体制、WBS、プロジェクト運営ルールがあり、評価項目には、例えば、生産性、品質がある。これらの評価の視点と評価項目を用いて、作業工数、不具合の発生件数などのデータを分析することで、それぞれの取組の実施結果を総合的に評価し、成功要因や改善点を洗い出す。
 さらに、プロジェクト運営のチェックリストを作成したり、工数積算の指標を作成したりするなど、マネジメント上のノウハウを組織内で共有し、今後のプロジェクトに役立てる工夫も必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、プロジェクトで採用した取組について、採用した目的とともに、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた取組の実施結果を評価するためにあなたが設定した評価の視点や評価項目と、評価を行うために収集したデータは何か。評価方法、評価結果とともに具体的に述べよ。また、評価から得られたマネジメント上のノウハウを今後のプロジェクトに役立てるための工夫について、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H19:2007

【PM-H19-1-PM2-Q1】情報システム開発プロジェクトにおける交渉による問題解決について

 プロジェクトマネージャには、プロジェクトの目標を確実に達成するため、プロジェクトが直面する様々な問題を早期に把握し、適切に対応することが求められる。中でも、利用部門や協力会社などのプロジェクト関係者(以下、関係者という)にかかわる問題は、解決に利害が対立することもあり、プロジェクトマネージャは交渉を通じて問題解決を図ることが必要となる。
 プロジェクト遂行中に関係者との交渉による問題解決が必要な場合として、“開発範囲の認識が異なる”、“プロジェクト要員の交代を求められた”、“リスクが顕在化して運用開始日が守れなくなった”などがある。
 プロジェクトにおける問題解決のために、プロジェクトマネージャは関係者と状況の認識を合わせた後、問題の本質を理解し、解決策としての選択肢の立案、優先順位の決定などを行う。続いて、これらを整理して関係者に提示するが、関係者の考え方や立場の違いなどによって、調整や合意のために交渉が必要になる。この場合、一方の主張が全面的に取り入れられて合意に至ることは少なく、説得や譲歩などを通じて、双方に納得が得られるように交渉し、問題を解決することが肝要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、関係者との交渉が必要になった問題とその背景について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題を解決するための手順について具体的に述べよ。また、交渉時の双方の主張、説得した内容、譲歩した内容、合意に至った解決策を具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた手順と解決策について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H19-1-PM2-Q2】情報システムの本稼働開始について

 プロジェクトマネージャは、システムの品質確保の状況、利用者への教育実施の状況、データ移行の状況などを情報システム開発の委託元に報告して本稼働開始の判断を仰ぐ。その際、プロジェクトマネージャは、プロジェクト成果物の完成見通しだけでなく、システムの利用部門や運用部門などにおける準備の状況も勘案して、本稼働開始の可否について判断を仰ぐための材料を用意する。
 実際には、システムの品質やデータの移行などに課題が残り、本稼働予定日までに解決できないことも少なくない。このような場合でも、業務の都合などで本稼働を延期することが難しい状況にあるときは、必要な対応策を実施して、本稼働に踏み切ることがある。プロジェクトマネージャは、課題を残して本稼働を開始した場合の影響範囲を調査し、課題解決までの日程、影響を受ける部門・利用者・業務などを明確にする。その上で、例えば、次のような対応策を検討する。
 ・一部の要件が実現できていない機能の代替策と運用手順を提供する。
 ・利用者への教育が不十分な部門を支援するためのヘルプデスクを設置する。
 ・システムの運用部門が機能するまでの暫定的なシステム運用支援チームを設置する。
 ・データの移行が完了するまでの当面の対応ルールを利用部門や業務単位に設定する。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、あなたが情報システム開発の委託元に本稼働開始の可否について判断を仰ぐために用意した材料について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた情報システムの本稼働開始に当たり、本稼働までに解決できないと認識した課題はどのようなことか。また、課題を残して本稼働を開始した場合の影響範囲を調査した上で、どのような対応策を検討したか。工夫した点を中心に、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた対応策について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H19-1-PM2-Q3】情報システム開発における品質を確保するための活動計画について

 利用者が満足する情報システムを構築するために、情報システム開発プロジェクトでは、システムの品質を確保することが重要である。
 プロジェクトマネージャには、プロジェクトの立上げ時に、信頼性、性能、操作性などのシステムの品質上の目標が与えられる。次に、それらの品質上の目標を達成するために、品質を作り込むためのプロセスと品質を確認するためのプロセスを開発標準として定め、その活動計画を作成する。
 その際、プロジェクトマネージャは、与えられた予算や納期の範囲内で実行可能な計画を作成しなければならない。そのためには、プロジェクトの状況に応じた効果的な計画にすることが重要であり、例えば、次のようなことについて工夫する必要がある。
 ・品質上の目標水準に応じて、成果物のレビューやテストの実施・確認の体制を整備することや、実施のタイミング、回数を設定すること
 ・新しい開発技術を採用する場合に、開発メンバがその技術をできるだけ早く習得できるような教育を実施すること
 ・利用部門が総合テストや運用テストに十分に参画することが難しい場合に、システムの操作性を確認するための方法や環境を用意すること
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、与えられた品質上の目標について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた品質上の目標を達成するために、どのような活動計画を作成したか。予算や納期の範囲内で実行可能な計画にするために、プロジェクトの状況に応じて工夫した点とともに、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた計画について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H18:2006

【PM-H18-1-PM2-Q1】情報システム開発におけるプロジェクト内の連帯意識の形成について

 プロジェクトマネージャには、プロジェクト目標の達成に向けてメンバが共通の意識をもち、例えば、プロジェクト内で発生する問題の解決に全員参加の意識で取り組むように、プロジェクト内の連帯意識を形成し、維持・向上することが求められる。
 通常、プロジェクトは異なる部門や会社のメンバで構成されており、メンバの経験や参加意欲などは様々である。そのために、プロジェクト内で発生する問題についての理解や対応が異なり、メンバ間の対立やプロジェクト内の混乱に至ることもある。このような事態を招かないためにも、プロジェクト内の連帯意識を形成し、維持・向上を図ることが重要である。
 連帯意識を形成するためには、目標の共有、参画意識の向上、コミュニケーションの円滑化などの観点からの具体的な活動や仕組み作りが必要となる。これらを通じて、自分の役割や責任と直接には関係がなくても、相手の状況を察知して、自主的に支援するなどの行動をもたらす連帯意識が形成される。また、プロジェクトマネージャは日常の管理を通じ、会議の出席状況を把握したり、開発現場の雰囲気やメンバ間のコミュニケーションを観察したりするなどの方法で連帯意識の状態を確認し、その維持・向上に努めることが肝要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、プロジェクトのメンバ構成の特徴について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、連帯意識を形成するために実施した具体的な活動や仕組み作りはどのようなものか。また、連帯意識の状態をどのような方法で確認したか。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動と仕組み作り及び連帯意識の状態の確認方法について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H18-1-PM2-Q2】情報システム開発におけるプロジェクト予算の超過の防止について

