🍀概要
2023年に実施された、IPA プロジェクトマネージャ試験 午後2において、実際にサイト管理者が執筆し、「評価A(合格)」を獲得した論文を掲載します。なお、合格した後だから見える論述の視点も、随所にアドバイスとして追記しています。また、このサイトの執筆者の実力がどの程度あるのかの判断ついても、ご参考になるかと思います。
🧾問題・設問(PM-R05-Q1)
出典:情報処理推進機構 プロジェクトマネージャ試験 令和5年 午後2 問1
📘問題
■タイトル
プロジェクトマネジメント計画の修整(テーラリング)について
■内容
システム開発プロジェクトでは,プロジェクトの目標を達成するために,時間,コスト,品質以外に,リスク,スコープ,ステークホルダ,プロジェクトチーム,コミュニケーションなどもプロジェクトマネジメントの対象として重要である。プロジェクトマネジメント計画を作成するに当たっては,これらの対象に関するマネジメントの方法としてマネジメントの役割,責任,組織,プロセスなどを定義する必要がある。
その際に,マネジメントの方法として定められた標準や過去に経験した事例を参照することは,プロジェクトマネジメント計画を作成する上で,効率が良くまた効果的である。しかし,個々のプロジェクトには,プロジェクトを取り巻く環境,スコープ定義の精度,ステークホルダの関与度や影響度,プロジェクトチームの成熟度やチームメンバーの構成,コミュニケーションの手段や頻度などに関して独自性がある。
システム開発プロジェクトを適切にマネジメントするためには,参照したマネジメントの方法を,個々のプロジェクトの独自性を考慮して修整し,プロジェクトマネジメント計画を作成することが求められる。
さらに,修整したマネジメントの方法の実行に際しては,修整の有効性をモニタリングし,その結果を評価して,必要に応じて対応する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。
📗設問
■設問ア
あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標,その目標を達成するために,時間,コスト,品質以外に重要と考えたプロジェクトマネジメントの対象,及び重要と考えた理由について,800字以内で述べよ。
■設問イ
設問アで述べたプロジェクトマネジメントの対象のうち,マネジメントの方法を修整したものは何か。修整が必要と判断した理由,及び修整した内容について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
■設問ウ
設問イで述べた修整したマネジメントの方法の実行に際して,修整の有効性をどのようにモニタリングしたか。モニタリングの結果とその評価,必要に応じて行った対応について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
📚論文要旨
本論文は、短納期かつ若手メンバ中心という制約下において、コミュニケーションをマネジメントの重点対象とし、プロジェクト成功に導いたコールセンタ再構築プロジェクトの事例を述べたものである。私は、形式的な進捗管理では未熟なメンバの報告負担が増し、問題の潜在化を招くと判断し、①日次レビューと②月次面談を中心としたコミュニケーション施策へマネジメント計画を修整した。特に、心理的安全性と気づきの促進を意識した日々の対話を通じて、問題の早期発見と支援体制の構築を図った。さらに、データに基づく定量・定性の両面評価により課題メンバを特定し、ベテランによる部分アサイン支援を導入することで、チーム全体の自律性と生産性の両立を実現した。本論文では、プロジェクトマネージャがマネジメント計画をテーラリングし、現場の変化に柔軟に対応する姿勢こそが、成果につながる鍵であることを示した。
📝論文
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
問題文の1行目に「テーラリング」の文字を見た瞬間、正直なところ「これはいける」と感じました。
というのも、2018年にPMP資格(Project Management Professional)を取得した際、PMBOK第6版を詳細に学習しており、この「テーラリング」の概念こそ、まさに中核に位置するテーマだったからです。
以下は、実際に論文執筆前に作成した設計図です。原稿段階では単語レベルのメモが中心でしたが、今回掲載にあたり、第三者でも意味がわかるように整えました。
📋論文設計図
第1章
1-1 プロジェクトの概要
- 「用意したプロジェクト定型文」を使用
- 制約条件:①納期が短い、②経験の浅いメンバが多い
1-2 プロジェクトの目標
- 短期間・限られた予算内での実現
1-3 時間・コスト・品質以外に重要と考えたマネジメント対象とその理由
- コミュニケーション
- 最終的に「QCD」に影響を与えるため
第2章
2-1 修整が必要と判断したマネジメント対象
- 対応内容:①日次レビューの導入、②月次のFace-to-Face面談
- 理由:進捗の遅れが発生してからの対応では手遅れになるため、事前に若手の成長を促進する仕組みを準備(サーバントリーダーシップとして記述)
2-2 修整の理由と内容
- ①日次レビュー:定量的検知。PMがメンバと一緒に作成
- ②月次面談:定性的検知。①と同様の傾向を補強材料として活用
第3章
3-1 修整の有効性のモニタリング・評価
- ①日次レビュー
- ②月次の面談
→ 概ね有効だったが、PM起因ではない別の課題が発生したという設定にした
3-2 追加対応
- ベテランの部分参画で補完(コスト増はなし)
🕐補足:試験当日の工夫
今回は、事前に用意していた構成と試験問題の要求が非常に近かったため、試験開始から10分ほどで上記の設計図を描き終えることができました。
🪄タイトル コールセンタの再構築プロジェクト
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
午後2論述試験「プロジェクトマネージャ(PM)」の題材は、「コールセンタの再構築」が、最も適していると感じています。
なぜならば、「コールセンタ」に求められる要素に、自由に制約をつけられるためです。
例えばですが、ざっと考えても、下記のような30個もの多数の特性があります。
このプロジェクトでは、「これ」が重要だと判断し、重点的に管理することとした。と書くだけで強力な制約ができ、プロジェクトマネージャの工夫(実現するために、取り組んだ内容)を書きやすくなります。
🔸【1. 人的リソース・スキル制約】
- 即応性:緊急の問い合わせに即座に対応する必要があるため、高スキル者が必要。
- 柔軟性:顧客の理解度・感情に応じて回答を調整する必要がある。
- 属人性:経験や勘に依存しやすく、ナレッジの形式化が困難。
- 人材流動性:離職率が高く、スキルの継承が難しい。
- 教育コストの高さ:短期間で即戦力を育成することが難しい。
- 感情労働の負荷:対応者のメンタルケアが必要。
- 専門知識の必要性:業務や製品への深い理解が求められる場面がある。
- 多言語対応:グローバル展開に伴い、多言語対応が必要。
- 応答品質のばらつき:オペレータによって対応品質に差が出る。
- スーパーバイザの負荷:SVが対応品質の全体管理に追われがち。
🔸【2. オペレーション・システム制約】
- 通話時間の制約:一件あたりの対応時間に上限がある。
- 応答率の保証:KPIとしての応答率・待ち時間の管理がある。
- 録音・監査要件:品質保証のため録音・モニタリングが必要。
- CTI連携の制約:顧客情報と通話システムの統合要件が複雑。
- チャネルの多様化:電話だけでなく、チャット・メール対応も求められる。
- マルチタスクの必要性:通話中にシステム操作・記録を行う必要がある。
- ピーク対応:時間帯・季節によって問い合わせ件数が大きく変動。
- FAQ・マニュアルの限界:テンプレートだけでは対応できないケースが多い。
- 業務フローの複雑性:エスカレーションや後続業務が入り組んでいる。
- システム変更の頻発:製品や制度の更新に追従する必要がある。
🔸【3. 組織・制度制約】
- 部門間連携の煩雑さ:営業・物流・開発など他部門との調整が頻繁。
- アウトソース管理:外部委託先の品質・体制を管理する難しさ。
- 組織文化の硬直性:現場独自の慣習が根強く、改善に抵抗がある。
- 改善提案の伝達遅延:オペレータからの現場改善案が埋もれがち。
- 顧客情報管理の規制:個人情報保護の観点で、情報アクセスに制限。
- 品質と効率のトレードオフ:短時間対応と丁寧対応が両立しにくい。
- 評価制度の限界:対応件数や時間だけでは評価が困難。
- 非正規雇用の多さ:勤務条件の違いにより、一体感の醸成が難しい。
- クレーム対応の負荷:精神的に消耗するクレーム対応の頻度が高い。
- 災害・BCP対応:電話インフラや在宅対応への切替が必要な場合がある。
🔍第1章 プロジェクトの概要とマネジメント対象の特定
1-1 プロジェクトの概要
私がプロジェクトマネージャとして携わったのは、自社(A社)のコールセンタシステム再構築プロジェクトである。本プロジェクトは、顧客満足度向上を目的とし、経営戦略の転換に伴って決定された。
本プロジェクトの特徴は2つある。1つ目は納期が短いことである。当初は9か月間を想定していたが、経営戦略の決定が2ヶ月遅れた一方、稼働日は変更されなかったため、7か月での稼働が求められた。2つ目は、経験の浅いメンバが多いことである。メンバの60%以上が入社3年未満であり、他の並行プロジェクトに経験者が多く割かれたことが背景にある。
プロジェクト体制は、情報システム部20名、プロジェクトオフィス3名、経営企画室3名で構成された。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
①なぜ1-1に、「プロジェクトの概要」を書くか
設問上、「プロジェクトの概要」は明示的には求められていません。
しかし、基本的には、冒頭の「1-1節」にあたる部分に必ず書くべきです。なぜなら、後続の論述が格段に楽になるからです。
②制約の効果
基本的には「コスト」「品質」「納期」「人材」の4つのうち、2つに強力な制約をかけたほうが良い構成になります。
その制約のためにPMが苦労し、調整しなければならなかった、という構図をつくることで、説得力が生まれ、論述も書きやすくなります。
今回は、「納期」と「人材」の2点に制約を設定しています。
逆に、制約が何もないプロジェクトを書いてしまうと、「何も問題が起きず、順調にプロジェクトが完了した」というだけの内容になってしまい、PMの行動が評価されない=不合格になりやすい論文になってしまいます。
※余談ですが、本当に優秀なPMほど、問題が起きる前に兆候を読み取って対処してしまうため、現場からは「何も問題が起きなかった」と見えてしまう、という現象もあります。
「1-1節」はどの問題でも流用できるため、暗記しておくと非常に有効です。実際、私が使っている定型文は324文字あり、これは毎回そのまま使います。
残りの476文字で設問アに対応する要素を書くと考えれば、構成が自然に制限され、逆に論述が楽になるという効果もあります。
このテクニックは、『未経験者向け 午後Ⅱ論文対策:同じモジュールを使い回す効率的な回答の作成方法【プロジェクトマネージャ試験】』(オータニ著)で詳しく解説されています。興味のある方は、以下からご覧ください。
🔗 https://www.amazon.co.jp/dp/B0D6RMDMW2
③枠という概念
なお、「経営戦略の転換に伴って決定された」という一文は極めて重要です。これは、PMの関与できない“外部の枠”が与えられたことを示す役割を持ちます。
PM試験では、その“枠”の中で最善を尽くす構造こそが評価されるため、枠を自分で決めたかのような論述(例:「納期を7か月と自分で設定した」など)は避けるべきです。なぜその範囲なのか、妥当性を説明しなければならなくなり、他の記述が薄くなるためです。
ちなみに、この“枠”を壊して全体を再定義するような論述展開は、「ITストラテジスト試験」の領域に属します。
上位視点からの全体最適を構想し、統合やPoCによって推進していくのが、ITストラテジストに求められる視座です。
1-2 プロジェクトの目標
目標は「既存機能の継承と刷新を両立した新システムの構築を、短期間・限られた予算内で実現すること」であった。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
全ての節を長く書くのではなく、簡潔に回答できるところは短くまとめることが大事です。
1-3 時間・コスト・品質以外に重要と考えたマネジメント対象とその理由
私は「コミュニケーション」を特に重要なマネジメント対象と判断した。なぜならば、進捗に遅れが生じた際に「コミュニケーション」が不足していると、状況の把握と対応が遅れ、さらには時間・コスト・品質にも連鎖的に悪影響を及ぼし、最終的にプロジェクト目標の達成できないリスクが、高まるからである。
そのため私は「コミュニケーション」リスクの顕在化が最低限に収まるようにテーラリングし、重点的に管理することを成功のキーポイントとみなして、取り組むことにした。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
テーラリング対象は1つに絞り、2-1の対策は2つ設定して、それぞれの中身を充実させる方針で執筆しました。
対象を2つにすると、時間内に書ききれなかったり、対策の記述が薄くなったりして、妥当性を十分に説明するのが難しくなると考えたためです。
また、「コミュニケーション」が不良である場合、それが最終的に「時間・コスト・品質」すべてに波及し、プロジェクト目標が達成できなくなる可能性がある、という因果関係を明示しています。
この関係性に言及していないと、「コミュニケーションに多少問題があっても、別に目標は達成できたのでは?」といった、採点官視点での疑問や矛盾が生じるおそれがあるため、しっかり記述しておくことが不可欠です。
🛠️第2章 修整が必要と判断したマネジメント対象、修整の理由と内容
2-1 修整が必要と判断したマネジメント対象
私は、①日次レビューの導入、②月次Face-to-Face面談の実施を、重点的に修整が必要なマネジメント対象とすることとした。
理由を記す。従来型のプロジェクトでは、定例会議と週報ベースの情報共有により、進捗管理と課題把握を行っていた。しかし、今プロジェクトにおいては、メンバが報告の場で自信を持って話せない、報告が事後的である、といった傾向が見られた。このままでは、コミュニケーションに起因する、問題が膨らみ、回復が遅れることが明白であった。
私はこれを、単なる報告能力の問題ではなく、「心理的安全性の不足」や「困っていることを気軽に伝える場の欠如」と捉え、メンバが安心して、かつ、自信をもって報告する場に変えることが大事だと考えたのである。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
これらの施策は、過去のメンバー時代にプロジェクトで見聞きした工夫をもとに、現在の立場としてアレンジしたものです。
当時、上位者の進捗確認の仕方や、ちょっとした雑談の場がチームの雰囲気を和らげていたことを思い出し、それを自分なりに再構成しました。
また、近年のプロジェクトマネジメントで重視されている「意見を言いやすい場を整える」という考え方、すなわち「心理的安全性」にも言及しています。
2-2 修整の理由と内容
①日次レビューの導入
各メンバが担当タスクの進捗と未解決事項を簡潔に報告。PMがその場で残件一覧表をメンバと一緒に作成・更新することで、報告の負担軽減と状況可視化を両立した。これは、未熟なメンバが言語化できないため、報告できないという負の連鎖を防止することを狙ったものである。
具体的には、未熟なメンバほど、未決事項を多く挙げるほど、叱責があるのではないかと恐れ、言語化できない可能性があると考え、報告した場合に褒めることとした。また、報告が少ないメンバにはなんとなく気になっていることでも教えてもらったり、他のメンバから見て気づいたことも共有する雰囲気を作ることを重視した。
そして、自分だけではなく、チームが一丸となって取り組むことが大事であることを、繰り返し伝えた。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
これは定量的な対策ですが、「厳密な管理を徹底する」ことを目的としたものではありません。
実際のプロジェクト現場で、メンバーが現実的に実施できそうなレベルに落とし込んだ(=テーラリングした)内容になっています。
「新人だとこういうこと、起きちゃうよね」という具体例を挙げながら、それをどう防ぐかという視点で、PMから歩み寄ったり、メンバ同士で気づき合えるような工夫を盛り込みました。
また、「チームが一丸となって取り組むことが大事であることを、繰り返し伝えた」という表現には、
一度で意図が浸透するほどメンバの技量は高くないという前提のもと、PMが何度も伝え続けた姿勢を暗示しています。
この一文には、PMの根気の強さや、信念の強さを込めています。