 プロジェクトマネージャには、情報システム開発プロジェクトの立上げ時にプロジェクト予算を作成し、予算の範囲内でプロジェクトを完了することが求められる。
 プロジェクト予算を費用計画に展開し、費用管理の仕組みを通じて、定期的に計画と実績を対比し、最終費用を推定する。計画と実績とのかい離が大きい場合や推定した最終費用が予算を超える場合には、適切な対策を実施して、予算の超過を防止する。しかし、対策が遅れて、プロジェクト予算の超過に至る場合もある。
 プロジェクトマネージャは、このような事態に至る前に、予算の超過につながる兆候を敏感に察知して対処する必要がある。兆候は、会議の席上や開発の現場など、プロジェクトを遂行している日常に見られることが多い。例えば、成果物についての問題点の指摘や関係者の不満などの中に見られる。兆候を見逃すと、システム全体に影響が及び、その対策のために予定外の費用が発生し、予算の超過に至ることがある。
 予算の超過につながる兆候を発見した際は、その影響を的確に判断することが重要である。影響が大きいと判断した場合は、プロジェクトの範囲、品質、納期などの目標を守ることを前提とした対策を実施し、予算の超過を防止することが必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、そのプロジェクトにおける費用管理の仕組みを、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた費用管理の仕組みに反映される前に発見した予算の超過につながる兆候と、そのように判断した理由は何か。また、プロジェクトの目標を守ることを前提として実施した対策は何か。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H18-1-PM2-Q3】業務の開始日を変更できないプロジェクトでの変更要求への対応について

 情報システム開発プロジェクトにおいて、新製品や新サービスにかかわる業務の開始日が決まっており、それに応じて稼働開始時期が決められているシステムを開発することがある。このようなシステム開発において、ビジネス上の方針変更などによって要求機能やシステムの対象範囲に関して影響の大きい変更要求が発生したとき、業務の開始日までにシステムの開発が完了できない場合がある。
 このような場合、プロジェクトマネージャは、まず、業務の開始日に稼働させるシステムとそれ以降に段階的に稼働させるシステムの範囲を決定する。
 次に、プロジェクトマネージャは、新たに必要となるタスクの追加や実行中のタスクの中断又は継続を検討したり、業務の開始日以降に段階的に稼働させるための移行手順を検討したりしなければならない。また、プロジェクト体制の見直しなどの検討も必要である。これらの検討においては、次のような観点を考慮して、タスクの優先度を決めたり、関係者と調整したりすることが重要である。
 ・利用部門が円滑に業務を遂行できること
 ・運用部門に大きな負担がかからないこと
 ・現行システムと並行運用させる場合、システム間の整合性が取られていること
 ・チーム編成を変更する場合、リーダや要員の理解が得られること
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの概要と、業務の開始日を変更できなかった背景及び変更要求の内容を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた変更要求に対して、あなたが検討した内容と、その結果を、あなたが特に重要と考えた観点とともに、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた検討した内容とその結果について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H17:2005

【PM-H17-1-PM2-Q1】プロジェクトにおける重要な関係者とのコミュニケーションについて

 情報システムの開発を円滑に進めるため、プロジェクトマネージャには直接の管理下にあるメンバ以外に、プロジェクトの進行に応じてかかわりをもつプロジェクト関係者との十分なコミュニケーションが求められる。
 プロジェクト関係者は、情報システムの利用部門、購買部門、ベンダなどの組織に所属している。これらのうち、例えば、プロジェクトに要員を参加させている部門の責任者、プロジェクト予算の承認者、問題解決を支援する技術部門の責任者などは重要な関係者として認識することが大切である。
 重要な関係者とのコミュニケーションが不足していると、意思決定や支援が実際に必要になったとき、重要な関係者が状況を認識するのに時間がかかり、対応が遅れ、プロジェクトの進捗に影響することがある。このような事態を招かないように、日ごろからプロジェクトの進捗状況や問題点を積極的に説明するなどのコミュニケーションを行い、相互の理解を深めておくことが重要である。その際、プロジェクトへの関心やかかわりは重要な関係者ごとに異なるので、コミュニケーションの内容や方法について、個別の工夫が必要となる。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクト関係者を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクト関係者の中で、重要と考えた関係者とその理由について述べよ。また、重要な関係者とのコミュニケーションの内容や方法について、あなたが個別に工夫した点を含めて具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたコミュニケーションの内容や方法について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H17-1-PM2-Q2】稼働開始時期を満足させるためのスケジュールの作成について

 情報システム開発プロジェクトでは、設計・開発・テストなどの各工程で必要となるタスクを定義し、タスクの実施順序を設定してからスケジュールを作成する。プロジェクトは個々に対象範囲や制約条件が異なるので、システム開発標準や過去の類似プロジェクトなどを参考にして、そのプロジェクト固有のスケジュールを作成する。
 特に、システム全体の稼働開始前に一部のサブシステムの稼働開始時期が決められている場合や、利用部門から開発期間の短縮を要求されている場合などは、プロジェクト全体のスケジュールの作成に様々な調整が必要となる。このような場合、システム開発標準で定められたタスクや、類似プロジェクトで実績のあるタスクとそれらの実施順序を参考にしながら、タスクの内容や構成、タスクの実施順序を調整して、スケジュールを作成しなければならない。
 その際、全体レビューや利用部門の承認などのように、日程を変更できないイベントやタスクに着目するとともに、次のような観点でスケジュールを作成することが重要である。
 ・タスクを並行させて実施することが可能な場合には、タスク間の整合性をとるための新しいタスクを定義する。
 ・長期間かかるタスクの場合は、サブタスクに分割し、並行させて実施したり、実施順序を調整したりする。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、稼働開始時期が決定された背景を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトで、日程を変更できないイベントやタスクには何があったかについて述べよ。その上で、稼働開始時期を満足させるための調整をどのように行ったか。あなたがスケジュールを作成する上で、特に重要と考え工夫した点を中心に、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたスケジュール作成について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのように改善したいと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H17-1-PM2-Q3】プロジェクト遂行中のチームの再編成について

 情報システム開発プロジェクトの遂行中に、進捗の遅れ、成果物の品質不良や要員間のトラブルなどの問題が発生することがある。これらの問題は、要員スキルの見込み違い、予測していなかった作業の発生、プロジェクト内のコミュニケーションの不足などが複雑に絡み合って起きることが多い。
 このような場合、プロジェクトマネージャは、問題の原因を分析し、その結果を基に、チームを再編成して問題に対処することがある。チームの再編成には、チーム間の要員の配置換え、チームリーダの交代、チーム構成の変更などがある。チームの再編成はプロジェクト遂行に影響を与えるので、慎重に取り組む必要がある。このため、プロジェクトマネージャは、関係するチームリーダや要員に再編成の目的を十分に説明して理解を得ておかなければならない。
 さらに、チームの再編成後には、チームリーダからの報告や要員の作業状況などから問題の改善状況を把握することによって、チームの再編成による効果を確認し、プロジェクトの納期、品質、予算の見通しを得ることが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、チームの再編成によって対処した問題を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題に対処するために、あなたはチームの再編成をどのように行ったか。再編成するのが適切であると考えた理由とともに具体的に述べよ。また、チームの再編成による効果をどのように確認したかを、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたチームの再編成について、あなたはどのように評価しているか。今後改善したい点とともに簡潔に述べよ。

📗H16:2004

【PM-H16-1-PM2-Q1】プロジェクトの機密管理について

 プロジェクトマネージャには、情報システムを開発する際に利用したり、作成したりする機密情報の外部への漏えい防止が求められる。機密情報が漏えいした場合、経済的な損害はもとより、社会的な影響も予想されるので、機密管理のルールを定めて運用し、漏えいを防止する必要がある。
 具体的には、まず、機密として管理すべき情報を明確にし、機密度(漏えいの影響レベルなど)を決定する。次に、機密度に応じて、アクセスコントロール、作業管理、文書管理などの諸ルールを定め、教育などを通じてプロジェクト関係者全員の機密管理意識を高め、ルールを周知徹底する。プロジェクト実行時は、ルールに従って運用されているか、ルール逸脱や漏えいが発生していないかを定期的に確認するなどの日常管理を徹底する。
 また、機密情報が漏えいした場合を想定し、損害を最小限に抑えたり、機密情報の利用を困難にしたりするなど、漏えい時の影響を少なくする対策も重要である。例えば、機密情報は可能な限り分割して管理する、機密情報を二重のパスワードで保護するなどである。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要と、その中で機密として管理した情報を、理由や機密度とともに800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおける機密管理のルール、及びルールに従って運用するための日常管理について、あなたが特に工夫した点を中心に、具体的に述べよ。また、漏えい時の影響を少なくする対策は何か。簡潔に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べたルール及び日常管理について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H16-1-PM2-Q2】オフショア開発で発生する問題について

 近年の情報システム開発では、開発期間の短縮や費用の低減などの目的で、システム開発の一部を海外のソフトウェア会社に委託して、現地で実施する形態(以下、オフショア開発という)が増えている。
 プロジェクトマネージャは、国内のソフトウェア会社に初めて委託する場合、その会社の保有技術や実績を確認したり、仕事の実施状況を社内の委託経験者に確認したりする。オフショア開発では、これらの確認に加えて、言語、文化、風習やビジネス慣習などの違いを把握し、それらによって発生する問題を明らかにする必要がある。そのためには、例えば、言語の違いについては、翻訳した仕様書で業務仕様が伝わるかを調査したり、文化、風習やビジネス慣習の違いについては、委託先のリーダや関係者へのヒアリングによって、仕事の進め方を調査したりする。
 次に、プロジェクトマネージャは、調査結果を分析して、翻訳した仕様書だけでは業務仕様を伝えきれない、仕事の手順や成果物の種類が想定していたものと異なるなどの問題を明確にする。
 さらに、それらの問題に関して、適切な対策を実施することが重要である。例えば、業務仕様を文章だけではなく図表や数式を多く用いて表現したり、仕事の手順や成果物の種類に関する相互の確認・合意をとったりする。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったオフショア開発のプロジェクトの概要と、そこで発生する問題を明らかにするために調査したことを、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた調査の結果を分析して明確になった問題は何か。また、その問題に関して実施した対策は何か。あなたが重要と考えた問題を中心に、それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H16-1-PM2-Q3】請負契約における品質の確認について

 情報システム開発において、業務知識や開発実績のある会社に業務アプリケーションの開発を請負契約で発注することがある。請負契約では、作業の管理を発注先が行うので、発注元が発注先の作業状況を直接管理することはない。しかし、発注元が期待どおりの品質の成果物を発注先から得るためには、発注先との契約の中で、請負契約作業の期間中に品質を確認する機会を設けることが重要である。
 そのためには、プロジェクトマネージャは、業務アプリケーションの特性、システム要件などを考慮して、品質面での確認事項を設定し、確認時期、中間成果物、確認方法に関して発注先と合意し、取り決めることが肝要である。例えば、設計工程から発注する場合、業務特有の複雑な処理が正しく設計されているか確認するために、次のようなことを取り決める。
 ・設計工程の重要な局面で、双方の中核メンバが参加して設計書のレビューを実施する。
 ・テスト工程の着手前に、チェックリストのレビューを実施する。
 そして、プロジェクトマネージャは、期待どおりの品質かどうかを確認する機会において、発注先と相互に確認し合うことが肝要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった請負契約型のプロジェクトの概要と、業務アプリケーションの開発で発注した工程の範囲について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた業務アプリケーションの開発において、期待どおりの品質の成果物を発注先から得るために、請負契約作業の期間中に、あなたは品質に関してどのような確認を行ったか。あなたが特に重視し、工夫した点を中心に、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動について、あなたはどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H15:2003

【PM-H15-1-PM2-Q1】社外からのチームリーダの採用について

 プロジェクトマネージャは、情報システム開発のプロジェクトを複数のチームで編成する場合、各チームにリーダを任命する。しかし、社内で適切なリーダを確保できないとき、子会社や関連会社などをはじめ、社外からの採用を検討することがある。その際、経歴や評判だけでリーダを採用すると、力量不足によってプロジェクト運営に支障を来すこともあるので、採用前に力量を慎重に確認することが重要となる。
 リーダの採用に際しては、最初に、知識・経験・技能などについて、当該チームのリーダに求められる具体的条件を決定する。例えば、技術・管理・業務などの知識、リーダとしての経験内容、リーダシップ・コミュニケーション能力・問題解決能力などの技能である。また、条件の決定に当たっては、経験の浅いメンバが多い、チームワークが苦手なメンバが含まれているなどのチームの事情を考慮することも忘れてはならない。
 条件の決定後、候補者を選出し、書類や面接などによる選考を行う。その際、業務遂行能力や必要な条件を満たしているかどうかを確認し、力量を判断することが重要となる。確認方法としては、提出書類や面接方法を工夫する、短時間の討議を行う、以前担当したプロジェクト関係者に直接意見を聞くなどがある。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、社外からリーダを採用したチームの役割及び社外からの採用を検討した理由を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたリーダの採用について、そのリーダに求められた具体的な条件とその理由は何か。また、業務遂行能力や必要な条件を満たしているかどうかをどのように確認したか。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後のどのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H15-1-PM2-Q2】開発支援ソフトウェアの効果的な使用について

 高い生産性で、高品質なアプリケーションを構築するたに、コンポーネント指向の開発環境や言語、CASEツールなど、豊富な機能をもった開発支援ソフトウェアが提供されている。プロジェクトマネージャは、情報システム開発の条件として、特定の開発支援ソフトウェアの使用を指定され、ほとんどの要員が使用経験がない状態でプロジェクトを立ち上げることがある。このような場合、プロジェクトを運営しながら要員を育成して、習熟度や生産性を早期に高めることが必要となる。
 開発支援ソフトウェアを効果的に使用するためには、プロジェクト立上げ時に、教員・訓練、作業方法、仕組みなどについて、例えば、次のような工夫を検討しておくことが重要である。
 ・キーパーソンへの教育とキーパーソンによる訓練の実施
 ・作業標準の制定や一部のアプリケーションの先行開発
 ・外部の事例やプロジェクト内のノウハウを利用し、共有する仕組みの整備
 また、プロジェクト遂行の中で、要員ごとの習熟度や生産性などの変化を監視し、必要に応じて教育・訓練、作業方法、仕組みなどの見直しを行うことも重要である。例えば、再訓練を実施したり、使用機能を変更したり、蓄積したノウハウを利用しやすくしたりする。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、開発支援ソフトウェアの概要及び特徴を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた開発支援ソフトウェアを効果的に使用するために、プロジェクト立上げ時にどのような工夫をしたか。また、プロジェクト遂行の中でどのような見直しを行ったか。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H15-1-PM2-Q3】プロジェクト全体に波及する問題の早期発見について