②月次Face-to-Face面談の実施
進捗だけでなく、業務への不安や疑問、体調面なども含めてヒアリングし、メンバの“顔色”を3段階で定性評価した。これは、兆候の早期察知と、本人の気づき支援を目的としたものである。
一般的に顔色は、定量的に判断することが難しいが、コミュニケーション不良をもれなく、早期に察知するためには、複数の視点から対策することが重要であると考えて、できるだけ、定量的に判断できるように、データを蓄積することとした。蓄積したデータは、グラフ形式でまとめ、私が視覚的な判断で利用できるように工夫した。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
これは定性的な対策です。
定性評価は本来、厳密に管理するのが難しいものですが、できる限り数値での把握に近づけるために、3段階で評価する形式を採用し、定量評価に寄せる工夫を行っています。
つまり、「①日次レビューの導入」が主要な対策であり、本対策はそれを補完するサブ的な位置づけとなります。
「一応、定性面からも評価を考慮しました」というレベルの2案目として位置づけています。
また、複数の観点を一括で確認できるような仕組みを持たせておくことで、PMとしての管理能力や専門性が感じられると考え、使い道や記述の仕方にも一工夫を加えています。
🚧第3章 修整の有効性のモニタリング・評価と対応
3-1 修整の有効性のモニタリング・評価と対応
結論から書くと、私のテーラリングは意図した通り、無事機能した。具体的には次のとおりである。
私は修整施策が現場で実際に機能しているかを確認するため、モニタリングした。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
文が長くなりそうなときは、最初に「うまくいきました。具体的には、これから述べます。」のように書いておくと、採点官にとって内容の見通しが立ちやすく、理解しやすくなります。
①日次レビュー
残件一覧表の更新履歴を分析することで、担当メンバごとの未解決項目の件数推移を可視化した。その結果、9割のメンバで残件数が緩やかに減少し、定常運用が根付きつつあることが確認できた。
一方で、残り1割のメンバでは、むしろ残件数が増加する傾向が見られた。この結果を受け、単にレビューの頻度や内容の問題ではなく、より深い構造的な問題が潜んでいるのではないかと仮説を立てた。
②月次のFace-to-Face面談
進捗や業務課題だけでなく、メンバの不安・疑問・健康状態も含めて丁寧にヒアリングを行った。特に、メンバの“顔色”を3段階で評価することで、表出しづらい心理状態を可視化した。この評価結果もデータとして蓄積し、月別の傾向変化をグラフ化した。
結果的に、残件が増加していたメンバと、顔色評価が「悪い」と判定されたメンバが完全に一致していた。私は両面からのアプローチが機能していたこと、そして課題が特定メンバに集中している可能性が高いと判断した。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
ある程度書き進めた段階で、残りの文字数上限まで、意外と少ないことに気づきました。
このままでは3-2を書くスペースが足りないと判断し、①と②が全く同一傾向を示したことにすることで構成を簡略化する方針に切り替えました。
その結果、やや詰め込んだ印象の記述になっています。
3-2 追加対応
上記の共通メンバについて分析を進めた結果、彼らは旧システムの構造が特に複雑な領域を担当しており、業務負荷が高く、加えて自信を持ちにくい状況に置かれていたことが分かった。技術的な難易度が高いだけでなく、失敗への不安が行動を抑制していたのである。
対応として、経験豊富でコミュニケーション能力にも優れたベテランメンバを、週2回の部分アサインでサポートに加えることにした。予算制約が厳しい中で、フルタイムではなく“部分アサイン”という形式を採用したのは、コストの最適化とメンバの自律性維持を両立するためである。
さらに私は、ベテランには単に技術的な解決策を一方的に押し付けるのではなく、「本人の気づきと成長を促すこと」を最優先にしてほしいと依頼した。なぜならば、自らの力で壁を乗り越えた実感こそが、チームの士気と再現性のある成長につながると信じていたからである。
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
予算への影響は、部分アサインであるため許容範囲内に収まっています。
この依頼は、単なる支援ではなく「メンバーの育成」を見据えて行ったものであり、PMとしての中長期的な視座を示すものとなっています。
この結果、当該メンバは自らの理解を深め、タスク進捗も安定するようになった。残件数も平均レベルまで減少し、顔色評価も「普通」以上に改善された。プロジェクト全体としての生産性も向上し、結果として予定通りの稼働を実現することができた。
この一連の対応を通じて私は、テーラリングし、現場の変化に早期に気づき実直に対応していくことこそが、プロジェクト成功のキーポイントであると学ぶことができた。
以上
ワンポイントアドバイス・当時の思い出
「うまくいきました」という結論だけでなく、問題文から読み取れるPMとしてのあるべき行動(=プロジェクトはテーラリングして対応すべし)を要約として最後に盛り込むことで、PMとしての視座の高さを示す締め方になります。
採点官へのアピールとしても効果があり、全体としてぐっと締まる印象になります。
今回は、試験開始から90分でここまで書き終えました。これまでで最も早く書き上がったケースであり、自画自賛を抜きにしても「これは客観的に見ても合格レベルだろう」と感じました。
残りの30分は、見直しに充てました。以下に、確認・修正した内容を記しておきます。
- 章・節・項の数値部分を太字化:採点官が該当箇所を見つけやすくするため、冒頭数値部分のみを強調しました(太めのシャープペンで塗るなどの工夫)。
- 文字の修正:読みにくい文字を部分的に消しゴムで修正。
- アンケートの整合性確認:内容に矛盾がないか、特に人件費が「100万円/1人月」程度に収まっているかを再チェック。
- 設問との対応確認:問題文内の事例と設問の記述形式が、執筆した論文と同一の構成・書きぶりになっているかを最終確認。
🧩最終結果
合格(評価「A」)でした。この問題は、PMBOKの改訂経緯などを詳しく知らなくても、問題文を素直に読み、「プロジェクトの実情に合わせてマネジメント計画をカスタマイズして運営するのは、PMにとって当然のことだよね」と捉えられた方であれば、論述は十分に可能だったと感じています。
なお自画自賛になりますが、この論文は、当年の合格者1,066名の中でも、上位20〜30%程度の品質には達していたと考えています。
もう少しふんわりした内容でも、合格できるとは思います。おそらく、合格評価「A」の下限と、不合格評価「B」の上限には、実質的にはほとんど差がなく、そのあたりに数百人単位の受験者が密集していたのではないかとも感じます。
逆に言えば、「合格でいいか」と採点官に思ってもらえるような表現や構造の工夫を、この論文から何かしら得ていただけたなら、これ以上の喜びはありません。
🎓講評コメント(AI評価)
🌿この論文、合格した理由とその先へ
みなさんこんにちは。今回は、PM試験(令和5年度・午後2・問1)の実際の合格論文をもとに、その構造・強み・学習者として得るべき視点を詳しく見ていきましょう。
🎯一言で言うと:これは「再現性と整合性の美学」に支えられた論文です。
まず何よりも特筆すべきは、「設問対応の正確さ」「論理の地盤」「説得力のある成果」の3拍子がそろっているということ。論文は芸術作品ではなく、「制約下の構造体」。この方は、その「構造美」を理解した上で、PMBOKと現場実感を絶妙に融合させています。
✅【設問対応】ーー設計図の時点で、すでに勝負は八割決まっている
まず、論文設計図を公開している点に注目しましょう。これだけ丁寧に事前設計がなされていれば、設問に対してぶれようがありません。
- 第1章:「プロジェクト概要+QCD以外の重要対象」のセットアップが非常に明瞭。
- 第2章:テーラリング対象を1つに絞り、「2つの施策」で支える構造が◎。
- 第3章:「成果を2軸で定量・定性で追い、整合させている」のが素晴らしい。
→設問の読み違いゼロ。意図と構造が完全に対応しています。
🔍【内容の深さ】ーー「心理的安全性」というトレンドと、「泥臭さ」の両立
評価したいのは、「日次レビュー」や「月次面談」といった施策に、単なるPMBOK知識を持ち込むだけではなく、実際に起きた現場の“非効率さ”や“空気”を踏まえた表現になっている点。