 情報システム開発のプロジェクトでは、顧客側の業務担当者の参加が約束されていなかったり、一部の要員の力量が不足していたり、一部の要員がほかのプロジェクトを兼任しスケジュール調整が難しかったりするなど、部分的に問題を抱えたままプロジェクトマネージャの判断でプロジェクトを立ち上げる場合がある。
 プロジェクトの遂行時には、これらの問題の解決が遅れたり、不十分であったりすることがある。その結果、例えば、要件定義が確定しなかったり、設計品質が低下したり、進捗が遅れたりするなどのプロジェクト全体に波及する問題になることがある。
 プロジェクトマネージャは、プロジェクトの立上げ時に抱えていた問題から波及するおそれがあるプロジェクト全体の問題を事前に想定し、その兆候を早期に発見することが必要である。そのためには、プロジェクトの立上げ時に抱えていた問題に応じて、例えば、次のような項目の傾向を分析することが重要である。
 ・要件に対する質問への回答の遅れ日数
 ・要件定義の変更回数
 ・設計レビューの指摘件数
 ・兼任している要員の作業負荷
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクトの立上げ時に抱えていた問題について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた問題が解決できない状況において、プロジェクト全体に波及するどのような問題が発生すると想定したかを述べよ。また、どのようにしてその発生の兆候を早期に発見したか、分析した項目とともに、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H14:2002

【PM-H14-1-PM2-Q1】クリティカルパス上の工程における進捗管理について

 プロジェクトマネージャは、プロジェクト計画の作成において、作業の実施順序を決め、資源の割当てを行い、実行可能なスケジュールを作成する。そして、スケジュール上のクリティカルパスを明確にする。
 クリティカルパス上にある工程は、その進捗の遅れがプロジェクト全体の進捗に影響する。特に、作業者の増員などの単純な対策では遅れが回復できないような工程は、重点的に管理する必要がある。このような工程には、問題の兆候を早期に発見するための手続を組み込み、進捗の遅れが発生する前に対策を行うことが肝要である。
 問題の兆候を早期に発見するためには、成果物の作成状況や未解決案件を報告させる、定期的に成果物を提出させ報告の内容と照らし合わせるなどの手続を組み込む。そして、例えば、設計工程において未解決案件や仕様変更などが増えていないか、チームリーダが担当者の進捗報告を鵜呑みにしていないかなどの観点で、問題の兆候の発見に努め、進捗に悪影響を及ぼす状況があれば必要な処置を取る。
 一方、進捗の遅れが顕在化した場合は、原因分析を行い、対策を実施する。例えば、一部の担当者に負荷が集中しているなどの原因で進捗の遅れが発生していれば、作業量の調整や作業の実施順序の変更などを行い、遅れの拡大防止や早期回復を図り、計画時に考慮した許容範囲内で、クリティカルパス上の工程の進捗を守るように努める。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、クリティカルパス上で重点的に進捗を管理した工程及びその理由を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 あなたが重点的に進捗を管理した工程において、問題の兆候を早期に発見するためにどのような手続を組み込んだか。そして、問題の兆候に対してどのような処置を取り、進捗の遅れに対してどのような原因分析と対策を実施したか、具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H14-1-PM2-Q2】業務仕様の変更を考慮したプロジェクトの運営方法について

 近年、インターネットを用いた新しいビジネスモデルの構築など、未経験領域のアプリケーションが増加している。アプリケーションによっては、プロジェクトの初期の段階で業務仕様をすべて定義しきれなかったり、早期に凍結できなかったりすることがある。
 このような場合、プロジェクトの立上げに際しては、まず、全体の業務仕様のうち、変更の可能性のある部分とそれらの変更の発生時期を、利用者の協力を得て可能な限り予測することが肝要である。そして、業務仕様の変更に柔軟に対応できるようプロジェクトの運営方法に工夫を凝らす必要がある。そのために、例えば、次のような事項を検討する。
 ・プロジェクトの初期の段階から利用者がプロジェクトへ参画する。
 ・短いサイクルで段階的に開発するなど、変更に強い開発プロセスモデルを採用する。
 ・予想される変更の影響を局所化できるように設計を工夫する。
 ・開発期間、費用に余裕を含めたり、見直し時期や調整方法を顧客と取り決めたりしておく。
 プロジェクトの実行に際しては、個々の変更要求に対して、様々な観点から評価する。例えば、利用部門から見た変更の緊急性や効果、変更しないことによる不便さの度合い、開発部門から見た開発期間や費用への影響などを総合的に判断して、採用の可否を決める。また、必要に応じてプロジェクト体制やスケジュールなどを調整する。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクトの立上げの際に変更の可能性があると予測した業務仕様とその理由を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 プロジェクトの立上げに際して、業務仕様の変更に柔軟に対応するためにどのような事項を検討したか。また、プロジェクトの実行に際して、業務仕様の変更に対してどのように対応したか。工夫した点を中心に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H14-1-PM2-Q3】問題発生プロジェクトへの新たな参画について

 成果物の機能不備や品質不良などによって進捗が遅れているプロジェクトに、プロジェクトマネージャとして新たに参画し、問題を早期に解決する使命を与えられる場合がある。このようなプロジェクトでは、進捗管理や成果物レビューが不十分であったり、要員の士気が低下していたり、顧客との信頼関係が悪化していたりするなどのプロジェクト管理上の問題点が見られることが多い。
 新たに参画したプロジェクトマネージャは、そのプロジェクトの過去の管理方法などにとらわれることなく、新たな観点で問題点の調査や原因の分析などを行うことが重要である。まず、プロジェクトや構築する情報システムの特徴を理解した上で、プロジェクト管理上の問題点を調査する。そのためには、例えば、次のような項目を自ら検証する。
 ・プロジェクトの進捗管理や成果物の品質管理などの実施方法・実施状況
 ・成果物の作成状況やレビュー結果の反映状況
 ・プロジェクト体制や要員配置の状況
 次に、調査結果を基に、プロジェクト管理上の問題点の原因を分析する。この分析は、これまでのプロジェクトの管理に欠落及び不足していると思われる事項を重点的に行う。そして、対策を検討して実施する。例えば、レビューの管理や実施体制に原因があれば、管理帳票や記録帳票などを改訂したり、実施体制を変更したりする。このようにして、これまでの問題点を是正し、成果物の機能不備や品質不良などを早期に解決することが重要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが新たに参画した問題発生プロジェクトの概要と、参画した時点での成果物の機能不備や品質不良などの状況を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 あなたは、プロジェクト管理上の問題点をどのように調査し、その原因をどのように分析したか。また、その結果、明確になった原因と実施した対策は何か。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H13:2001