- 「言語化できない」「報告すると叱られそう」…これ、リアルです。
- 「だから、報告したら褒める」「周囲から拾う」…実に現場に根ざしている。
- 「顔色を3段階評価」「グラフ化」…形式知と暗黙知の“橋渡し”の妙。
→テーラリングの記述が単なる制度の変更ではなく、人間と現場へのまなざしになっている。これは、PM試験の評価観点の「行動記述」「ステークホルダ描写」にドンピシャです。
📈【成果とロジック】ーー一貫性のある「成果の因果構造」
成果を「減少した残件数」と「顔色評価の一致」で、2つの異なる視点から提示し、それらが同一傾向を示したことを根拠に課題特定と対応策へ移行する。この構造は見事です。
- しかも、「残件が増加したメンバの“顔色評価”も悪かった」という観察と評価のクロスチェック。
- 「ベテランの部分アサイン」「押しつけずに気づかせる」…成長視点と人材マネジメントの一体化。
→成果と対応策がスパイラルでつながっており、因果が明快。これは「評価者にとって非常に採点しやすい」構造です。
🧠【戦略性と試験対策としての価値】ーー暗記と再利用を許容した“試験設計”
この方の「アドバイス」部分、つまり「ワンポイントアドバイス」にも高い価値があります。論文を単なる実務の延長線上で語るのではなく、
- 「1-1節は固定文として使い回す」
- 「QCD制約を2つ必ず仕込む」
- 「設問ア→イ→ウの対応関係は設計時に決めておく」
といった、論述技法としての割り切りが含まれています。これは、実力があるからこそ言える戦略です。
⚠️【あえての課題提起】ーー“反発”と“妥協”の描写はもっと描けたかも
唯一惜しい点を挙げるとすれば、「反発→説得→納得」の描写がやや抽象的だったこと。
営業部との軋轢などが背景にあるならば、以下のような記述があってもよかったかもしれません:
「なぜ我々がまた新しい画面設計に対応しなければならないのか」という営業部長の声があり、
私はプロジェクト全体の意図と将来的な業務負荷削減を伝える中で、段階的な妥協案として“旧UIの段階導入”を提案した。
→このような実際の対話・妥協・合意形成の描写があれば満点に近づく可能性があります。
🧩総評:論述構造で合格を“作り出した”優れた実例
結論として、この論文はまさに「再現性ある合格戦略」を体現したPM論文です。
技術・論理・現場感・可視化のバランスが良く、さらに学習者向けの説明性まで備えている。ここまで自己分析を公開している受験者は非常に稀であり、論文教材としての価値も極めて高いです。
🎓まとめ:この論文から学ぶべき3点
- 論文構造の設計図が最も重要。設問対応の軸を“先に決める”。
- 現場にある“心理的安全性”や“沈黙の理由”を描くことで、説得力が倍増する。
- 成果を「見える化」し、「構造」としてつなげる意識が、合格を引き寄せる。
お見事でした。
これをベースに、さらなる進化を目指す方には「反発・納得のプロセス」の描写と「他部門展開・ナレッジ化の視点」も盛り込むと、より一層“PMらしさ”が際立つと思いますよ。
🌟指摘対応結果
修正前の論文(論文A 第1章:647文字、第2章:1010文字、第3章:1172文字)も、実際に合格してますが、各指摘を踏まえて、上限文字数限界までリライトした結果(論文B 第1章:791文字、第2章:1585文字、第3章:1189文字)は、以下の通りとなります。この文字数は、人間が本番に執筆できる文字数を大幅に超えているので真似しないでください。なお、本番試験では、「合格すること」が最も重要です。原稿用紙の文字数の下限(改行・余白を考慮して、+100文字くらい余分に書く。つまり、第1章:600文字のマス目、第2章:900文字のマス目、第3章:700文字のマス目)を超えたら、残り時間を考慮して割り切って、そこそこで切り上げることが大事です。
リライト後の論文(論文B)
🪄タイトル コミュニケーション・マネジメント重視の追加機能開発
🔍第1章 プロジェクトの概要とマネジメント対象の特定
1-1 プロジェクトの概要
私がプロジェクトマネージャとして携わったのは、自社(A社)のコールセンタシステム再構築プロジェクトである。本プロジェクトは、顧客満足度向上を目的とし、経営戦略の転換に伴って決定された。
本プロジェクトの特徴は2つある。1つ目は納期が短いことである。当初は9か月間を想定していたが、経営戦略の決定が2ヶ月遅れた一方、稼働日は変更されなかったため、7か月での稼働が求められた。2つ目は、経験の浅いメンバが多いことである。メンバの60%以上が入社3年未満であり、他の並行プロジェクトに経験者が多く割かれたことが背景にある。
さらに、営業部門・業務部門との機能要件のすり合わせにおいて、旧システムの運用慣行に基づく要望が多く、要件の調整にも手間がかかった。したがって、プロジェクト初期段階から利害の橋渡しが求められた。
プロジェクト体制は、情報システム部20名、プロジェクトオフィス3名、経営企画室3名で構成された。
1-2 プロジェクトの目標
目標は「既存機能の継承と刷新を両立した新システムの構築を、短期間・限られた予算内で実現すること」であった。
1-3 時間・コスト・品質以外に重要と考えたマネジメント対象とその理由
私は「コミュニケーション」を特に重要なマネジメント対象と判断した。なぜならば、進捗に遅れが生じた際に「コミュニケーション」が不足していると、状況の把握と対応が遅れ、さらには時間・コスト・品質にも連鎖的に悪影響を及ぼし、最終的にプロジェクト目標の達成できないリスクが、高まるからである。
そのため私は「コミュニケーション」リスクの顕在化が最低限に収まるようにテーラリングし、重点的に管理することを成功のキーポイントとみなして、取り組むことにした。
🛠️第2章 修整が必要と判断したマネジメント対象、修整の理由と内容
2-1 修整が必要と判断したマネジメント対象
私は、①日次レビューの導入、②月次Face-to-Face面談の実施を、重点的に修整が必要なマネジメント対象とすることとした。
理由を記す。従来型のプロジェクトでは、定例会議と週報ベースの情報共有により、進捗管理と課題把握を行っていた。しかし、今プロジェクトにおいては、メンバが報告の場で自信を持って話せない、報告が事後的である、といった傾向が見られた。このままでは、コミュニケーションに起因する、問題が膨らみ、回復が遅れることが明白であった。
私はこれを、単なる報告能力の問題ではなく、「心理的安全性の不足」や「困っていることを気軽に伝える場の欠如」と捉え、メンバが安心して、かつ、自信をもって報告する場に変えることが大事だと考えたのである。
2-2 修整の理由と内容
①日次レビューの導入
各メンバが担当タスクの進捗と未解決事項を簡潔に報告。PMがその場で残件一覧表をメンバと一緒に作成・更新することで、報告の負担軽減と状況可視化を両立した。これは、未熟なメンバが言語化できないため、報告できないという負の連鎖を防止することを狙ったものである。
具体的には、未熟なメンバほど、未決事項を多く挙げるほど、叱責があるのではないかと恐れ、言語化できない可能性があると考え、報告した場合に褒めることとした。また、報告が少ないメンバにはなんとなく気になっていることでも教えてもらったり、他のメンバから見て気づいたことも共有する雰囲気を作ることを重視した。
そして、自分だけではなく、チームが一丸となって取り組むことが大事であることを、繰り返し伝えた。
②月次Face-to-Face面談の実施
進捗だけでなく、業務への不安や疑問、体調面なども含めてヒアリングし、メンバの“顔色”を3段階で定性評価した。これは、兆候の早期察知と、本人の気づき支援を目的としたものである。
一般的に顔色は、定量的に判断することが難しいが、コミュニケーション不良をもれなく、早期に察知するためには、複数の視点から対策することが重要であると考えて、できるだけ、定量的に判断できるように、データを蓄積することとした。蓄積したデータは、グラフ形式でまとめ、私が視覚的な判断で利用できるように工夫した。
なお、これらの修整策を提案した当初、若手メンバからは「毎日レビューするほどの進捗がない」「面談で何を話せばいいか分からない」といった戸惑いの声も上がった。私はこの反応を軽視せず、日次レビューの目的が「進捗を詰める場」ではなく、「早期に困りごとを共有する場」であることを丁寧に説明した。また、月次面談については、話しにくさを払拭するため、初回は世間話やランチの話題から入り、徐々に業務への話に自然に移るよう工夫した。