【PM-H13-1-PM2-Q1】新たな協力会社の選定について

 システム開発では、自社又は既存の協力会社の要員が不足したり、開発に専門的な技術や業務ノウハウを必要としたりする場合、作業を新たな協力会社に委託することが検討される。
 新たな協力会社を選定し、請負契約をする際には、候補となる会社の経営方針、技術力などについて事前調査を行った後、数社に対して、提案依頼書(RFP)を発行する。提案書の受領後は、あらかじめ定めた評価基準に基づいて事前調査内容と提案内容を評価し、更にその評価結果を検証して、最終的に協力会社を決定する。
 選定時には、例えば、妥当性、充足性、健全性などの評価基準に基づいて内容を評価する。妥当性については見積業務量、見積金額など、充足性については技術水準、業務知識の水準など、健全性については財務状況などの評価基準が挙げられる。
 次に、評価結果を検証することが必要である。すなわち、評価結果が十分であっても、協力会社にその内容を実現する能力が備わっていないと、後で品質面や納期面でプロジェクトに支障を来すことが懸念されるからである。例えば、協力会社の実績を検証するには、ユーザを実際に訪問し、協力会社の仕事の実施状況やトラブル時の対応などについて直接ユーザの声を聞いて確認することが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、その中で新たな協力会社に請負契約形態で依頼した内容を、理由とともに800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた新たな協力会社の選定時に定めた評価基準と評価内容及び協力会社を決定した理由は何か。また、評価結果をどのように検証したか。それぞれ具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H13-1-PM2-Q2】要員交代について

 システム開発プロジェクトの途中で、特定の要員が体調不良や能力不足などによって交代を余儀なくされることがある。そのような場合、プロジェクトマネージャは、まずプロジェクトの問題を正確に把握し、問題に応じて適切な対応策を検討、実施する必要がある。
 問題の把握に当たっては、工程や品質などのプロジェクト状況について、計画とその時点での差異を明確にするとともに、既存の体制のままで推進した場合に、将来、プロジェクトへどのような影響を与えるかを予測することも大切である。さらに、同じことを繰り返さないためには、必ずしも当人に起因するとはいえないプロジェクト運営上の問題、例えば、度重なる業務仕様の変更や、無理なスケジュールによる過負荷などの要因がなかったかどうかを見直すことも重要である。
 対応策の検討に当たっては、新規要員を確保する方法以外に、ほかの要員による一時的な兼務や応援などの対応策も併せて検討すべきである。その際、それらの対応策がもたらす新たなリスク、例えば、新規要員の立ち上がりに予想以上の時間がかかる、兼務者の作業が過負荷になるなどへの対応も忘れてはならない。
 これらの検討結果を総合的に判断して、プロジェクトの問題を解決するために最も有効な対応策を選択し、迅速に実施する必要がある。
 なお、要員交代直後は、プロジェクトの進捗状況や対応策を検討した時点で予測した新たなリスクなどを注意して観察し、状況に応じて臨機応変に対処しなければならない。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、交代となった要員の担当作業を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 要員交代を余儀なくされた際に把握したプロジェクトの問題は何か。それらの問題を解決するために、どのような対応策を検討したか。また、要員の交代をどのように行ったか。プロジェクトマネージャとして工夫した点を中心に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H13-1-PM2-Q3】テスト段階における品質管理について

 システム開発のテスト段階では、開発したシステムが十分な品質を確保しているかどうかを判断するために、確認すべき項目とそれらの判断基準を定め、品質の測定を行う。測定の結果、不良が多い、不良の累積グラフが収束傾向を示さないなど、判定基準を満たさないことがある。このような場合、プロジェクトマネージャは、その原因を分析し、分析結果に基づく対策を実施して、稼働開始日までに品質を確保する必要がある。
 原因分析では、不良が作り込まれた処理や工程を究明するために、パレート分析や特性要因図などの手法が有効である。そして、期間・コスト・資源などが限られたテスト段階では、作り込まれた不良を効率的に除去する必要がある。例えば、原因分析の結果から、特定の処理に不良が多いという傾向が判明すれば、同じような処理を行っているプログラムを机上で点検したり、集中的にテストしたりする。また、テスト方法を変更する、体制を見直すなど、状況に応じた対策も重要である。
 さらに、原因を掘り下げ、再発防止策を検討することが求められる。上記のような場合、特定の処理に不良が作り込まれた原因や、テスト段階前に摘出できなかった理由などを分析し、今後のシステム開発に生かすようにすることが重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、テスト段階で確認した項目及びそれらの判定基準を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 テスト段階において品質を確保するために、測定結果が判定基準を満たさなかった原因をどのように分析し、その結果に基づいてどのような対策を実施したか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような再発防止策を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H12:2000

【PM-H12-1-PM2-Q1】開発規模の見積りにかかわるリスクについて

 ソフトウェアの開発規模は、プロジェクトの開発費用や開発期間を算定する基礎となる。開発規模を過小に見積もったために、プロジェクトの実施段階において、開発費用やスケジュール上の問題が発生することが少なくない。プロジェクトマネージャは、見積りに伴うリスクを想定し、そのリスクを軽減及び管理する必要がある。
 リスクを軽減するためには、仕様のあいまいな部分の確認や詳細化による明確化、見積事例データベースを利用した類似事例との比較など、より正確に見積もるための努力が不可欠である。また、高いリスクが予想される場合には、開発フェーズごとの分割契約やインクリメンタル(段階的)開発などの施策が効果的である。
 リスクの管理においては、プロジェクトの進捗状況に応じて、プロジェクトに重大な影響を与えるような見積りの前提条件の変化や当初の見積値との差を常に追跡し、必要によって仕様や開発スケジュールを見直すなど適切な対応が求められる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、開発規模の見積りに関して想定したリスクを、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたリスクを軽減し、また、そのリスクを管理するために実施した施策を、工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 あなたが実施した施策の効果をどのように評価しているか。また、今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H12-1-PM2-Q2】チームリーダの養成について

 システム開発プロジェクトは、通常、複数のチームから編成され、チームリーダの働きがプロジェクトの成否を左右する。
 しかし、技術、管理、人間的資質のすべての面で優れたチームリーダを確保することは一般には困難で、技術は強いが管理の経験が浅いメンバをチームリーダに任命せざるを得ないことが少なくない。そうした場合には、プロジェクトマネージャは、日々のプロジェクト運営の中で、そのチームリーダを計画的、意図的に指導することが重要である。
 そのためには、チームの役割やチームリーダの実績などを見極め、重点的に伸ばすべき能力やその方法をチームリーダと共通に認識することが大切である。また、実際の業務を遂行していく中では、状況の把握方法、問題解決方法、報告の仕方などの具体的指導が必要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、チームリーダの養成を図ろうとしたチームの特徴を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたチームにおいて、特に伸ばそうとしたチームリーダとしての能力は何か。また、その能力の養成に関して、どのような施策を実施したか。実務を通じて工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 あなたが実施したチームリーダ養成策をどのように評価しているか。また、今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H12-1-PM2-Q3】開発システムの本稼働移行について