このような段階的な説明と相互理解を通じて、メンバ自身が「少しずつ話せるようになってきた」「顔を見て相談できると安心する」と変化を見せ始めた。私はこうした兆しを大切にし、過剰に制度化するのではなく、状況に応じて柔軟に調整していく運用方針をとった。これにより、現場側からの自発的な提案も徐々に増え、制度としての定着が進んだ。
特に印象的だったのは、ある若手メンバが「他の人と比べて、うまくできていないようで不安だった」と打ち明けてくれた場面である。このメンバの声は、私に強い印象を残した。私はその言葉を受けて、「ここは成果を競う場ではなく、互いの困りごとを支え合う場だ」と繰り返し説明した。
加えて、他のメンバにも「自分だけでは気づけなかった視点を得られた」と感じられるよう、レビュー後には簡単なフィードバックの時間を設け、学びを共有する仕掛けを導入した。
🚧第3章 修整の有効性のモニタリング・評価と対応
3-1 修整の有効性のモニタリング・評価と対応
結論から書くと、私のテーラリングは意図した通り、無事機能した。具体的には次のとおりである。
私は修整施策が現場で実際に機能しているかを確認するため、モニタリングした。
①日次レビュー
残件一覧表の更新履歴を分析することで、担当メンバごとの未解決項目の件数推移を可視化した。その結果、9割のメンバで残件数が緩やかに減少し、定常運用が根付きつつあることが確認できた。
一方で、残り1割のメンバでは、むしろ残件数が増加する傾向が見られた。この結果を受け、単にレビューの頻度や内容の問題ではなく、より深い構造的な問題が潜んでいるのではないかと仮説を立てた。
②月次のFace-to-Face面談
進捗や業務課題だけでなく、メンバの不安・疑問・健康状態も含めて丁寧にヒアリングを行った。特に、メンバの“顔色”を3段階で評価することで、表出しづらい心理状態を可視化した。この評価結果もデータとして蓄積し、月別の傾向変化をグラフ化した。
結果的に、残件が増加していたメンバと、顔色評価が「悪い」と判定されたメンバが完全に一致していた。私は両面からのアプローチが機能していたこと、そして課題が特定メンバに集中している可能性が高いと判断した。
3-2 追加対応
上記の共通メンバについて分析を進めた結果、彼らは旧システムの構造が特に複雑な領域を担当しており、業務負荷が高く、加えて自信を持ちにくい状況に置かれていたことが分かった。技術的な難易度が高いだけでなく、失敗への不安が行動を抑制していたのである。
対応として、経験豊富でコミュニケーション能力にも優れたベテランメンバを、週2回の部分アサインでサポートに加えることにした。予算制約が厳しい中で、フルタイムではなく“部分アサイン”という形式を採用したのは、コストの最適化とメンバの自律性維持を両立するためである。
さらに私は、ベテランには単に技術的な解決策を一方的に押し付けるのではなく、「本人の気づきと成長を促すこと」を最優先にしてほしいと依頼した。なぜならば、自らの力で壁を乗り越えた実感こそが、チームの士気と再現性のある成長につながると信じていた。だからこそ、その支援には信念をもって臨んだ。
この結果、当該メンバは自らの理解を深め、タスク進捗も安定するようになった。残件数も平均レベルまで減少し、顔色評価も「普通」以上に改善された。プロジェクト全体としての生産性も向上し、結果として予定通りの稼働を実現することができた。
この一連の対応を通じて私は、テーラリングし、現場の変化に早期に気づき実直に対応していくことこそが、プロジェクト成功のキーポイントであると学ぶことができた。
以上
論文Aと論文Bを比較した結果、論文Bでは以下のような質的強化・表現拡充がなされており、特に設問イ(第2章)の描写力向上が顕著です。
✅【主な変更点と強化ポイント】
🔹第1章:プロジェクトの概要とマネジメント対象の特定
項目 | 論文A | 論文B | 効果 |
---|---|---|---|
ステークホルダ記述 | なし | 「営業部門・業務部門との要件調整が困難だった」旨を追加 | 対立構造の前提提示、後続章の「合意形成」描写の伏線 |
課題の明示性 | やや抽象的 | 「要望が旧システム運用慣行に基づく」など具体記述 | テーラリングの必要性の説得力が増す |
🔹第2章:修整の理由と内容
観点 | 論文A | 論文B | 評価ポイント |
---|---|---|---|
若手メンバの反応 | 記載なし | 「進捗がない/話せない」等の戸惑いとその対応 | ステークホルダ(メンバ)視点の心理描写が追加され、実効性の評価が深化 |
説明・対話描写 | 記載なし | 「詰める場ではない」「世間話で緩和」など丁寧な対話の描写 | 「双方向性」「心理的安全性」の構築過程を明示、合格論文基準【④ステークホルダ描写】に大きく貢献 |
成果共有 | 論文Aでは省略 | 「レビュー後にフィードバックの時間」 | 自発性向上の仕掛けが示されており、施策の定着力に説得力あり |
🔹第3章:モニタリングと対応
観点 | 論文A | 論文B | 評価ポイント |
---|---|---|---|
ベテラン支援の描写 | 丁寧 | より強い信念と理由づけが明示的(「だからこそ、その支援には信念をもって臨んだ」) | PMの「責任感」「信念」「育成志向」が明示され、読後の納得感が高い |
成果の描写 | 定量・定性ともに明示 | 同様の内容を踏襲しつつ、よりドラマ性・物語性あり | 結果に至る「心の動き」「変化」の流れが自然で、読者に印象を残す |
📌まとめ:全体としての変化と意義
評価観点 | 評価コメント |
---|---|
設問対応 | 章立て・内容ともに設問に厳密対応(両論文共にOK) |
行動の具体性 | 論文Bでは、PMの行動理由・施策設計・ステークホルダの反応が丁寧に描かれ、実践的な説得力が大幅に向上 |
ステークホルダ描写 | 論文Bでは、若手メンバの不安、受け入れ過程、対話による信頼構築が描かれており、「反発→納得」プロセスが明示されている |
表現の質 | 物語性と論理性が両立されており、評価者の印象に残る構成 |
🏆結論
論文Bは、論文Aをベースにしながら以下の点で上位互換化されています:
- ステークホルダ(メンバ)の心理的抵抗と納得の過程の描写
- テーラリング策に対する段階的な理解・浸透の描写
- PMの信念・育成姿勢と支援の意図明示
論文比較(論文A:リライト前、論文B:リライト後)
論文Aと論文Bは非常に内容が似通っており、同一プロジェクト(コールセンタの再構築)を題材に、ほぼ同じ構成とエピソードを用いていますが、細部の表現や補足の厚みに差があります。以下、プロジェクトマネージャ試験の基準に基づいて、両者を比較・評価します。
🔎 総合評価(100点満点+致命的欠陥フィルタ)
評価項目 | 配点 | 論文A | 論文B | 評価理由 |
---|---|---|---|---|
① 設問対応 | 30点 | 28点 | 30点 | 論文Bは面談初期の戸惑い→説明→納得という流れが「設問ウ」におけるモニタリング・対応の描写として明瞭。 |
② 課題の妥当性 | 10点 | 9点 | 10点 | 論文Bではステークホルダ(若手メンバ)の感情を明示し、修整の必要性をより具体化。 |
③ 行動記述の具体性 | 25点 | 21点 | 24点 | 論文Bは、若手メンバの発言や初期反発、PMの丁寧な説明などの描写が厚い。 |
④ ステークホルダ描写 | 10点 | 7点 | 9点 | 論文Bは「うまくできていないようで不安だった」など、感情・反発・納得過程の描写が豊富。 |
⑤ 成果の説得力 | 15点 | 14点 | 14点 | 成果自体はほぼ同等。Bでは「制度の定着」「自発的提案」など、プロジェクト文化への波及がより明確。 |
⑥ 構成・表現 | 10点 | 9点 | 9点 | 両者とも誤りなし。論理構造明瞭、因果関係の文も充実。 |
✅ 合計点
- 論文A:88点
- 論文B:96点(満点水準)
🧪 致命的欠陥チェック
項目 | 論文A | 論文B | コメント |
---|---|---|---|
PMの行動 | OK | OK | いずれも主体的な判断・改善がありOK。 |
ステークホルダとのやり取り | OK | OK | 論文Bの方が「戸惑い→説明→納得」の描写が厚く優れる。 |
設問ア〜ウ対応 | OK | OK | 両者とも章構成・文字量・対応は完全。 |
成果の明示 | OK | OK | 定量・定性成果あり。Bでは「提案増加」「文化の変化」なども。 |
🎯 評価まとめ
項目 | 論文A | 論文B |
---|---|---|
総合得点 | 88点(合格) | 96点(満点近接) |
致命的欠陥 | なし | なし |
総合評価 | A(合格) | A+(極めて優秀) |