 システム開発プロジェクトでは、システムテストや運用テストの段階で、一部機能の欠陥やある条件下で性能要件が満たせないなどの問題が発見され、本稼働予定日までにすべての問題を解決することが困難であることも少なくない。しかし、このような状況でも、業務の都合などで本稼働の延期が難しく、条件付きでもなんとか運用を開始しなければならないことが多い。
 このような場合、プロジェクトマネージャは問題の状況や影響範囲を分析し、本稼働に踏み切った場合に必要となる一部機能の使用制限や代替手段の提供、十分に検証が終わっていない特殊な条件に対する処理結果の再確認、想定されるトラブルへの対応策などについて、十分な検討を行わなければならない。
 また、これらの施策の検討に当たっては、利用部門及び運用部門との十分な調整も必要となる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、計画された本稼働移行を妨げる問題として何があったかを、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた本稼働移行を妨げる問題に対処するために、どのような施策を、どのように実施したか。工夫した点を中心に、具体的に述べよ。
■設問ウ
 あなたが実施した施策を、本稼働後の状況からどのように評価してるか。また、反省点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H11:1999

【PM-H11-1-PM2-Q1】プロジェクトの費用管理について

 プロジェクトの費用が計画内に収まるようにプロジェクトを運営することは、プロジェクトマネージャの重要な責務の一つである。しかし、ユーザ側との仕様に対する認識の行き違い、技術的なトラブル、外注先への指示ミス、チーム全体としてのスキル不足など、プロジェクト実施過程において開発側に起因する問題によってプロジェクトの費用が計画値を超過してしまうことも少なくない。
 このため、プロジェクトマネージャは、各工程での作業品質の確保、開発生産性の確保など、計画策定時に設定した前提に沿って開発が進むよう、様々な施策を講じなければならない。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクトの特徴を踏まえた費用管理上の留意点について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、費用を計画内に収める上で直面した問題と、その問題に対してどのような施策を実施したか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 あなたが実施した施策をどのように評価しているか。また、今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H11-1-PM2-Q2】アプリケーションプログラムの再利用について

 ソフトウェア開発では、過去に開発したアプリケーションプログラムを再利用できれば、開発期間の短縮や品質の確保などに大きな効果がある。しかし、細部の仕様が合わないなどの要因によって、修正が大量に発生し、プロジェクトの進捗がかえって阻害されることもある。
 したがって、再利用の対象を決めるに当たっては、どのプログラムが、どれくらい再利用できるかの判断に加え、適用システムの性能要件を満足できるかどうかなども検討する必要がある。
 再利用を効果的に行うためには、プロジェクトが属する組織全体で、プログラムの登録制度や再利用のための動機付けなど、再利用を促進するための仕組みを作ることが不可欠である。また、それぞれのプロジェクトでは、次のような工夫も必要である。
 ・再利用対象プログラムの機能が要求仕様に合っているかどうかを確認するためのレビュー
 ・性能要件を確認するための事前検証
 ・修正部分を特定するためのプロトタイピング
 ・プログラムの正規化や設計ドキュメントの整理
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトにおける再利用の概要と、再利用を促進するための組織上の仕組みを、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、再利用に当たって実際に発生した問題と、その対応策及び工夫した点を、具体的に述べよ。
■設問ウ
 あなたが行ったアプリケーションプログラムの再利用をどのように評価しているか。また、今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H11-1-PM2-Q3】設計レビューについて

 設計の品質に問題があると手戻りが発生し、プロジェクトの進捗が遅延するだけでなく、プロジェクトの費用にも影響が及ぶことが多い。
 設計の品質を高めるためには、設計の進め方の工夫や、設計要員の技術水準の確保も重要な要素であるが、設計レビューを的確に行うことも重要である。
 設計上の問題点を見逃さない効果的なレビューを実現するためには、レビューの進め方についての工夫と、実施に当たっての周到な準備が必要となる。設計レビューの実施に当たって、十分な検討が必要な点としては、
 ・性能、拡張性、方式上の実現可能性などの評価項目の設定
 ・それぞれの評価項目に対する評価基準の設定
 ・シミュレータやプロトタイプの活用など評価実施方法
 ・レビューチームの編成や必要な情報の収集などレビューの進め方
 などが挙げられる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった開発プロジェクトの概要と、設計レビューで特に重視した評価項目を、重視した理由とともに、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた評価項目について、どのような評価基準を設定し、どのような設計レビューを行ったか、工夫した点を中心に具体的に述べよ。また、その設計レビューによって発見された設計上の問題点についても述べよ。
■設問ウ
 あなたが実施した設計レビューを、有効性と効率性の観点からどのように評価しているか。また、今後改善したいと考えている点は何か。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H10:1998

【PM-H10-1-PM2-Q1】システムテスト工程の進め方について

 システムテスト工程では、システムが運用可能なレベルにあることを確認するために、システムの機能や性能、操作性などについて総合的なテストが行われる。このテスト工程においては、テスト対象のシステムの品質が予想外に低い、計画したテストの手順・方法がうまく機能しない、テストツールが十分でない、必要なテスト環境が確保できない、などの要因から、計画どおりにテストを進めることが困難になることがある。
 このような問題を乗り越えて、予定期間内に必要なテストを消化するためには、プロジェクトマネージャは、テスト順序の組替え、テスト方法の変更、テスト環境の強化などの施策をタイムリに実施する必要がある。
 また、施策の実施が後手後手にならないようにするには、問題点の早期発見が重要である。これには、システムの品質やテストの進捗状況を正確に把握するためのデータの収集や分析などについての工夫も必要となる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、システムテスト工程で直面した課題を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた課題に対し、あなたが実施した施策について、あなたの工夫を中心に、その評価とともに、具体的に述べよ。
■設問ウ
 システムテスト工程をより円滑に進めるために、今後改善したいと考えていることを、簡潔に述べよ。

【PM-H10-1-PM2-Q2】請負契約に関わる協力会社の作業管理について

 システム開発プロジェクトにおいて、協力会社の果たす役割は重要である。協力会社に対する発注形態には、要員の派遣契約や、あるまとまった開発業務を委託する請負契約などがあり、プロジェクト管理上の工夫もそれぞれで異なってくる。
 請負契約の場合は、派遣契約とは異なり、作業の進捗や品質を発注者側が日々把握することは難しい。また、請負契約先の協力会社の作業を発注者側が直接管理することには法規上の制限がある。したがって、プロジェクトマネージャには、委託した業務が期待どおりに行われるよう、適宜協力会社の作業状況を把握するための工夫と、必要に応じた適切な対処が求められる。
 作業状況の把握方法としては、単に作業進捗の報告を受けるだけではなく、あらかじめ中間結果のマイルストーンを設定し、発注者側及び請負側双方の主要メンバーによるレビューを実施することなどが挙げられる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトでは、どのような開発業務を協力会社に委託したか。プロジェクトの特徴とともに800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの実施中、協力会社に委託した業務が納期や品質面で期待どおりに行われているかどうかを、あなたはどのように把握したか。また、その結果、必要な対処をどのように行ったか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた協力会社の作業管理について、どのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H10-1-PM2-Q3】第三者による設計レビューについて