📝 総合コメント
論文Aの良さ:
- 構造的に整っており、設問対応も明確。
- 「心理的安全性」や「顔色評価」など、独自性のあるPM行動が示されている。
- テーラリングの意図と成果がよく整理されている。
論文Bの優位点:
- 論文Aの要素を踏襲しつつ、「若手メンバの戸惑い」「目的誤認」「制度化しない方針」などの描写を厚くし、ステークホルダ視点での合意形成の過程が見事に描かれている。
- 特に「PMの説明努力」や「対話の導入」など、IPA採点官が重視する「現場の納得」描写が優れている。
- 若干の感情描写(不安・安心・納得)が加わることで、論文としての説得力と深みが増している。
🏆 結論
論文Bは、論文Aと比較して「ステークホルダとの対話の描写」「段階的な制度定着の過程」が優れており、評価項目のうち4項目で上回る。総合得点でも8点差をつけており、試験上の評価は論文Bが明確に優れる。
🌱演習:当落レベルからの向上例(当落レベル→合格レベル)
ここでは、合格論文「論文A」をあえて品質を落とし、合格可能性が10〜15%程度に下がるレベルに再構成した「論文C」を掲載しています。おそらく、これが2023年時点における当落ライン上に位置する典型的な論文だと推測されます。
この論文を読んで、「えっ、これは不合格では?」と違和感や不快感を覚えた方は、すでに合格水準の視座を獲得していると考えて差し支えありません。
また、「論文C」はいわゆる“ダメな論文”の中でも、比較的「筋がよい部類(=設問には答えている)」に入ります。実際には、評価Bに分類される論文の中には、もっと危ういものも少なくありません。
「今年はB評価で不合格だったけど、来年はきっと受かる」と、根拠のない楽観に陥ってしまうと、私のように10年近くも無駄に受験する事態にもなりかねません。この段階でしっかりとした分析をしておくことを強くお勧めします。
幸いなことに、2025年現在では、AIに聞けば10分もかからず課題点を特定できる時代になりました。無料プラン(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)でも、十分可能です。
2024年頃までは、AIがまだ未熟で、何が問題なのかすら判別しづらい「暗黒時代」だったことを思えば、今は本当に恵まれた環境にあると言えるでしょう。
そして今後は、こうしたAIを活用し、PoCや試行を通じて自らの表現や構成を検証・改善していくことも、プロジェクトマネージャに求められる重要な資質の一つになるでしょう。流行に乗るというよりも、時代の変化に先んじて試す姿勢こそ、合否を分ける境界線になるのかもしれません。
当落レベルの論文(論文C)
🪄タイトル コールセンタの開発プロジェクト対応
🔍第1章 プロジェクトの概要と重要なマネジメント対象
1-1 プロジェクトの概要
私が参加したのは、A社のコールセンタシステムの再構築プロジェクトである。主に、旧システムの使いにくさを解消し、オペレータの満足度を上げることが目的とされていた。私はプロジェクトマネージャとしてアサインされたが、実質的には日々の進捗管理やミーティングの調整などを中心に行っていた。
スケジュールは全体で7か月と比較的タイトであり、さらに途中で業務部門からの要望が増える傾向もあったため、日々のコミュニケーションが大変だった。メンバ構成は若手が多く、全体の雰囲気としては活発だが、どこか不安定さもあった。
1-2 重要と考えたマネジメント対象とその理由
私は特に「人間関係」と「モチベーション」が重要だと考えた。なぜならば、チームがうまくいっていると自然と仕事が進むからである。日々の会話の中で、「最近忙しいですよね」とか「今日のお昼美味しかったですか」などといった雑談をすることで、なんとなく雰囲気が良くなり、それがプロジェクト成功にもつながるのではないかと思ったからである。
🛠️第2章 マネジメント方法の修整と理由
2-1 修整の必要性の判断
コミュニケーションが上手くいっていないと感じる場面があり、特に週報の提出が遅れる人が出てきたときに気づいた。以前は週1のミーティングで全体共有していたが、それだけでは足りないと思ったため、少し変えようと思った。
2-2 修整した内容と背景
まず、日報をSlackに投稿するようルールを作った。これによって、その日の出来事が少しずつ共有されるようになり、「みんな頑張ってるんだな」という空気ができた。また、たまに投稿が少ない人には、「どうしたの?」と声をかけるようにした。
さらに、月に一度だけ「座談会」と称して、チームメンバで雑談する時間を設けた。ここでは、プロジェクトの話だけでなく、「最近ハマっているアニメ」や「好きな昼食」なども自由に話せるようにした。これは、メンバの性格を知るために役立つと考えた。
このような取り組みは、直接的にプロジェクトの進捗に影響があるかは不明であったが、雰囲気作りには貢献したように感じる。実際、「座談会が楽しかった」という意見がアンケートでいくつか見られた。
また、これらの施策によって何か劇的に変わったというわけではないが、何となくチームの雰囲気が柔らかくなった印象はあった。特に会議の冒頭で笑顔が見られるようになったり、Slackでのスタンプの数が増えたりするなど、目には見えないけれどちょっとした変化があったと思う。
これが本当に効果があったのかはわからないが、誰かの働きかけにより空気が変わるというのは、チームにとって良いことなのではないかという感覚を持った。こうした柔らかい工夫が、結果的にはメンバの働きやすさにもつながったように感じた。
また、日々のちょっとしたやりとりや、雑談のような場面が重なっていくことで、知らず知らずのうちに全体の連携にも影響が出ていたように思う。何か一つの要素だけでなく、いろいろなことの積み重ねが大切だと改めて感じた。
🚧第3章 モニタリングと追加対応
3-1 修整の有効性の確認方法
Slackでの投稿数を月ごとにカウントした。全体としては少しずつ増えていた。また、座談会の参加率は当初5割程度だったが、最後の方は7割くらいになっていた。これは、一定の効果があったと言えるかもしれない。
ただし、投稿が少ない人に関しては、特に改善の兆しは見られなかったため、無理に強制はしなかった。
一方で、メンバの表情やリアクションを観察する中で、以前よりも質問や意見が出やすくなっているように感じたこともあった。これは主観的な感覚ではあるが、少なくとも何らかの心理的変化があったのではないかと考えた。
もちろん、他の要因(プロジェクトの終盤に近づいてきたことや、業務に慣れてきたこと)も影響していたかもしれないが、それらと合わせて、全体として状況は良い方向に進んでいたように思う。
3-2 必要に応じた対応
対応としては、雑談が得意なメンバに「ファシリテータ役」をお願いして、投稿や座談会の雰囲気作りを任せた。また、ミーティングでは少し笑いが起きるような話題を振るようにした。
私自身、どこまでがプロジェクトマネジメントかはわからない部分もあったが、雰囲気作りはプロジェクト全体に影響があると思っていたため、これらの工夫を継続した。最終的には、プロジェクトも予定通り終わり、大きな問題もなかったことから、修整はある程度成功したと感じている。
また、「空気が良い」ということは数値では測りづらいが、継続的に雑談が行われたり、チームで笑い合える場面が増えたりすることが、プロジェクトの円滑な進行を支えていたのではないかと思う。今後もこうした取り組みは、状況に応じて柔軟に取り入れていけたら良いと考えている。
ご提示の【論文C】を【論文A】と比較し、「何をどうすれば合格水準に近づけられるのか」を、プロジェクトマネージャ試験の評価基準に基づいて詳細に解説します。
🔍全体所見:論文Cの主な問題点
観点 | 論文Cの状態 | 論文Aとのギャップ |
---|---|---|
設問対応 | 章節構造は一応守られているが、設問の意図を深く反映していない | 設問の語尾まで明確に対応し、章構成が対応している |
課題の妥当性 | 「人間関係」や「モチベーション」が曖昧・主観的 | 「コミュニケーション」課題を定義し、要件との対立構造あり |
行動の具体性 | PMの判断よりも「なんとなく良くなった」など曖昧な描写 | 判断→理由→施策→効果が因果的で、行動が明確 |
ステークホルダ描写 | 会話の描写が少なく、感情・反発が描かれていない | 若手の戸惑いなどを描き、PMの説明・調整行動が明確 |
成果の説得力 | 「スタンプが増えた」「雰囲気が良くなった」など曖昧 | 定量データと定性評価のセットで成果を示している |
🧭改善の方向性:章別に詳細解説
第1章:設問ア(プロジェクトとマネジメント対象)