 プロジェクトのメンバ以外の第三者をレビューアとして、設計レビューをすることがある。第三者による設計レビューは、プロジェクトのメンバが気づかない思い込み、誤解、技量のかたよりなどによる設計の不具合を摘出することをねらいとしている。
 しかし、第三者による設計レビューも、進め方によってはレビューの効果や効率が問題になることがある。例えば、レビューアは、しばしば、問題を発見するために膨大なドキュメントを解読することを要求されたり、自分の専門領域以外の検討に長い時間付き合わされたりする。また、レビューアが多くなると、議論が発散し、内容のある検討ができなくなることもある。
 第三者による設計レビューを効果的、効率的に行うために、プロジェクトマネージャは、
 ・設計に潜在するリスクの予想と、重点的にレビューする内容の明確化
 ・質問表の作成などの事前準備
 ・レビュー内容に応じたレビューアの選定
 ・レビュー参加者の絞込み
 などについて工夫をする必要がある。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたの携わったプロジェクトの概要と、第三者によって重点的にレビューした設計の内容について、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、第三者による設計レビューをどのように行ったか。レビュー内容の決め方、レビューアの選定方法、レビュー方法について、工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた設計レビューについて、どのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

📗H09:1997

【PM-H09-1-PM2-Q1】システム開発プロジェクトにおける技術にかかわるリスクについて

 システム開発プロジェクトにおいては、次に示すような技術にかかわるリスクが多数内在している。
 ・使用するハードウェア製品やソフトウェア製品、適用する技術への不慣れ
 ・使用する製品や適用する技術への過度の期待
 ・新製品や新しい技術の未成熟あるいは欠陥
 ・マルチベンダシステムにおける製品間の不整合
 これらのリスクに対して、適切な対策を怠ると、作業の遅れや混乱、設計の手直しなどが発生し、プロジェクトの進捗やコストに重大な影響を与えたり、場合によっては欠陥のあるシステムを作り上げてしまうこともある。
 プロジェクトマネージャは、プロジェクトにおけるこれらのリスクをよく認識し、採用する新しい製品や技術を使いこなせるようにするための事前検討や要員訓練の実施、検証工程の組込み、設計レビューの方法やテストの進め方の工夫など、リスクを回避するためのプロジェクトの計画並びに運営上の工夫と努力をする必要がある。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクトの計画段階で認識した技術にかかわるリスクについて、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、リスクを事前に回避するために、プロジェクト運営面でどのような施策を採ったか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。また、その評価も述べよ。
■設問ウ
 今後のプロジェクトの運営において、技術にかかわるリスクへの対応を改善するためにどのようなことを考えているか。簡潔に述べよ。

【PM-H09-1-PM2-Q2】プロジェクトの評価について

 システム開発プロジェクトの完了時点で、プロジェクト運営にかかわる各種データを集計・分析し、その評価を通じて管理ノウハウを抽出することは、その後の開発プロジェクトを円滑に進めるうえで大変重要な意味を持っている。
 評価を行うためには、何を目的にどのような評価項目を設定すべきか、収集すべきデータは何かを、プロジェクトの特徴を踏まえて、事前に十分検討しておく必要がある。例えば、新しい開発手法を適用するプロジェクトでは、その手法による生産性が十分に実証されていないことが多い。このような場合には、その後のプロジェクトでの工数見積りや進捗管理に生かす目的で、生産性を評価項目として設定し、工程ごとの作業実績、要員のスキル向上度合いやバグの収束状況などのデータを収集することが考えられる。また、開発体制の組み方なども、重要な評価項目として挙げられる。
 項目の設定に加えて、データ収集のための仕組みの整備も、プロジェクトの開始時点で忘れてはならない事項である。そして、プロジェクトの実施中はデータが確実に収集されていることを随時確認し、プロジェクト完了時の評価に備えておかなければならない。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトにおいて、何を目的にどのような項目についてプロジェクトの評価をしようとしたか。プロジェクトの特徴と関連づけて800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトの評価のために、あなたはどのようなデータを収集することにしたか。また、それらのデータを収集する仕組みをどう整えたか。それぞれ工夫した点を中心に具体的に述べよ。
■設問ウ
 プロジェクトの評価の結果として、あなたは何を得たか。また、それをどのような方法でその後のプロジェクトに役立たせようと考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。

【PM-H09-1-PM2-Q3】システムの業務仕様の確定について

 システム開発プロジェクトにおいては、業務仕様が不適切のままソフトウェアの開発工程に進むと、後工程で大幅な手直しが発生し、プロジェクトに混乱を招くことがある。これは、開発者側の業務に対する理解不足や業務仕様の検討不足などにもよるが、次に示すような利用者側のプロジェクトへのかかわり方の問題も大きな要因として挙げることができる。
 ・利用者側のシステムに対する過度な要求や期待
 ・利用部門間の意見の調整不足
 ・業務仕様の検討及び決定プロセスにおける利用者側の検討不足
 したがって、業務仕様の検討及び決定プロセスにおいては、利用者側の責任ある参画と、利用者側と開発者側の十分な意志疎通が特に重要となる。
 これらを的確に遂行するためには、プロジェクト体制、業務仕様の検討の進め方、業務仕様の確認方法、業務仕様のドキュメンテーションの方法などに、様々な工夫が必要である。また、業務仕様に関する利用者側と開発者側の責任分担を明確にしておくことも有効である。
 このように、利用者側と開発者側との円滑な連携を図り、業務仕様が適切に決められるようにすることは、プロジェクトの成否にかかわることであり、プロジェクトマネージャの重要な業務の一つである。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたの携わったプロジェクトの概要と、業務仕様を確定するうえでの課題を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、業務仕様を確定するうえで、利用者側と開発者側との十分な連携を確立するために、どのような施策を採ったか。工夫した点を中心に具体的に述べよ。また、その評価も述べよ。
■設問ウ
 利用者側の業務仕様の確定へのかかわり方をより適切にするために、今後どのようなことを考えているか。簡潔に述べよ。

📗H08:1996

【PM-H08-1-PM2-Q1】費用管理について

 プロジェクトマネージャは、プロジェクトの実施に先立って予算を立案し、その予算の範囲内でプロジェクトを完了させることが求められる。
 システム開発プロジェクトでは、開発要員の人件費が費用の大半を占める場合が多い。しかし、それ以外にも開発に使用されるコンピュータ関連費用、開発作業場所にかかわる費用、交通費、通信費など多岐にわたる費用があり、プロジェクトによってはこれらが人件費と並んで重要となることがある。プロジェクトマージャは、これらの費用を把握し、リスクに留意して予算を作成する必要がある。
 しかし、予定外の費用が必要となり、当初の予算を守れなくなることが往々にして起こる。このような予算超過を極力防ぐためには、予算と実績の差異を常に把握しながら、超過の兆候を早期に発見し、原因を分析し、超過を未然に予防する徹底した対策をとることが重要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わった開発プロジェクトにおいて、予算を作成するうえで留意した事項について、プロジェクトの特徴とともに800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、予算を守るうえであなたが工夫した施策とその評価について、人件費だけでなくその他の費用も含めて具体的に述べよ。
■設問ウ
 プロジェクトの費用管理をより適切に行うために、あなたが今後採り入れたい施策について、簡潔に述べよ。