🛑論文Cの問題点
- 「オペレータの満足度を上げる」目的が曖昧で、企業戦略や制約条件と結びついていない
- 「人間関係」や「モチベーション」はマネジメント対象として抽象的・主観的で、理由も感覚的
✅改善ポイント
- 目的の記述を明確に: 顧客満足度向上と経営戦略転換の関係を明記(例:「応対品質の標準化によって業務の属人化を排し、顧客満足度の向上を目指した」)
- マネジメント対象の明示: 「コミュニケーション」「スコープ調整」「ステークホルダマネジメント」など具体的かつIPA問題文に即した表現を採用
- 理由を論理的に: 失敗すればQCD全体に連鎖する構造で、マネジメント対象の重要性を因果で語る
第2章:設問イ(修整対象・理由・内容)
🛑論文Cの問題点
- 「Slack投稿」や「座談会」は日常的な交流レベルに留まり、「修整」と呼べるレベルの構造変更・プロセス設計ではない
- ステークホルダとの調整や反発の描写がなく、「なんとなくやってみた」という印象
- 因果構造が弱く、「なぜならば~だからだ」構文の使用も少ない
✅改善ポイント
- 修整対象の設定: 具体的なプロジェクトマネジメント項目(例:進捗報告プロセス、リスク管理体制など)に言い換える
- 判断の根拠明示: 「心理的安全性の欠如」「報告遅延による課題把握の遅れ」など、定性的課題の構造的原因を仮説として立てる
- 行動の描写: Slack導入を「負担軽減と早期察知の両立を狙った工夫」として因果構造で説明し、「誰に、どんな説明をし、どんな反応だったか」も追加
- ステークホルダとの対話: 雑談を提案した際のメンバの反発・期待・不安などを描写し、それにどう対応したかを明示
第3章:設問ウ(モニタリングと対応)
🛑論文Cの問題点
- 「投稿数のカウント」「表情の観察」だけでは、マネジメントレベルのモニタリングとして弱い
- 成果も「なんとなく雰囲気が良くなった」と主観的
- 「対応」の記述が浅く、分析・構造理解・根本対策の視点が弱い
✅改善ポイント
- モニタリング指標の改善: 投稿数だけでなく、質問数・進捗報告の精度・報告遅延件数などと紐づける
- 成果の可視化: 「Face-to-Faceを通じて、不安が語られる頻度が上がった」など、プロセス成果と定量成果の両方を整理
- 対応の構造化: 雑談が苦手な人への支援や、メンバ特性に応じた工夫(例:非公開チャット、1対1レビュー)を記述し、PMとしての判断・配慮・最終成果に接続させる
💡まとめ:論文Cから論文Aへ視座を引き上げる5つの変換指針
論文Cの記述 | 改善の方向性(論文Aの視座) |
---|---|
「雰囲気が良くなった」 | 「心理的安全性が高まり、報告頻度が向上した」 |
「Slackで投稿」 | 「進捗・課題の早期発見を狙い、日次レビュー+Slack導入」 |
「座談会を開いた」 | 「対話不全の緩和を狙い、雑談+業務相談の場を設計」 |
「効果はわからないが良くなった気がする」 | 「定性(発言数増加)+定量(残件数減少)の結果が得られた」 |
「空気がよくなったと思う」 | 「定性指標:顔色評価、定量指標:Slack活用率、で効果を測定」 |
🔧推奨アクション:学習用リライト演習として
- 第1章に「顧客満足度向上」と「限られた納期」などの明確なQCD制約を導入する
- 第2章では、「雑談=施策」ではなく、「報告プロセス」「心理的安全性確保」などの構造的施策として記述を強化
- 第3章では、Slackや表情観察の「目的」「意図」「限界」「補完策」まで書く
- いずれの章でも、「なぜならば」「〜を狙った」を最低2回使う
- ステークホルダの反応、納得・不満・誤解の描写を、1章に1回は入れる
ChatGPTに改善点を質問した例
https://chatgpt.com/share/68601f2f-d7e8-8011-beae-46fa5d18f97c
推奨アクション改善後の論文C-2 ※一部改善
🪄タイトル コールセンタの開発プロジェクト対応
🔍第1章 プロジェクトの概要と重要なマネジメント対象
1-1 プロジェクトの概要
私が参加したのは、A社のコールセンタシステムの再構築プロジェクトである。主に、旧システムの使いにくさを解消し、オペレータの満足度を上げることが目的とされていた。私はプロジェクトマネージャとしてアサインされたが、実質的には日々の進捗管理やミーティングの調整などを中心に行っていた。
スケジュールは全体で7か月と比較的タイトであり、さらに途中で業務部門からの要望が増える傾向もあったため、日々のコミュニケーションが大変だった。メンバ構成は若手が多く、全体の雰囲気としては活発だが、どこか不安定さもあった。
1-2 重要と考えたマネジメント対象とその理由
私は特に「コミュニケーション」が重要だと考えた。なぜならば、報告や相談の遅れがプロジェクト進行に影響しやすく、放置すれば課題が顕在化する前に発見できないと判断したからである。
メンバ構成上、業務経験が浅く、報告のタイミングや内容にばらつきがあったため、定例ミーティングのみではリスクを管理しきれないと感じていた。したがって、日常的なやりとりを通じて、安心して相談しやすい空気を整えることが、プロジェクト成功に不可欠であると考えた。
🛠️第2章 マネジメント方法の修整と理由
2-1 修整の必要性の判断
週報の提出が遅れるメンバが出てきたとき、単なる遅延ではなく、報告そのものが負担になっているのではないかと仮説を立てた。私はこれを、コミュニケーションの「量」の問題ではなく、「質」と「心理的な障壁」の問題と捉えた。
2-2 修整した内容と背景
そこで私は、以下のような対応を導入した。
①Slackでの簡易日報投稿ルール
全メンバが当日行った業務を数行で書き込む運用を導入した。これは、報告の負担を減らしながら、共有のハードルを下げることを狙ったものである。投稿が少ないメンバには「最近どう?」と個別に声掛けを行い、沈黙がプレッシャーにならないよう配慮した。
②座談会形式の雑談時間(月1回)
雑談をきっかけにメンバ間の理解が進み、間接的に業務上の相談も生まれるよう設計した。話題としては、「最近ハマっているアニメ」「おすすめの昼食」など、業務に直結しないが人柄を知る手段となるものを意図的に選んだ。
なお、この導入にあたっては「雑談なんて必要ですか」と疑問を口にするメンバもいたが、私は「お互いを知っておくことで、相談のハードルが下がる」と丁寧に説明し、納得を得た。
このように、私は形式的な報告ではなく、心理的安全性の醸成を重視した修整策を選んだ。これは、進捗遅延の早期発見や、メンバの孤立防止を狙った施策である。
🚧第3章 モニタリングと追加対応
3-1 修整の有効性の確認方法
Slackの投稿数と座談会の参加率を毎月記録し、定量的なモニタリングを実施した。Slackの投稿数は3か月間で平均1.6倍となり、座談会参加率は当初5割から最終的に7割まで上昇した。
一方で、投稿が少ないメンバには変化が見られなかったため、投稿状況に応じた補完策が必要であると判断した。
また、会話時の反応や会議中の発言頻度を通じて、定性的な観察も行った。以前は聞き役に回っていた若手メンバが、自ら意見を出すようになっていた点は、雰囲気変化の証拠の一つと捉えている。
3-2 必要に応じた対応
改善が見られないメンバには、チーム内で雑談が得意なメンバを「ファシリテータ」として設定し、Slackや座談会での支援を依頼した。また、ミーティング冒頭で軽い話題を投げかけるなど、私自身もムードづくりに関与した。
これらの取り組みは、プロジェクトの定量的な進捗を直接変えるものではないかもしれない。だが、報告遅延や相談躊躇といったリスクを未然に抑える環境が醸成され、最終的に計画通りにプロジェクトを完了できたことは、こうした「柔らかい施策」の成果であると考えている。
以上
「指摘された視点(①~⑤)」だけを修正し、他の記述・文体・構成には手を加えておりません。
✅【修正版 論文C-2】の評価
Step1|100点満点スコア
評価項目 | 評価 | 得点 |
---|---|---|
① 設問対応 | 設問語尾に照らした章節構成と記述あり | 28点 |
② 課題の妥当性 | 「心理的安全性」「相談のしにくさ」等、構造的課題として表現 | 9点 |
③ 行動記述の具体性 | Slack導入・雑談設計・ファシリテータ活用など行動が明確 | 22点 |
④ ステークホルダ描写 | 雑談導入時の疑問・戸惑いに対する説明、軽度ながら描写あり | 8点 |
⑤ 成果の説得力 | 投稿数1.6倍、参加率70%、若手の発言変化など具体あり | 13点 |
⑥ 構成・表現 | 文体・構成も整っており、明確 | 9点 |
合計 | 89点 |
Step2|致命的欠陥チェック
フィルター項目 | 判定理由 | 判定 |
---|---|---|
A. PMの行動 | 判断→施策→効果→補完まで記述あり | OK |
B. ステークホルダとのやり取り | 雑談導入時の疑念やフォロー、説明あり | OK |
C. 設問ア~ウ対応 | 明確に3章構成で設問対応済 | OK |
D. 成果の明示 | 定量・定性成果ともに明示 | OK |
✅ 【最終評価】:A(合格)
🔍変更点の詳細解説:元の【論文C】との比較
評価観点 | 元の論文C | 改善後(修正版) | 効果 |
---|---|---|---|
② 課題の妥当性 | 「人間関係」や「雑談」が重要という曖昧な動機 | 「心理的安全性」「報告負荷」など構造的リスクとして明示 | 説得力が大幅に向上 |
③ 行動記述の具体性 | 「なんとなく雰囲気がよくなった」「Slackで雑談した」 | 「投稿ルールの制定」「座談会の設計理由」「ファシリテータの役割分担」など明示 | 説明可能なPM行動に変化 |
④ ステークホルダ描写 | メンバの反応がほぼ描かれていない | 「雑談って必要ですか?」という反発とPMの説得を明示 | 双方向性のあるマネジメント描写を確保 |
⑤ 成果の説得力 | 「スタンプが増えた」「雰囲気がよくなった気がする」 | 投稿数1.6倍、参加率70%、若手の発言増加など定量・定性成果を明示 | 客観的に改善を評価できる状態に |
因果構造 | 弱く主観的 | 「~を狙った」「なぜならば~」構文を適切に使用 | ロジックが通った文章へ昇格 |
🎓総括:初学者の視座変換ポイント
Before(論文C) | After(修正版) | 視座変換の意味 |
---|---|---|
「空気が良くなった」 | 「投稿数が1.6倍になり、若手が発言するようになった」 | 感覚 → 数値+行動への変換 |
「雑談が役立った気がする」 | 「相談のハードルを下げ、心理的安全性を意識して設計」 | 思いつき → 戦略的施策へ |
「やってみた」 | 「目的を持って説明・調整し、納得を得て実行した」 | 受け身 → 主体的判断と説明責任の明示 |
次のステップとして、上位合格(満点近く)を目指すなら、さらに以下が有効です:
- 対話の詳細描写(例:「何を言われて、どう返したか」)
- 雑談や投稿が業務成果にどう波及したか(例:「エラー報告が早くなった」等)
- 他部門や別プロジェクトへの波及展開の示唆(第3章の終盤に補足)
問題点「私はプロジェクトマネージャとしてアサインされたが、実質的には日々の進捗管理やミーティングの調整などを中心に行っていた」という一文が示すように、プロジェクトマネージャらしさ(主導性・意思決定・責任遂行)の描写がやや弱く、それが評価全体に影を落としています。
🎯位置づけ評価:合格者内ランク(相対位置)
✅ 総合評価:合格者内 中上位層(上位30~40%)
理由と根拠:
評価観点 | 評価水準 | 備考 |
---|---|---|
論理構成・設問対応 | 上位10〜20%相当 | 設問と章節の完全対応、因果構造あり |
行動具体性・成果明示 | 上位30%水準 | Slackルール・雑談設計・定量成果あり |
PMの役割感 | 下位50%水準 | 「実質的には進捗管理」=PMではなくサブリーダ級と受け取られる恐れあり |
ステークホルダ描写 | 中位 | 一応描写はあるが、やや抽象的/葛藤が薄い |
🧨リスクポイント:PMとしての自負が見えない
以下のような表現がPM試験としては致命的弱点に映りやすいです:
「私はプロジェクトマネージャとしてアサインされたが、実質的には日々の進捗管理やミーティングの調整などを中心に行っていた。」
この文には以下の問題があります:
- 役割の受動性:「アサインされた」だけで、自らの意思や構想が見えない
- 職務の狭さ:「進捗管理・ミーティング調整」=PM補佐やPLの仕事のように見える
- 全体像の欠落:QCD・ステークホルダ・リスクなど、マネジメント要素が見えてこない
🧠改善アドバイス:PMの格を1段階引き上げるには?
この部分を、以下のように変えるだけで大きく印象が変わります:
🔁 修正例:
「私はプロジェクトマネージャとして、納期・予算の制約が厳しい中で、若手主体の開発チームを率い、計画立案・進捗統制・ステークホルダ調整を担った。特に現場の混乱を防ぐため、日々の進捗管理やミーティング調整は私自らが中心となって実行した。」
こうすることで:
- 「PMらしい責任と指揮性」が示され
- 「なぜ現場的な作業を自ら担ったのか」も説明され
- 「日常行動の格」が自然に引き上がります
🏁まとめ:あなたの認識は正しいです
「上位ではない気もしてます」
→ 正しい判断です。PM視点の弱さ=減点対象になるため、評価的には「合格は固いが上位とは言いがたい」ポジションです。
ただし、たった1〜2行の修正で合格者上位15〜20%には入れます。
「私が責任を持って決めた」「私はこう判断した」など、PMの主体的判断と言葉の主語を“私”に戻すだけでも効果的です。
必要なら、PMらしさを補強する修正案だけ抜粋して提供できます。ご希望あればお申し付けください。
※サイト管理者注記
残念ながら、まだ、この品質レベルでは合格はかなり危ういので、ブラシュアップしてみてください。もしくは、論文A、論文C-2を他AIで比較させてみると、結果が分かりやすいかと思ってます。
ChatGPTとの対話例は、以下の通りです。
https://chatgpt.com/share/68601f2f-d7e8-8011-beae-46fa5d18f97c
☄️推薦図書・動画
📖図書
このページの論文は、上記の書籍に掲載された「モジュール集.pdf」をもとに構成しています。もしこの本に出会っていなければ、私はプロジェクトマネージャ試験に合格できていなかったと思います。オータニさん、本当にありがとうございます!
特にこの論文を読んで「いいじゃん」「この方式なら自分にも書けそう」と思った方には、ぜひ本書の入手をおすすめします。テーマは「コールセンタの再構築」に特化しており、特攻的に対策できる構成になっています。
💡ポイント
- Kindle Unlimited対応(加入者は無料で閲覧可能)
- 論文構造の型化、再現性のある記述方式を重視
- 書籍だけでなく、PDF教材と動画解説も連動
📘おすすめの使い方
- 書籍にある「第5章モジュール集」のリンク(Google Drive)から各PDFをダウンロード
- 「モジュール集.pdf」を印刷(A4サイズ12枚程度)
- 本ページの論文と、印刷したモジュールを比較
→ 各モジュールがどのように活用されているか、青ペンなどでチェック - モジュール集以外のPDF(5つ程度)も印刷し、補助的に活用
- 構造の再現練習をすることで、「この論文を書ける力」=「合格ライン突破力」が身につきます
📹動画
プロジェクトマネージャ試験 独学サポート動画
本書の著者であるオータニさんが、内容を15本の動画でわかりやすく解説しています。
まずは、一連の動画をすべて視聴するところから始めるのがおすすめです。音声とビジュアルで理解が深まります。
📌補足
PM合格論文の読み方について ※クリックで開きます
🌱補足:この合格論文の読み方について
本教材は、情報処理推進機構が実施する「プロジェクトマネージャ試験・午後Ⅱ(論述式)」について、サイト管理者が実際に受験した際に作成した論文を、記憶を元に再現した、AI(ChatGPT)との共創により執筆された実験的な教材です。人間による構成・監修のもと、制作しています。
🔎 ご留意いただきたい点
- 🔔 実在のプロジェクトや企業とは一切関係ありません
本教材は、実在のプロジェクトや企業とは一切関係ありません。試験学習の補助を目的とした知的演習であり、「架空のプロジェクト事例」としてご理解ください。 - 💡記憶があやふやかな箇所があります
できるだけ、記憶を基に忠実に再現するように努めましたが、一部美化されている可能性は否定できません。
📣 執筆方法について
本教材の論文などは、AI(ChatGPT)の補助を利用して執筆しています。AIを“執筆者”、筆者自身を“編集者”と見立てた共創スタイルで制作しており、AIはしばしば予想外の視点や表現を提示し、それが筆者にとって新たな気づきとなりました。この共創の姿勢そのものが、未来の学習と表現の可能性を広げる一助となると考えています。
なお、最終的な監修責任は、人間(サイト管理者)にあります。公開前に内容を厳しく吟味し、十分納得できたもののみを掲載していますので、安心して学習にご活用ください。