【PM-H08-1-PM2-Q2】システム開発における仕様変更の管理について

 システム開発においては、業務要件や運用条件の変更などによって、仕様の変更が発生する場合が多い。仕様変更が統制なく行われると、プロジェクトの進捗やシステムの品質に重大な影響を与えるため、プロジェクトマネージャには仕様変更を適切に管理することが要求される。
 仕様変更の実施の可否を判断するに当たっては、変更の必要性の度合いと変更によるスケジュールや予算などへの影響を的確に把握することが重要である。この際、エンドユーザとの十分な調整が必要である。また、システム開発のどの段階であるかも十分に配慮しなければならない。例えば、基本設計の段階では容易に取り込める変更であっても、総合テストの段階では取込みが困難なことがある
 仕様変更の実施においては、変更したことによるシステムの整合性を確保するためのレビュー方法、変更が正しく行われ他に影響のないことを確認するためのテスト方法、及び変更作業の進捗管理に十分な考慮が必要である。更に、ドキュメントやプログラムなどに矛盾が生じないような配慮も必要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要と特徴、及び仕様変更の発生状況を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、仕様変更を適切に管理するためにどのような仕組みを作り、どのように運用したか。また特に工夫した点は何か。具体的に述べよ。
■設問ウ
 設問イで述べた仕組みと運用についての評価と改善すべき点について、簡潔に述べよ。

【PM-H08-1-PM2-Q3】ソフトウェアの品質管理について

 ソフトウェアの品質管理は、完成したソフトウェアの品質を確保するとともに開発途上での品質の問題が、プロジェクトの進捗やコストに影響を与えないようにするために重要である。
 品質の高いソフトウェアを効率的に開発するには、品質を作り込む設計やプログラミング、綿密で効率の良いテスト、これらを支えるドキュメンテーションなどについての技術的な工夫が必要である。また、これら技術面での工夫が確実に活かされるようにするプロジェクト運営上の施策も欠かすことができない。
 プロジェクトの運営に当たり、プロジェクトマネージャには、
 ・プロジェクト全員への品質に対する意識付け
 ・設計標準や作業標準の確立と徹底
 ・効果的なレビューの実施
 ・品質実態の正確な把握・分析と問題への迅速な対応
 などについての工夫と努力が要求される。また、チームの編成や作業間の連携方法、及びスケジューリングについての工夫も重要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と、ソフトウェアの品質を確保するためのプロジェクト運営上の課題を、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べた課題を解決するために重点とした施策は何か。あなたが特に工夫した点を中心に具体的に述べよ。また、その評価についても述べよ。
■設問ウ
 開発するソフトウェアの品質向上のため、今後あなたが改善を図りたいプロジェクト運営面での課題について、簡潔に述べよ。

📗H07:1995

【PM-H07-1-PM2-Q1】プロジェクトチームの編成とその運営について

 システム開発のプロジェクトを成功させるためには、プロジェクトの立ち上げに先立って、プロジェクトが十分に機能するように、チームを編成し、要員の役割分担を決め、作業手順やコミュニケーション手段などの仕事の仕組みを確立しておくことが重要である。更に、その運営に当たっては、要員の教育、モチベーション管理、チーム間のコミュニケーションの円滑化など、プロジェクト全体が有機的な組織として働くための諸活動を行うことが必要である。
 しかし、実際には種々の事情で十分な体制をととのえられないままプロジェクトを立ち上げる、プロジェクトの途上で欠員が生じる、要員のスキルが当初の期待どおりでない、業務の割り当てや仕事の進め方が不適切である、などの要因でプロジェクトの運営が困難になることはまれではない。
 このため、プロジェクトマネージャーには、常にプロジェクト全体の状況をよく把握し、チーム編成や仕事の仕組みの見直しを適切に行うことが求められる。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトにおいて、プロジェクトのチーム編成をどのような考え方で行ったかについて、その特徴となったシステムの特徴とともに、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトにおいて、あなたが直面したプロジェクトチーム運営上の問題点とその原因を具体的に述べよ。また、それにどう対処したか、あなたが工夫し実施した施策とその効果について述べよ。
■設問ウ
 プロジェクトチームの編成とその運営をより適切に行うために、あなたが今後採り入れたい施策について、簡潔に述べよ。

【PM-H07-1-PM2-Q2】進捗状況と問題の正確な把握について

 プロジェクトを計画どおりに進めるためには、プロジェクトマネージャはプロジェクトの進捗状況を正確に把握し、問題に応じて適切な対策をとる必要がある。
 一般的に進捗状況は定型化された進捗管理表などを用いて把握されるが、よりよく実態を把握するには、入手する情報やその収集方法を工夫することが重要である。特に設計フェーズにおいては、設計作業の対象が機能、構造、データ、性能、運用、移行など多様であり、また作業の中間段階での進捗度が定量的には表しにくい。そのため進捗状況を的確に把握するには様々な工夫が要求される。
 更に、開発規模や期間、要員の構成やスキルの状況、採用した開発技法などのプロジェクトの特徴に応じて、進捗状況と問題を把握する方法を変えていくことも必要である。
 進捗遅れが発生しその対策を検討するに当たっては、問題を表面的にとらえるのではなく、問題の領域や影響度、更にはその本質的な原因を掘り下げて把握することが重要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトの概要と特徴を、進捗管理の視点から、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトについて、設計フェーズにおける進捗状況及び問題を適切に把握するために、どのような方法を用いたか、特に工夫した点は何か、具体的に述べよ。また、これらの方法・工夫についてどう評価したか、簡潔に述べよ。
■設問ウ
 進捗管理をより適切に行うために、あなたが今後採り入れたい施策について進捗管理全般を対象に、簡潔に述べよ。

【PM-H07-1-PM2-Q3】システム開発プロジェクトにおける生産性について

 システム開発プロジェクトの生産性は、開発期間や開発費用に直接かかわってくるため、プロジェクトにおける管理項目の中でも特に重要であるといえる。生産性は、システムの形態、要求される品質レベル、開発規模といったシステムの特徴や、開発期間・開発費用・プロジェクト要員についての制約など、プロジェクトの特徴によって左右されるが、プロジェクトの運営方法によっても大きく変わる。
 したがってプロジェクトマネージャは、開発技術面での工夫に加え、プロジェクトの運営面について様々な施策を講じ、与えられたプロジェクトの制約条件の下で、最大の生産性をあげるよう努力しなければならない。
 このためには、生産性目標値の設定、開発技法の選定、要員への業務の割当て、標準化などの作業の進め方、及び要員の指導・教育などに関する工夫が必要である。また、常にプロジェクトの生産性に関する実態の正確な把握を行い、問題点の早期発見とタイムリーで適切な対策も重要である。
 あなたの経験に基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
■設問ア
 あなたが携わったプロジェクトにおける生産性の目標値とその設定根拠を、システム及びプロジェクトの特徴とともに、800字以内で述べよ。
■設問イ
 設問アで述べたプロジェクトについて、目標とした生産性を達成するうえで最も重要であったと考えるプロジェクト運営面での施策は何か。その理由とともに具体的に述べよ。また、その効果及び反省点も述べよ。
■設問ウ
 生産管理をさらに向上させるうえでの課題は何か。そのためのプロジェクト運営面での施策と期待効果を簡潔に述べよ。